http://www.asyura2.com/21/kokusai31/msg/507.html
Tweet |
誰も止められないプーチンの野望(下)独自の歴史観でスラブ世界の「救世主」を自負
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302296
2022/03/10 日刊ゲンダイ
「ウクライナという国はなかった」(国民向け演説をするロシアのプーチン大統領=2月21日) (C)ロイター/ Sputnik/Kremlin
ロシアを語る上で「第3のローマ」という言葉がある。東方正教から見ると、第1のローマは堕落し、第2のコンスタンチノープルは異教徒の手に落ち、第3の中心地モスクワこそが世界を救うという考え方だ。プーチン大統領はスラブ世界の「救世主」を自負しているともいわれている。
2月24日にウクライナ侵攻を宣言し、世界を揺るがしたプーチン氏。決断の背景には、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大という外交・安全保障問題だけでなく、隣国に対する「ウクライナという国はなかった」「ロシア人とウクライナ人は同じ」という独自の歴史観も影を落としている。
「自分のことをメシア(救世主)と感じている」。ノーベル文学賞作家スベトラーナ・アレクシエービッチ氏は、開戦に至った精神状態をこう分析する。事実、プーチン氏は昨年7月に両国の「歴史的一体性」に関する論文を発表。2月21日の国民向け演説でも「ウクライナ論」を約1時間も続けた。
仮にそうした「感情」が動機だとすれば、ウクライナが「非武装化」「中立化」され、ロシアの勢力圏に戻る形で一体となるまで、軍事作戦は終わらないことになる。「理性」に訴えるような譲歩をウクライナや欧米が外交を通じて示したところで、プーチン氏には響かない可能性がある。そういう意味で、この戦争の闇は深い。
さて、今回の侵攻は皮肉にも、両国民の違いを浮かび上がらせた。「士気の高いウクライナ兵」と「なぜ戦争をしているか分からないロシア兵」の違いだ。
ロシアが2014年に軍事介入後、ウクライナ人は8年間も戦争状態にあると自覚している。世界は今始まったかのように見ているが、東部の紛争では計1万4000人が死亡。「国家存亡」の危機意識はロシア人より高く、米国の対戦車ミサイルやトルコの無人機の導入も進めた。
一方、ロシア軍は数で勝るとはいえ、軍事演習と思っていたところで実戦に投入された若者も多い。「歓迎されると思っていたら、ナチス扱いされた」と困惑する兵士の声も。ウクライナ側は、戦死者や捕虜の情報をインターネットで発信し、ロシア側の厭戦ムードにつなげようと心理戦に躍起だ。
戦況は予断を許さないが、万が一にもロシアが負けたらどうなるか。
「日露戦争はロシア帝国の終わりに、アフガニスタン侵攻はソ連崩壊につながった」(チェコ外務省高官)という指摘があり、プーチン政権の存亡にも関わりそうだ。 (おわり)
(時事通信社前モスクワ特派員・平岩貴比古)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。