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ウクライナでの事実を隠蔽するため、EUが言論統制を強化
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202203030000/
2022.03.03 櫻井ジャーナル
ウクライナで戦闘が続く中、EUがロシア系メディアの情報発信を禁止したのは事実を恐れているからだろう。この戦闘の直接的な原因は2014年2月のクーデターである。アメリカ/NATOを後ろ盾とするネオ・ナチが選挙で選ばれた合法政権を倒したのだ。
アメリカ政府がネオ・ナチを使った理由は米英金融資本とナチスとの緊密な関係にある。その関係を生み出した根源はユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるという長期戦略にある。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づく。
アメリカは2003年3月にイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒したが、その際に100万人とも言われるイラク人を殺害、建造物を破壊、そして略奪した。ジャーナリストを含む非武装の市民をアメリカ軍のヘリコプターが殺害する映像を含む犯罪的な行為を告発したブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は有罪の判決を受けて刑務所へ入れられた。
その告発内容を発表したウィキリークスのジュリアン・アッサンジもロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕され、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。
そのほか電磁情報機関NSAの不正を明らかにしたウィリアム・ビーニー、イランへ核兵器に関する資料を渡してイラン侵略の口実を作るというCIAの危険な作戦を組織内部で警告したジェフリー・スターリング、そしてCIAなどによる拷問を告発したジャニス・カルピンスキーやジョン・キリアクらも厳しく処罰されている。NSAの盗聴システムに関する情報を明らかにしたエドワード・スノーデンはロシアから出られない状態になった。
アメリカの情報機関は第2次世界大戦が終わって間もない頃から言論操作プロジェクトを始めた。「モッキンバード」だ。デボラ・デイビスが書いた『キャサリン・ザ・グレート』によると、そのプロジェクトが始まったのは1948年頃である。
それを指揮していたのは4人。第2次世界大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、ダレスの側近で戦後に極秘の破壊工作機関OPCを率いていたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。フィリップの妻がウォーターゲート事件で有名になったキャサリーン。(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979)
フィリップはキャサリーンと離婚し、すぐに再婚してワシントン・ポスト紙を自分ひとりで経営すると友人に話していたが、1963年6月に精神病院へ入り、8月に自殺している。フィリップと親しかったジョン・F・ケネディが暗殺されたのはその3カ月後だ。
ワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を取材したカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。
その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとバーンスタインにCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。
彼によると、CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開する。その結果、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ているとしていた。そのウルフコテは2017年1月、56歳の時に心臓発作で死亡した。
情報操作のネットワークは私企業の世界へも張り巡らされてきた。例えば、2020年に始まったCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動ではアメリカ政府の公式説明に反する情報をグーグルやフェイスプックなどシリコン・バレーのハイテク企業は検閲している。
また、昨年6月にアメリカの司法省はイランの国営「プレスTV」を含む複数のニュース・チャンネルのドメインを「没収」したと発表、インターネットが言論の舞台としていかに脆弱かを明らかにしている。
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