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危機は通常なら不可能なことを受け入れさせる好機と主張した駐米大使の領土発言
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202202090000/
2022.02.09 櫻井ジャーナル
ラーム・エマニュエル駐日米国大使は2月7日、「北方領土問題で日本を支持しています。」とツイットした。歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島は日本領だとする立場を支持するということだろうが、日本がアメリカの属国である以上、この4島はアメリカの領土だということになる。
アメリカとロシア/ソ連との間において、日本の領土問題は1945年2月の「ヤルタ協定」から始まる。アメリカのフランクリン・ルーズベルト、イギリスのウィンストン・チャーチル、ソ連のヨシフ・スターリンがクリミア半島のヤルタで会談した際に決められもので、ドイツが降伏し、ヨーロッパでの戦争が終結してから2カ月から3カ月後にソ連が日本に宣戦布告する条件を取り決めている。その中には、現在のサハリン南部や近くにある全ての島々はソ連へ返還し、千島列島はソ連へ引き渡すことが含まれてた。
ソ連はこの協定に基づいて8月8日に日本へ宣戦。アメリカは8月6日に広島へ、8月9日に長崎へ原子爆弾を投下したが、原爆は開発計画の当初からソ連を意識していたことは本ブログでも書いてきた。
日本は8月9日の「御前会議」でポツダム宣言の受諾を決定、その旨を翌日に連合国側へ打電、事実上、降伏が決まったが、その宣言は7月17日から8月2日にかけてポツダムで開かれた米英ソの3カ国首脳による討議の中で決まっている。宣言の発表は7月26日。
会議が始まる前日、アメリカのニューメキシコ州にあったトリニティ(三位一体)実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われて成功、大統領の急死で副大統領から昇格した新大統領のハリー・トルーマンは原子爆弾の投下を7月24日に許可した。
ポツダム宣言はカイロ宣言の履行を求め、日本の主権は本州、北海道、九州、四国、そして連合国側が定める小さな島々に限られるとしている。その小島は1946年1月に出された「連合軍最高司令部訓令」で示されているが、竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島は日本の領土から除かれている。
また、カイロ宣言には日本が清国(中国)人から奪った全ての地域を中華民国(中国)へ返還すると明記されている。18世紀に作られた中国や日本の地図では尖閣諸島を中国の支配下にあるとしていることなどを根拠に、この宣言でこの島々は中国領だというのが中国の主張だ。
エマニュエル駐日大使によると、アメリカは1950年代から「北方領土問題」で日本を支持してきたと言っているが、その間、1956年10月に日ソ共同宣言に署名した鳩山一郎政権は歯舞島と色丹島を日本領にするというソ連案を受け入れている。この案を潰したのはアメリカ政府だ。日本とソ連が友好関係を結ぶことはアメリカにとって許し難い行為だった。つまり、「北方領土問題」における日本の立場はアメリカ支配層の命令に基づいている。
ところで、ラーム・エマニュエルはバラク・オバマ政権の大統領首席補佐官(2009年1月から10年10月)を務めた人物で、筋金入りの親イスラエル派。子どもの頃にはイスラエルのサマー・キャンプに参加していた。1991年の湾岸戦争では市民としてイスラエル軍に協力、トラックの修理などを行ったという。
大統領首席補佐官になる前年、ラームは「重大な危機」について語っている。「それまで不可能だと思っていたことを実行する好機だ」というのだ。不可能だと思えることを実行するためには「重大な危機」を作り出せば良いということでもある。この発言を頭において、アメリカが行ってきたことを振り返ることは有益だ。
ちなみに、兄のエゼキエル・エマニュエルもラームと同じように筋金入りの親イスラエル派で、ジョー・バイデン政権の「COVID-19諮問会議」のメンバー16人のひとり。つまり、「COVID-19ワクチン」の強制接種やロックダウンを推進してきた。2020年10月12日、エゼキエルは危機、戦争、金融崩壊は人びとを恐怖させ、自分たちが望むプログラムを受け入れさせることができるだろうと語ったと伝えられている。
現在、アメリカは孤立しつつある。そうした中、ラーム・エマニュエルを含むアメリカの好戦的なシオニストは日本が中国やロシアと敵対してほしいと望んでいるはずだ。
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