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経済戦や軍事的恫喝で米国は露国を屈服させようとして失敗した中、米露首脳会談
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2021.12.06 櫻井ジャーナル
アメリカのジョー・バイデン大統領とロシアのウラジミル・プーチン大統領が12月7日にオンライン会談を実施するという。バイデン政権の恫喝政策で急速に悪化した両国の関係などについて話し合うと見られている。
ひとつの焦点はウクライナ情勢。この国では2014年2月にネオ・ナチを中心とする戦闘集団がキエフでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。ネオ・ナチを背後から操っていたのがバラク・オバマ政権で、現場で指揮していたのは国務次官補だったビクトリア・ヌランドだ。
東ヨーロッパに支配地域を築いてロシアに圧力を加えることはアングロ・サクソンが19世紀に始めた長期戦略の一部だが、2014年のクーデターは天然ガスを介して接近するEUとロシアを分断することを狙っていた。EUとロシアを結ぶパイプラインの多くがウクライナを通過しているからだ。
しかし、クーデター後に「ノード・ストリーム2」というパイプラインの建設が決まり、完成した。いつでも輸送を始められるが、それをアメリカは強引に止めている。
ウクライナでのクーデターがひとつの切っ掛けになり、ロシアと中国が急速に接近、今では「戦略的同盟関係」にある。これにはアメリカだけでなく日本の「エリート」も驚いたようだ。
クーデターで制圧できなかった東部地域のドンバス(ドネツクやルガンスク)は不安定な状態にある。ウクライナではクーデターの中心がネオ・ナチだったこともあり、軍や治安部隊の少なからぬ隊員がドンバス軍へ合流、将兵の戦闘能力はドンバス側が上回っていたと言われいる。そこでアメリカは傭兵を送り込んだ。
2014年6月から大統領を務めることになったペトロ・ポロシェンコはチョコレート王、あるいはチョコレート・マフィアと呼ばれていた人物で、ウィキリークスが公表したアメリカ政府の2006年4月28日付け公電によると、アメリカ政府へ情報を提供してきた。欧米の支配者を黒幕とする「オレンジ革命」と呼ばれる新自由主義クーデターで登場した銀行員あがりのビクトル・ユシチェンコと親しいことも知られている。
ポロシェンコ政権でウクライナは国として破綻、2019年5月にコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキーが大統領に就任することになった。有権者はゼレンスキーに変化を期待したのだろうが、欧米の私的権力に支配された国の状況は悪化するばかりだ。
手詰まりのゼレンスキー政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強め、同時にアメリカは黒海へ艦隊を入れて軍事演習を実施してロシアを挑発。そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられている。
最近ではアメリカ軍のE-8Cやイギリス軍のRC-135といった電子情報戦用の航空機がロシアとの国境近くを飛行、また11月の始めにアメリカ軍の戦略爆撃機が核攻撃のシミュレーションを行ったとロシア側は発表している。並行してアメリカ/NATOは黒海へ艦隊を入れ、軍事演習を実施したり領海を侵犯するなどしてロシアを挑発してきた。
こうした挑発に対し、ロシアはこれまでになく厳しい形で反撃をしている。プーチン大統領はアメリカに対し、一線を越えればロシアも動くと警告した。ウクライナからモスクワまで500キロメートル程度しかないこともあり、防衛体制を整えている。アメリカの脅しは失敗したということだ。脅しをエスカレートさせるか、戦術を変更するか、アメリカは決断を迫られている。どう進むか定まらない中、アメリカの政府や有力メディアは批判、日本のマスコミはアメリカの主張を垂れ流している。「アメリカに脅されたら素直に屈しろ」という姿勢だ。
そうした中、今年10月にロイド・オースチン国防長官がキエフでゼレンスキーと会談、11月にはカレン・ドンフライド国務次官補がキエフを訪問した。アンソニー・ブリンケン国務長官とセルゲイ・ラブロフ外相はストックホルムで外交問題について話し合ったという。
バイデンとプーチンとの会談がどのようになるかはわからないが、世界情勢は緊迫している。「アメリカ後」のヘゴモニーを握ろうとしている欧米の私的権力にとって重大な時を迎えている。
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