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バイデンは今やサウジアラビアを失ったのだろうか?(マスコミに載らない海外記事)
http://www.asyura2.com/21/kokusai30/msg/873.html
投稿者 赤かぶ 日時 2021 年 9 月 13 日 00:40:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

バイデンは今やサウジアラビアを失ったのだろうか?
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2021/09/post-dd5234.html
2021年9月12日 マスコミに載らない海外記事


2021年9月6日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 アフガニスタンからの不名誉なアメリカ撤退は、1945年以後の精巧な世界支配という「アメリカの世紀」体制を破壊し、この権力の空白は、おそらく逆転不能な結果をもたらす。すぐに思いつく好例は、彼は自身は明らかに政策をたてていないので、バイデンのワシントン戦略家連中が、何とかして、最大の武器購入国で、この地域の戦略同盟者サウジアラビア王国の支持を失うのに成功したか否かだ。一月下旬のバイデン就任式初日から、アメリカ政策は、サウジアラビア君主国家を、外交政策の劇的移行を推進するよう追いやりつつある。長期的帰結は巨大なものになりかねない。

 就任した最初の週、バイデン政権は、アメリカ・サウジアラビア関係の劇的な変化を示した。トランプ武器取り引きを再検討し、王国への兵器販売凍結を発表したのだ。トランプ政権は、そうするのを拒否していたのだが、更に、二月下旬、2018年10月、イスタンブールで、サウジアラビア人ワシントン・ポスト・ジャーナリスト、アドナン・カショギ殺害のかどで、サウジアラビア政府を非難する報告をアメリカ諜報機関が公表した。それは、アメリカのテロリスト・リストから、反サウジアラビアのイエメン・フーシ派指導部をワシントンが外し、イランが支援するフーシ派軍とのイエメン戦争で、サウジアラビアへの米軍支援を終わらせたことと相まって、フーシ派を鼓舞し、サウジアラビアの標的をミサイルと無人飛行機で攻撃を推進させた。

911後の国防総省政策

 サウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマーンは、これまでのところ、ワシントンとの決裂を回避するよう気を使ってはいるが、一月のバイデン政権方針変更以来、彼の動きは本格的だ。その中心は、かつての大敵イランと新大統領との一連の秘密交渉だ。四月に、リヤドとテヘラン間での可能な和睦を探究する協議がバグダッドで始まった。

 これまで20年間、ワシントンの地政学戦略は、2001年9月11日以降、チェイニーとラムズフェルドが最初に奉じ、時にジョージ・W・ブッシュ政権により「Greater Middle East 大中東」と呼ばれる教義の一環として、対立をかき立てて、中東全体を混乱に陥れることだった。それは911後、故ラムズフェルドの国防総省長官府の戦力変革局(Office of Force Transformation)アーサー・セブロウスキー海軍中将が立案したものだ。挑発されてもいないのに一方的なアメリカによるイラク侵略直後、セブロウスキーの補佐トーマス・バーネットは、2004年の著書、The Pentagon's new map : War and Peace in the Twenty-first Century(訳書『戦争はなぜ必要か』)で、新たな意図的混乱戦略を説明した。未だに誰もサダムの大量虐殺兵器の証拠を発見していないことを想起願いたい。

 バーネットは米海軍大学教授で、後にイスラエルのコンサルタント会社Wikistratの戦略家になった。彼が述べた通り、アフガニスタンを含め、第一次世界大戦後ヨーロッパ諸国が描いた、オスマントルコ後の中東の全国境を取り払い、何十年も、それを制御すべく「強力な」アメリカ軍事駐留を必要とする混乱と不安定を確保するため、スンニ派やクルド人、シーア派や他の民族や宗教組織に分裂させるのだ。そこで、アフガニスタンやイラクや更にそれ以外への場所で、アメリカによる悲惨な二十年の占領になった。それは意図的な混乱だった。2006年、コンドリーザ・ライス国務長官は、新中東としても知られる大中東が「建設的な混乱」を通して実現されると述べた。サウジアラビアや地域の他の国々による強烈な反対のため、名前こそ葬られたが、混乱戦略はそのまま残っている。

 2010年12月に、CIAとクリントン国務省に開始された、オバマの「アラブの春」カラー革命で、ムスリム同胞団とアメリカが支援するネットワークで、チュニジアとエジプトとリビアを不安定化したのは、混乱と不安定化というアメリカ新政策の更なる実施だった。更に、アメリカ代理によるシリア侵略が続き、2012年、アリ・アブドラ・サレハイエメン大統領に対する密かにアメリカが支援するフーシ派革命のイエメンもそうだ。

 進行中のテヘランとリヤドの対立は、セブロウスキー-バーネット国防総省-CIA戦略が根源だ。それは、2016年のムスリム同胞団支持派のカタールと、反同胞団のリヤド間の分裂を引き起こし、その後カタールは、イランとトルコの支持を求めた。それはイランによ支援された軍隊対、サウジアラビアに支援された軍隊間のシリアにおける激烈な代理戦争をもたらした。それはイエメンで、サウジアラビアと、それに対するテヘランの代理戦争と、レバノンの政治的こう着状態をもたらした。今MbS下のサウジアラビア政権は、イランを含め、敵との平和を追求することで、イスラム世界支配のため、シーア派-スンニ派戦争からの大転換を始めているように思われる。

テヘランは重要だ

 トランプ政権下、オバマ下での「包括的共同行動計画(JCPOA)」核合意という外見上、サウジアラビアとイスラエルには不利で、明白なアメリカのイランの支持から、トランプ-クシュナーによる一方的なサウジアラビアとイスラエル支持、JCPOA脱退と、テヘランへの過酷な経済封鎖の押し付けや、最後に、テヘランを標的に定めた準備不十分なアブラハム協定で具現化された他のものへと政策は変化した。

 MbSとサウジアラビアは、ワシントンからの災いの前兆を、しっかり読みとり、アメリカが筋書きを書いて、サウジアラビアを行き詰まりに導いた複数の紛争地域を沈静させようとしている。トランプ下、ワシントンは紛争を煽るため、膨大な兵器をMbSに買わせていた(サウジアラビアのオイル・ダラーで支払われた)。それはサウジアラビアにとって大惨事だった。今や、バイデン政権も、彼らにとって何の役にも立たないことが明らかになり、MbSとサウジアラビアは、イスラム世界における全ての紛争を終わらせるべく、戦略的転換を始めている。全ての鍵はイランだ。

舞台裏の協議

 四月、サウジアラビアは、イランと彼らの関係を安定させるための三つの舞台裏の二国間交渉の最初のものを、イラク、それからオマーンで始めた。2003年以来、イラクに対するアメリカ政策が、多数派のシーア派を、30%少数派のスンニ派と戦わせ、内戦に至る混乱を引き起こすことだったので、バグダッドは、そのよう平和に大いに関心がある。七月、アル=カーズィミー首相は、年末までにアメリカ軍駐留を終わらせるというバイデンの誓約を確保した。

 テヘラン-リヤド舞台裏協議では、バイデン国防総省政策下のワシントンに対するイランの姿勢や、シリアやイエメンとレバノンで軍事的存在を減少させるイランの意志が表明されていると報じられている。2015年核合意への復帰についてのアメリカとイラン間の間接的対話は六月のイラン選挙後停止された。イランはウラン濃縮強化も発表した。

 サウジアラビア・イラン協議には、サウジアラビア諜報機関、総合情報庁のハリド・アル・フマイダン長官やイラン最高国家安全保障会議のサイード・イラバニ副事務局長を含め双方の高官が参加した。レバノンとシリアでのヒズボラのような集団や、イエメンのフーシ派のへの派兵や支援物資の経費に対するイラン国内で進行中の抗議は増大していると報じられている。これは、アメリカ制裁によってひき起こされる経済的苦難がひどい時期に、テヘランがリヤドと最終的に和睦で妥協する強い誘因となっている。もし和睦が実現すれば、この地域におけるアメリカの混乱戦略にとっては大打撃だ。

 まだ何ら合意に至ってはいないが、新たに選出されたイランのエブラーヒーム・ライースィー大統領政府が、マジリス、つまり議会に承認され次第、妥協する意思を示す四回目の交渉が発表された。合意は容易ではないだろうが、現状は双方にとって不利な状況であることを悟っている。

 同時にライースィー下のイランはバイデン交渉者に強気な態度をとっている。イランの最高指導者アリーハーメネイーは、バイデン政権がイランに対する全ての制裁を撤廃し、彼らがもたらした損害に対して、支払いをし、短期間内に、イランを核開発能力と意志を持つ核敷居国として認めるようを要求していると報じられている。石油収入が下落したため、2018年に課されたアメリカ制裁は、食品価格の年間250%の上昇と、通貨暴落をもたらした。今日までバイデンのワシントンは、JCPOA協議再開の前提条件としての制裁撤廃を拒否しているが、ライースィーは、これを変えるべく巨大な国内圧力下にある。

 テヘランにとって、疑問は、サウジアラビアに率いられるアラブ・スンニ派湾岸諸国との和睦を信頼した方が良いのか、約束を破る実績が、カーブルからの悲惨な撤退によって強調されているワシントンに頼るほうが良いのかだ。

 最近テヘランは、アフガンのタリバンとの関係を改善し、タリバンが奪取したアフガニスタンのアメリカ軍装備品が、イランで見られると報じられており、ワシントンに更に不利に働く、イラン-アフガンの密接な協力を示唆している。同時にイランは、中国と、25年、4000億ドルの戦略的経済協力に合意した。だが、これまでのところ、北京はどうやら、どんな大きな型でも、アメリカ制裁に挑戦せぬよう慎重で、サウジアラビア、湾岸アラブ諸国や、イスラエルとの、より親密な結びつきを追求している。サウジアラビアとイランとの和睦は、イランに対する圧力を更に和らげるだろう。

 アフガニスタンにおけるアメリカの存在の劇的崩壊は、誰がアメリカ大統領であろうと、舞台裏のアメリカの体制権力は破壊政策を追求しており、もはや彼らの支援の約束が、本当だと頼れないるという明確な考えを、あらゆる当事者に与えている。

 本物のサウジアラビア・イラン和解の帰結的影響は、地政学的な意味で、大規模な転換のはずだ。イエメン戦争とシリアの代理戦争を終わらせることに加えて、レバノンで、イランに支援されるヒズボラと、そこにおけるサウジアラビア主要権益間の破壊的こう着状態を終わらせることも可能だ。ここで、最近のリヤドとモスクワ間の武器商談が一層興味深いものとなる。

ロシアの極めて重要な役割

 対立する利害関係の地政学カクテルの中で、ロシアの役割は戦略的となる。ロシアは、スンニ派-シーア派代理戦争を終わらせ、全ユーラシアから中東まで、安定を生み出し、ワシントンのセブロウスキー-バーネットの意図的不安定と混乱戦略に直接挑戦することを狙う主要軍事大国だ。

 今年4月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と企業幹部代表団が、12年で初めて、プーチンによるまれなリヤド訪問をした。それはエネルギー・パートナーシップ会議として宣伝されたが、明らかに、それ以上のものだった。石油、宇宙や衛星航行、医療、鉱物資源、観光事業や航空を含む商談は、20億ドルの価値だと報じられた。両国は重要なステップとして、石油価格安定させるため協力することに同意した。プーチンとMbSは、石油と天然ガスが今後何年間も主要な役割を演じ続けると強調したが、これは、ダボスのグレート・リセット環境重視の取り組みへの平手打ちだ。ロシアのRDIF政府投資ファンドも、リヤドに最初の海外事務所を開設した。

 それだけで興味深いが、四カ月後、ロシアのモスクワ近郊での年次国際軍事技術フォーラム(アルミヤ2021)へのサウジアラビア副国防大臣カリッド・ビン・サルマン殿下訪問が続き、アメリカ-サウジアラビア関係を、バイデンが、国務省の表現では、それが何を意味するにせよ「再調整」している時に、増大するサウジアラビア-ロシアの結びつきに新たな重要性を与える。カリッドは「私は二国間の共同軍事協力を進展させることを目指す王国とロシア連邦間の合意で、アレクサンドル・フォーミーン防衛次官と署名した。」とTwitterで書いた。彼はこう付け加えている。「軍と防衛協力を強化する方法を探るためロシアのセルゲイ・ショング防衛大臣と会い、この地域で安定性と安全を維持する我々の共通の取り組みを論じた」。注目すべきことに、ロシアはこれまで数年間イランと合同軍事演習を行っており、サウジアラビアとイラン緊張緩和を促進するのに相応しい。

 モスクワ協議は、国防総省とバイデン政権が、8台のパトリオットミサイル迎撃システムをサウジアラビア、ヨルダン、クウェートとイラクから撤去し、サウジアラビア王国から終末段階高高度地域防衛システム(THAAD)を撤去し、この地域から、アメリカ軍撤退を加速するという、サウジアラビアの保護者としてのワシントンに対する信頼を決して高めない動きの発表から、ほんの数週間後に行われた。世界最高の対ミサイル防衛技術S-400防空システムは、たまたまロシア製で、広範囲な一連の他の軍装備品もそうだ。

 サウジアラビアによるこれら全ての動きは、明らかに、一晩でワシントンから絶交することを意味しない。だが明らかなのは、サウジアラビア君主国家が、特にバイデンが、アフガニスタンを突然タリバンに向けて放棄した後、1970年のオイル・ショック以来享受していたアメリカ安全保障の傘に対する継続的依存は、消えつつある錯覚だと悟ったのだ。MbSは明らかに、トランプ、バイデン両者に、いいように扱われたのを悟ったのだ。中東とユーラシアの地政学的地殻構造は動きつつあり、帰結的影響は驚異的だ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/09/06/has-biden-now-lost-saudi-arabia/

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コメント
1. 赤かぶ[148961] kNSCqYLU 2021年9月13日 00:42:01 : DiuQjGfad6 : UTBWZXVVMUNWUkE=[47719] 報告

2. 2021年9月13日 14:15:39 : Nf2PcZ7ZZc : Z2E4eW1QcUxVaFU=[446] 報告
中東の勢力が中国・ロシア側に傾くにつれ、サウジアラビア(サウド家のアラビア)も、生き残る為に必死に模索しているようです。特に、地球温暖化うんたらかんたらで、脱石油・脱化石燃料なんていわれたら、そりゃ黙っている事はできないでしょうよ。

で、ロシア・中国を仲介して、イランともどうにか仲良く商売していければ、生き残りの目は十分にある、ってところでしょうか。今の所、中東という名のポーカーテーブルで、負けが込んでいるのはイスラエル。頼りのアメリカの大統領がジャンプ好きのご老体では、着地点もままならない、といった様子で。

本当はMbsはジャレット・クシュナーと仲がよかったはずだから、トランプが復権すれば、アメリカを加わって、米露中の三大国で均衡が取れて、今のような一方的な展開にはならなかったと思うのですが。トランプのやり方はプロレスそのものなので、ケンカしているように見せて、舞台裏で仲良く乾杯はお手の物ですし。

こういう情勢は、日本の大メディアではほとんと報じてくれないので、やはり苦労して英語を読まされるハメになるのですよねぇ。

3. 2023年10月06日 20:47:56 : LY52bYZiZQ : aXZHNXJYTVV4YVE=[16932] 報告
<■202行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
サウジがウラン濃縮のイランごっこ
2023年10月6日   田中 宇
サウジアラビアが、間もなく実現しそうなイスラエルとの国交正常化に踏み切る条件の一つとして、自前でウラン濃縮して核燃料を作って新設の原子力発電所で使うことを、仲裁役の米国に対して出している。
米国はトランプ政権時代から、イスラエルが強く希望するサウジとの和解の仲裁を引き受けてきた。
(Saudi Arabia could convert civilian nuclear to military, Israeli expert warns)

サウジはアラブやイスラム世界の盟主であり、世界の覇権体制が多極化(米覇権衰退)する中で、これまで米国だけが後ろ盾だったイスラエルは、米覇権衰退の前にサウジと和解・国交正常化したがっている。
イスラエルはスパイ能力の高さを活かして米政界を牛耳り、世界最強の国際政治力を持ってきた。だが、多極化で米覇権衰退が進むと、イスラエルも弱体化してしまう。イスラエルは、これまで米国の傀儡だったサウジとの和解仲裁を、米国が強いうちにやらせてきた。
(Second Israeli minister to visit Saudi Arabia within days)

トランプの仲裁で和解の道筋が作られた。まずUAEとイスラエルが2020年に露払い的に国交正常化した。だが、サウジは慎重だった。パレスチナ問題や中東戦争など、イスラエルはアラブ諸国やイスラム世界から毛嫌い・敵視されている。
サウジ内外にはイスラエルとの和解に反対する声が多く、MbS皇太子が権力を握るサウジ王政は、反対者たちを説得するために、仲裁役の米国がいくつかのおいしい話を交換条件として出す必要があると言ってきた。
(Saudi nukes: A desire for energy, weapons, or just leverage?)

主な条件は3つで、それらは、米国がサウジの安全を保障する協定を結ぶこと、米国がサウジに迎撃ミサイルなど新兵器を供給すること、サウジが原発を建設することを米国が認めることだった。そして、原発建設の条件の中に、サウジで最近発見されたウラン鉱脈を採掘して自前の核燃料を作る濃縮作業を米国が認めてほしい、というのが入ってきた。
(Why does Saudi Arabia want to acquire the nuclear fuel cycle?)

(サウジは、イスラエルと和解するための条件として、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の成立も出しているが、これは大きく扱われていない。それは現実策として、パレスチナ国家になるヨルダン川西岸に多くのユダヤ人入植地を抱えたままの最低限の国家成立になり、サウジと米イスラエルはそれで合意しているからだ。これが喧伝されると、アラブやイスラム世界、米欧左翼などから猛反対が出て和解策が潰れる。潰されたくないので、サウジも米イスラエルも黙っている)
(Israel normalisation: Saudi Arabia wants 'Palestinian state with East Jerusalem as capital')
(解体していく中東の敵対関係)

サウジのウラン濃縮は、米イスラエルの当局者や中東専門家たちを困らせている。イランのウラン濃縮と同じ行為だからだ。
イランは、ずっと前から実験用や核燃料用、医療用にウラン濃縮を手がけている。イランのウラン濃縮は核兵器開発用でないが、米国(とイスラエル)は、2003年にイラクを潰した後にイランも潰すため、イランがウラン濃縮して核兵器を開発していると無根拠な濡れ衣を掛け、イランが核兵器を完成する前に先制攻撃して潰さねばならないと大騒ぎした。
その後、米国が潰した後のイラクの占領が泥沼化し、先制攻撃して潰す策(強制民主化、単独覇権主義)への批判が強まり、米国はイランへの侵攻を棚上げした。だが、イランを脅威とみなすイスラエルやその手先の米専門家群やマスコミは、イランが核兵器開発しているとウソ・濡れ衣を言い続けている。
(Top nuclear experts urge Biden to not allow Saudi uranium enrichment in mega-deal)

イランに関するIAEAの報告書は毎回、イランが核兵器開発している根拠がないと読み取れる内容になっていたが、米欧日などのマスコミは報告書を意図的に誤読して「イランの核兵器開発」を喧伝し続けた。
2009年からのオバマ政権は、イランに濡れ衣をかけたまま、ウラン濃縮を低濃度に抑えて核兵器開発をやめたら米国や国連が制裁を解くという核協定(JCPOA)を結んだ。その次のトランプはイスラエルの依頼を受けて2018年にJCPOAから離脱し、米イスラエルとイランは再び一触即発の対立状態に戻った。
(What’s behind the sudden US good will towards Iran?)
(トランプがイラン核協定を離脱する意味)

だが、そのころには世界の多極化が始まり、イランは中露など非米的な諸国との経済関係を強化して米欧から制裁された分を穴埋めした。イランは強気になり、ウラン濃縮を核兵器利用できる高濃度まで引き上げたりした。
高濃度にしても核兵器開発するわけでなく、IAEAに通告して監視を受けながら濃縮実験をしただけだが、米イスラエルの専門家やマスコミは「いよいよイランが核兵器を持つ」と騒いだ。
イランは、米イスラエルの出方を探るため、濃縮度を上げて一触即発の事態を作る茶番劇をやっている。
(Iran ‘serious’ about restoring nuclear deal)

イランは、米欧から経済制裁されるほど中露など非米側と結束し、今や上海機構にもBRICSにも加盟し、多極化した世界の極の一つになっている。
イランに核兵器開発の濡れ衣をかける策は、もともと米(イスラエル)覇権体制を強化するためだったが、今やイランは制裁されるほど非米側で台頭し、世界の多極化が加速され、米覇権が崩れる皮肉でお笑い草の(笑)な状態になっている。
イランに濡れ衣を着せるのが任務だった中東専門家やマスコミも、実は傀儡の詐欺師であることが露呈し、下らない存在になっている。いまだに多くの人がマスコミや専門家を軽信しており、人々も(笑)だが。
(Netanyahu and MBS Suggest Progress is Being Made on US-Brokered Normalization Deal)

そんな構図の中に今回、豪快に高笑いしながらMbSのサウジが入ってくる。サウジは、ウラン濃縮の容認を、イスラエルとの和解に必要不可欠な条件に指定している。イスラエルは、是が非でもサウジと和解したいので、サウジがウラン濃縮しても良いと言っている。
米国には、サウジにウラン濃縮させたら核兵器を開発しかねないので拒否すべきだと言っている専門家たちがいるが、米国に拒否されてウラン濃縮できないなら、サウジはイスラエルと和解しない。それではイスラエルが困る。米国はイスラエルの言いなりだから、サウジのウラン濃縮は認められる。
(Democrats warn Biden on Saudi-Israel deal)

ウラン濃縮を初めたら、いずれサウジは濃縮度を核兵器用の高さまで引き上げる実験をやる。以前からサウジを敵視してきたネオコンら米言論界の過激派たちが「サウジが核兵器を開発してるぞ」と大騒ぎする。
イランに対しては、米政府と過激派が一心同体でイランに濡れ衣をかけて敵視制裁した(オバマは米覇権維持のためイラン敵視を解こうとしてネオコン過激派に妨害された)。
だが、サウジに対してはそうでない。米政府は、産油諸国の盟主であるサウジを決して敵視しない。今回は、米国を支配するイスラエルも、サウジと和解したいので米国のサウジ敵視を許さない。サウジを敵視するネオコン過激派は無視される。
(Normalization for Proliferation? The Saudi Nuclear Strategy and the Price of Peace with Israel)

同じウランの高濃縮をやっても、イランは制裁されたが、サウジは制裁されない。それどころか、サウジはイスラエルと和解することで、交換条件として米国から安保協定の締結や新兵器の譲渡まで受け、米国から大事にされる存在であり続ける。
サウジがウラン濃縮の「イランごっこ」を演じていくと、ウラン濃縮を核兵器開発と直結させて敵視制裁してきた米国のイラン政策に問題があったことが露呈する。
(As Netanyahu bends on Saudi nuclear bid, Israeli experts sound alarm)

サウジだけでなくUAEなど、親米的な他のアラブ産油国も原発建設と抱き合わせてウラン濃縮をやり出し、米イスラエルはそれらを非難できず容認する。
これまでの、ウラン濃縮を理由にしたイラン敵視が間違っていたことが確定していく。サウジのウラン濃縮は、濡れ衣だらけの米国の中東戦略がお笑い草であることを、世界に気づかせる。
大量破壊兵器の濡れ衣をかけられて潰されて殺されたイラクのサダム・フセインが、天国で悔しがっている。イラクは潰されたが、イランは米国に勝った。
(Saudi Arabia says it plans tougher IAEA checks on its nuclear activities)
(米覇権衰退で総和解があり得る中東)

サウジがウラン濃縮の茶番劇を開始したのは、サウジが苦戦していたイエメン戦争を解決してくれるイランへの「恩返し」であると考えられる。イエメンでサウジと戦っていたのはシーア派イスラム教徒のフーシ派であり、彼らはイランから隠然と支援されてきた。
今年3月、中国の仲裁でイランとサウジが和解した後、イランはフーシ派にはたらきかけてサウジとの停戦を実現した。イランはサウジに恩を売った。それに対するサウジからの返礼が、今回のウラン濃縮というわけだ。
(Saudi Arabia inches closer to nuclear power with wider IAEA access)
(サウジをイランと和解させ対米従属から解放した中国)

イランは、すでに経済的に中露など非米側との連携によって、米欧からの敵視制裁を乗り越えている。だが、政治的にはまだ核兵器開発の濡れ衣をかけられたままだ。サウジは、イランにかけられた政治的な濡れ衣を解いていく。
イランもサウジも、多極化が進む今の世界で優勢を増しており、核兵器が必要な状況でない。ウラン濃縮は、他の政治目的を持った茶番劇だ。MbSは「イランが核兵器を持ったら、我が国も持つ」と発言したが、これも目くらましだ。
(We Will Get Nuclear Weapon If Iran Does, Saudi Crown Prince Tells Fox)
(Is a Houthi-Saudi truce in Yemen imminent?)

サウジのウラン濃縮の目的は、もう一つある。それは、イスラエルの核兵器をあぶり出すことだ。イランは核兵器開発してないのに、してると濡れ衣をかけられた。対象的にイスラエルは、核兵器を開発して持っているのに、米国中心の世界からほとんど問題にされていない。
イスラエルは米上層部を牛耳っているので核保有しても黙認される。イランは米イスラエルから敵視されているので核保有の濡れ衣をかけられる。
(Five ways that Saudi-Israeli normalisation is already here)

サウジがイスラエルと和解してウラン濃縮を開始すると、米国側のマスコミ権威筋は「イランだけでなくサウジも核兵器を開発し始めた」と非難し始める。これに対して非米側から、イスラエルが核兵器を持っているのに黙認されているのはおかしいと反発が出てくる。
イランはIAEAの厳しい査察を受けており、今後はサウジも本格的な査察を受ける。だがイスラエルは査察を拒否し、核拡散防止条約(NPT)にも入っていない。
アラブやイスラム世界では、イスラエルが仲良くしたいならIAEAの査察を受けねばならない、という声が強まっている。先日はカタールなどがIAEAに対し、イスラエルの核施設の査察を提案した。
(Arab Gulf State Demands Israel's Shadowy Nuclear Weapons Program Be Subject To IAEA Safeguards)

覇権国だった米国を牛耳っていた従来のイスラエルは、世界から黙認されていたが、米覇権が消失する今後は、IAEAの査察を受けろと言われ続ける。イスラエルは、イランを非難することもできなくなる。イランが優勢に、イスラエルが劣勢になる。サウジのウラン濃縮は、それらの傾向を加速する。
イスラエルはどんどん劣勢になるだけに、早くサウジと和解したい。イスラエルは、サウジと和解したら、サウジの仲裁でイランとの関係改善もしたいはずだ。それらの動きをする際に頼りになるのは、イランの敵である米国でなく、イランを大事にしてきた中国やロシアだ。
(Iran may be last stop for Saudi-Israel normalization)
(対米離反と対露接近を加速するイスラエル)

サウジは今回、イスラエルと和解する見返りに米国との安保協定の締結も求めているが、米覇権の低下と多極化が進んでいる時に、米国との安保協定がサウジに必要なのだろうか。たぶん必要ない。サウジはBRICSへの加盟が決まり、多極型世界における大国とみなされている。
おそらくMbSは、米国との安保協定など不要だと知りながら要求している。そうすることによってサウジは多極化が見えていないふりをして、G7諸国と同様に米同盟国であるかのような演技をしている。これも笑える。
(Israel on cusp of region-reshaping peace with Saudi Arabia, Netanyahu says)
(新しい世界体制の立ち上がり)

米国は不可逆に覇権喪失しており、サウジだけでなく世界的に、米国との安保条約はすでに無価値だ。
MbSやプーチンや習近平やエルドアンやモディやルラといった非米側の為政者たちは最近、外交的な動きを自由闊達に、諧謔味あふれる作法で展開している。日欧など米国側の為政者が、米国に支配され、自滅的でくだらない動きをやらされているのと対照的だ。世界はもっと非米化した方が良い。
(Saudi crown prince says normalization deal with Israel gets ‘closer’ every day)

サウジはこれから原発を作る。その原発も、米国でなく中国やロシアに発注される。イランの原発建設も中露両方に発注されており、サウジも多分そうなる。米国側には、ろくな原発製造国がなくなった。フランスも日本も落ち目だ。
日本では、福島からの排水を非難する人も多いが、中露なども同じ条件で原発から排水している。日本人自身が日本を落ち目にしていく。(こう書くと、とってつけたように、中露の排水もダメですと書いたメールが来る。私にダメだと言っても無意味です。メール要りません)
(US-Saudi nuclear cooperation makes sense because of China, not just Israel)

イスラエルにとって最大の問題は、あらゆる現実的な対応に反対して阻止する「親イスラエルのふりをした反イスラエル(隠れ多極派)」な国内の入植者たちだ。この話を書き出すと、またぞろ長くなるので今回は書かない。
(Netanyahu's Hardline Allies Threaten To Implode Israeli Govt Over Concessions To Palestinians)
https://tanakanews.com/231006saudi.htm

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