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2021年6月28日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/113164
<反骨のペルシャ 制裁下のイランは今 >
◆「ずっと墓を作り続けている」
イランの首都テヘラン郊外の墓地。夕暮れ時にもかかわらず、作業員が黙々とコンクリートブロックを運んでいた。新型コロナウイルスによる死者を埋葬する場所が足りず、1つの墓穴に4人まで埋葬できる複数層式墓地の造成が進む。
作業員の男性は「1年以上、ずっと墓を作り続けている。もう埋める場所がないんだ。毎日100〜150人が運ばれてくる」と話し、シャベルを動かした。国内の死者は8万3000人を超え、中東最多となっている。
イランで新型コロナの死者が初めて報告されたのは昨年2月末。一気に感染が広がり、当初はマスクや医療用防護服、ティッシュさえも不足した。マスクや医療用防護服は国内で生産体制を整えて対応できたが、医薬品関係は米国の経済制裁が障害となった。
米制裁は「医薬品は対象外」とするものの、実際は基本的な医薬品の原料すら「軍事転用の可能性がある」などとして認められないためだ。国産ワクチンの開発でも、実験用動物のほか医療機器や原材料が輸入できなくなったという。
◆「開発しなければ国民が死ぬ」
「やらなければ国民がみんな死ぬ」。イラン保健省のシャネサズ次官によると、そんな思いで昨年から国産ワクチンの開発が始まったという。現在、5種類の国産ワクチンの開発が進んでおり、3種類が完全な国産で、2種類は中米キューバとオーストラリアとの共同開発だ。うち完全国産の「バリキャット」は最終臨床試験を終え、25日には最高指導者ハメネイ師も接種。6月末には一般接種が始まる予定だ。
イランでこれほど大規模なワクチン開発は過去になく、シャネサズ氏は「他国の協力もあり、医療技術が大幅に向上した。皮肉なことだが制裁のおかげだ」と振り返る。
テヘラン市内にあるイラン食品薬品中央検査所では現在、バリキャットなど国産ワクチン5種の品質検査が行われている。責任者のサイード・パカザード博士は「ようやくこの段階に来た。まもなく国産ワクチンが国民の手に届く」と感慨深げだ。2022年3月中旬には、対象者全員の接種を終える計画という。
◆国外で接種のケースも
ただ、接種ペースの遅れは否めない。国際機関などから米製薬大手ファイザー製ワクチンなど4種が融通されているが、接種を終えたのは人口約8200万人のうち約400万人程度。このため周辺諸国に行って接種する人もいる。
先日アルメニアで1回目を接種した貿易業ムハンマド・バジェランさん(52)は「国産とか外国産ワクチンとか言う以前に、そもそもこの国にはワクチンがない。これは制裁のせいなのか、それとも政府の無策のせいなのか」と嘆いた。(テヘランで、蜘手美鶴、写真も)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/113011
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