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2021年6月27日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/113011
<反骨のペルシャ 制裁下のイランは今 >
トランプ前米政権による核合意離脱で2018年以降、米国の厳しい経済制裁下に苦しむイラン。制裁の影響が市民生活を直撃する半面、一部の国内産業は発展し、新型コロナウイルスの自国ワクチン開発も進む。制裁の「副産物」が生まれた事情を現地で追った。
◆企業は売り上げアップ
大型機械からプラスチックの部品が次々と飛び出してきた。その傍らで作業員が部品を研磨する。イランの首都テヘラン郊外にある医療機器メーカー「サーダット」では、医療用モニターや人工呼吸器の部品製造から組み立て作業まで同じ工場で手掛けていた。技術責任者のメヘルダード・マジダグディさん(32)は「部品の種類は400以上あるが、そのほとんどを自前で作っている」と説明する。
サーダット社は2018年の米国による制裁再開を機に、海外工場からの輸入に頼っていた部品を国内工場での自社製造に切り替えた。制裁で部品が輸入できなくなった影響を抑えたことで、制裁下でも売り上げを伸ばしている。
なかでも人工呼吸器は、19年は300台(1台約99万円)だった売り上げが、20年は新型コロナウイルスの影響もあり3500台(同約132万円)と大幅に伸びた。医療用モニターもスイスやイタリアから外注を受けるなど国外でも好評だ。レザ・チャグブザデ社長(53)は「制裁によって国内産業が活性化した。制裁による『利益』だ」と笑顔を見せた。
◆石油依存から脱却
イランでは、同社のように輸入できない製品を国内製造に切り替えて成長した産業が増えている。輸入が半分以上を占めていた冷蔵庫も今はほぼ100%が国内産だ。陶器などの地場産業も原材料を国内産に切り替え、売り上げを伸ばしている。歴史的にもつながりの深いイラクやトルコは、こうした非石油製品を売る格好の市場となっている。
国内産業の成長で石油依存度が下がり、国内総生産(GDP)の約半分を占めていた石油関連は昨年、約15%まで低下。また、制裁下でも鉄は生産量を伸ばし、4月は昨年同月比6.4%増。イラクやアフガニスタンなど西アジアにおける総生産量の7割をイラン産が占めている。
国際通貨基金(IMF)によると、イランのGDP成長率は19年こそ制裁の影響で前年比6.9%減と落ち込んだが、20年は1.5%増、21年も2.5%増の予測と回復基調にある。イラク人評論家サマン・ノア氏は「イラン政府は大型プロジェクトを相次いで発表するなど、すでに経済の危機的状況を脱しつつある。『抵抗の経済』によって国内産業が発展を遂げた」と指摘する。
◆貧富の差は拡大
ただ、大企業の発展とは対照的に、中小企業や個人商店は米制裁の影響に苦しむ。数百の小売店がひしめくテヘラン中心部の市場「グランドバザール」にある陶器販売店店員モルテザ・ゾージャージさん(40)は「小さい企業は制裁の影響でつぶれてしまった。その後に大企業が市場のシェアを奪い、さらに大きくなっていった」と説明する。
通貨リアルの対米ドル価値は急落し、今年のインフレ率は前年比で40%近い見通し。市民の給料は据え置かれるなか、雑貨店経営のアリ・エッドラットさん(35)はため息交じりにつぶやいた。「この制裁では貧しい者ほど苦しみ、金持ちはより金持ちになる」 (テヘランで、蜘手美鶴)
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