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対米強硬派の新イラン大統領で中東は不安定と混乱が継続する 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/291026
2021/06/25 日刊ゲンダイ
新イラン大統領に選出されたライシ師(C)ロイター/WANA
米国メディアの東京支局長と会話した際、話が日本独自外交の可能性に及んだ。その時、彼が真っ先に指摘したのはイランであった。
かつてエネルギー源として石油が最も重視されていた時代、イランは極めて重要な国であったが、石油の重要性が減退し、さらに米国追随の日本にとっては必ずしも優先順位が高いとはいえない。
だが国際的にみれば、いまだにイランの重要性は高い。なぜなら、世界で最も不安定な地域、中東での重要プレーヤーがイランだからだ。
このイランで大統領選があり、保守強硬派のライシ司法府代表の当選が確実になった。大統領の任期は4年で、この間、イランが対米融和政策を取ることはないだろう。そのことは中東情勢の不安定と混乱の継続を意味する。
多くの人はイスラム体制の下、イランは西側文化、特に米国に厳しい対応を取る国だと見ている。しかし、実態は違う。パフラヴィ皇帝(1941〜79年在任)時代は西欧化を進めた。中東で、社会として西洋文化を最も受容しているのはイランであろう。
例えばイランの最高学府とされるテヘラン大学では女性の比率が男性よりも高い。私が大使であった2000年ごろ、国防軍兵士の8割が米国との修復を望むという世論調査もあった。現にイランは対米関係の修復を望み、私もイラン外務省と協力して米・イラン関係修復に動いたこともあったが、結局、米側が反応しなかった。
米国の中東政策は@軍産複合体への利益Aイスラエルの利益――の2要素で決定されていると言っていい。イスラエルは最重要課題であるパレスチナ問題で、精神面、物質面双方でパレスチナを支援するイランが米国と正常な関係をつくるのを何としても阻止するというのが基本である。クリントン元大統領のようにイランとの関係を修復しようとする政治家は結局、潰されてしまう。おそらくバイデン政権でも、イスラエル寄りの姿勢は変わらない。
「『敵=米国』に関係改善の気持ちがないのであれば、我々は強硬に対応するしかない」
これが今日のイラン国民の考えで、それが保守強硬派のライシ選出につながった。国際政治では平和志向が最優先されるとは限らない。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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