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欧米はニュージーランドを失いつつあるのか?
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2021年5月20日 マスコミに載らない海外記事
2021年5月18日
ソフィア・ペール
New Eastern Outlook
もう何年もの間、全世界は中国-アメリカ対立のとりこになっている。世界経済や、政治の様々な分野における最高の地位から、アメリカや他の西側諸国を、中国は積極的に押し出しており、アメリカは:これに猛烈に抵抗している。欧米でのアメリカの重要な同盟諸国は、英語文化圏の主な国々:イギリス、カナダ、オーストラリアとニュージーランドだ。第二次世界大戦の昔から、これらの国々の諜報機関は協力を始め、その情報収集・送信システムが、全欧米を包むファイブ・アイズ諜報同盟の出現に至った。
現在の中国-アメリカ関係悪化の期間が始まると、アメリカは全パートナーを積極的に対決に巻き込み始めた。ファイブ・アイズ同盟の枠組みでの協力も反中国の方向に舵を切り始めた。それで、同盟諸国の戦略情報を、中国諜報機関から守るため、アメリカ合州国がけしかけて、ファイブ・アイズの国々で、ファーウェイやZTEのような中国通信企業を追い出すプロセスが始まった。
だがワシントンにとって思いがけないことに、連合アメリカのメンバーが要求に無条件に従うと同意したわけではない。ニュージーランドがアメリカの中国との戦いを邪魔し始めたのだ。
中国はニュージーランド全輸出の3分の1を占める最大の貿易相手国で、Covid-19流行前の2019年、ニュージーランド外貨の主要財源の一つが中国観光客だったことを想起願いたい。
2018年、アメリカが全てのファイブ・アイズ加盟諸国に、スパイ活動の脅威のため中国通信装置の購入使用をやめるよう要求した際、当初ニュージーランドは従い、2018年末、5Gネットワーク構築で、ファーウェイ装置使用を禁止した。だが2019年1月、中国はニュージーランドに予防的貿易封鎖を課し、翌月、ジャシンダ・アーダーン首相は、ニュージーランド政府通信保安局(GCSB)によるプロジェクトのセキュリティ・チェック後、ファーウェイは将来のニュージーランド5Gネットワーク事業に参加できると述べた。
その後まもなく、2019年4月、ジャシンダ・アーダーン首相は北京を訪問し、習近平中国主席と会談し、中国-ニュージーランド関係を一層大切にするとを誓った。
しばらく後、古いパートナーと中国との間で、ニュージーランドでもう一つの興味深い変化があった。
2020年11月、ファイブ・アイズ加盟諸国が、中華人民共和国指導部に、香港特別行政区立法会の民主的野党に対する抑圧的措置を止めることを求める共同声明を発表した。その後、ファイブ・アイズは頻繁に中国外務省に批判された。北京は、同盟メンバーが、中国に対し「陰謀」を企んでいると主張した。ニュージーランドは、まもなくこの批判に参加した。2021年4月、ニュージーランドのナナイア・マフタ外務大臣は、ニュージーランドがファイブ・アイズの活動範囲を超えるのは不満だと述べた。彼女によれば、ニュージーランドは、同盟の活動範囲外の問題について、ファイブ・アイズが関与するのを歓迎しない。マフタは、中国は、ニュージーランドの主要貿易相手国なので、ニュージーランドは、中国との予測可能な外交関係が必要だとも述べた。香港の状況や、欧米諸国が民族的、宗教的少数派が虐げられていると考えている新疆ウイグル自治区のような、北京と意見が一致しない問題については、ニュージーランドは、はっきり物を言う権利を保留する。
ニュージーランド外務大臣によるこれら声明の後、多くのメディアがファイブ・アイズ同盟に亀裂があり、ニュージーランドは、欧米を去り、中国の権威に屈伏する準備をしていると書き始めた。これら報道は過度に誇張されているかもしれないが、中国-ニュージーランド貿易の規模や、ニュージーランド指導部の北京に対する鮮明な敬意の表現を考えれば、このような見解が出現しても驚くべきことには思われない。
2021年5月3日、伝統的に中華人民共和国とニュージーランドが経済協力を論じる第7回中国ビジネスサミットがオークランドで開催された。サミットにはジャシンダ・アーダーン首相やダミアン・オコーナー商務長官や中華人民共和国ニュージーランド大使吴玺Wu Xiなどの高官が参加した。サミットで議論された話題には二国間貿易の開発やCovid-19流行と関連する経済危機があった。だが多くの話題は貿易や経済関係を越えていた。
結果として、世界における中華人民共和国の役割が増加するにつれ、中国との違いを解決することが益々困難になっており、それを言った、中国とニュージーランドが意見が異なり、決して同意できない問題もあるとジャシンダ・アーダーン首相は述べた。ニュージーランド首相の言葉では、中国とニュージーランドの体制と、それらシステムを定義する利害関係や価値観には、いくつか対立があり、中国の影響力が増大するにつれ、これら対立は、ひたすら増大する。これはニュージーランドにとってのみならず、インド-太平洋地域の他の多くの国々や、ヨーロッパや他の地域にとって手強い課題だとアーダーンは述べた。だが、そうした論争が中国-ニュージーランド関係における決定的な役割を果たすべきではないと付け加えて、彼女は語調を和らげた。
中国大使吴玺Wu Xiは全く軟化せず、中国の習慣ではあるが、香港や新疆ウイグル自治区で起きていることは中華人民共和国の内政問題だと、きっぱり聴衆に想起させた。
ビジネスサミット翌日、ニュージーランド議会は、中華人民共和国の新疆ウイグル自治区での状況を論じるため会合した。そこに暮らすイスラム教徒ウイグル族の間では独立の意見が強く、彼らの一部は過激イスラム主義に向かう傾向があることが知られている。この点に関し、中国当局は断固としてた措置をとっており、多くの専門家は過剰と考えている。ニュージーランド議員の小集団は、ウイグル族に対する中国当局の行動を大量虐殺と認めるよう提案した。ちなみに、ファイブ・アイズの代表三カ国、アメリカ、イギリスとカナダも、この状況を、そう描写している。下された決定は、ニュージーランド政府は、新疆ウイグル自治区での人権侵害を懸念しているが、中国当局の行動を大量虐殺とは認めないということだった。
ニュージーランド首相の声明と、ニュージーランドの行動は、この国が中華人民共和国と欧米、どちらにするか選択を決めておらず、当面双方にいい顔をしようとしていることを示している。しかしながら(中国やアメリカ合州国とニュージーランドを比較して)小さく、軍事的に不十分な国は、常に選択を持っているわけではなく、ニュージーランドの未来は、南太平洋での中国と欧米間の対決で、どちら側が勝つかに依存している。一方、歴史を通じて、ニュージーランドという国が、欧米英語圏の不可欠な部分であることは指摘する価値がある。オーストラリアとアメリカの間という地理的位置自体が、欧米との協力を促進する。だから、今ニュージーランドが、欧米か中国かの選択に直面している事実は、北京が未曾有の権力を達成し、既存の世界秩序への重要な変更が始まったことを強く物語っている。
ソフィア・ペールは歴史学博士、ロシア科学アカデミー東洋研究所、東南アジア・オーストラリア・オセアニアセンターの研究者。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/18/is-the-western-world-losing-new-zealand/
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