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元気過ぎるトランプの現在...韓国など同盟国を攻撃し、アメリカの分断を煽る
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/05/post-96255.php
2021年5月11日(火)18時52分 ウィリアム・サレタン ニューズウィーク
下院共和党会議議長を務めるチェイニー(前列左端)の批判的な姿勢に、トランプは腹の虫が治まらない(2019年11月) MARK WILSON/GETTY IMAGES
<前大統領は今もアメリカの信用をおとしめ続け、共和党も彼に批判的な幹部の追い落としを支持>
米共和党が、リズ・チェイニー下院共和党会議議長を追い落とそうとしている。ドナルド・トランプ前大統領は昨年の大統領選での敗北を「不正」だと主張しているが、下院共和党で3番目に高い地位にあるチェイニーが彼の嘘を受け入れないためだ。
共和党がチェイニーではなくトランプを選べば、真実より嘘を選んだというだけではない。それは、愛国心より隷属心を選んだことになる。トランプは「アメリカ第一」を掲げる一方で、国を分裂させ、信用を失墜させるために今も動き続けている。
1月6日、トランプは大統領選での敗北を議会が認定するのを阻止しようと、支持者をたきつけて連邦議会議事堂に送り込んだ。暴徒化した支持者の試みは失敗に終わり、トランプは1月20日に任期満了で退任。だがそれ以降、トランプはインタビューや演説、文書などで十数回にわたり、昨年の大統領選は「不正」であり、「完全な詐欺」であり、「何千万もの偽の投票用紙」によって選挙が「盗まれた」などという真っ赤な嘘を支持者に向けて唱え続けている。
こうした嘘をつくとき、トランプは反乱をあおり、政府への信頼を損ねるような表現を選ぶ。2月28日には、保守政治活動集会(CPAC)で、ジョー・バイデン現大統領は選挙に勝っていないと語った。
民主主義を壊す具体的方法を提言
「バイデンは勝ったか? いや違う」とトランプが言うと、支持者たちは「勝ったのはあなただ!」と連呼した。するとトランプは「勝ったのは『私たち』だ」とあおった。
トランプは3週間後、自身の公式サイトへの「第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・J・トランプの声明」と題する投稿で、「われわれは非合法的な選挙を行った」と主張した。4月12日には、米政府は「違憲である選挙で選ばれ、この国を破壊しようとしている急進左派の民主党員」によって掌握されていると記した。
トランプは、アメリカの民主主義を破壊するための具体的な手段まで提言している。右派コメンテーターのリサ・ブースが3月22日に行ったインタビューでは、共和党の上院議員は「姿を見せない」ことで民主党の法案を阻止すべきだと提案した。
共和党の上院議員が議事堂襲撃をあおったトランプを追及しないと決めたとき、彼らはトランプには暴力を誘発する意図はなかったと言った。だがトランプは支持者の暴力を目の当たりにしたはずなのに、今も彼らをあおるような言葉を使い続けている。右派ケーブルテレビ局ニュースマックスの3月22日のインタビューでは、「民主党がわれわれの国を破壊している」と語り、「彼らを止めなければならない」「最後まで闘わなければならない」と繰り返した。
トランプはマイク・ペンス前副大統領が選挙結果を認定したことを非難した。もし民主党が自分たちと同じように「選挙を奪われて」いたら、「文字どおり革命が起きていただろう」と激怒した。
トランプは大統領選の結果に異議を唱えるだけでは飽き足らず、ロシアなどアメリカの敵対勢力が展開してきた「アメリカの民主主義はまがいもの」という論調を支持している。
CPACでは「この国の選挙プロセスは大いに病み、腐敗している」と語った。その2週間後、FOXニュースで「アメリカは途上国並み」だと主張。さらに1週間後のブースとのインタビューでは、「アメリカには報道の自由がない」と3度も繰り返した。
韓国の文在寅大統領を激しく攻撃
4月19日にFOXニュースのショーン・ハニティのインタビューに応じたときには、ロシアや北朝鮮について「敵対的」な政府という表現を否定し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記を擁護した。
「私はプーチン大統領とうまくやっていた」と、トランプは語った。「彼が好きだったし、彼も私が好きだった」
トランプは、自分とロシアの関係が捜査されたことで「ロシアと取引を行う一切の可能性が断たれた」と主張。「大儲けできたはずなのに」貴重なチャンスが失われたと不満を語った。
彼は金正恩との関係についても自慢げな言葉を口にした。「私は北朝鮮で強大な権力を持っている男と素晴らしい関係を築いている」と、トランプはハニティに語っている。
このインタビューの少し後、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、トランプが在韓米軍の駐留継続と引き換えに韓国から法外な金を巻き上げようとしたと明かすと、トランプは自身の公式サイトで文を激しく攻撃。「私が好きな北朝鮮の金正恩は、韓国の大統領を決して尊敬していなかった」と書いた。
トランプは公式サイトで、韓国や「私たちが守っている他の多くの国」を「搾取者」と非難。これらの同盟国はアメリカに対し、「私たちが提供している軍による保護やサービス」に見合う費用を支払っていないと主張した。
トランプの言う「私たち」とは誰か。それは、自由と民主主義の守護者としてのアメリカではない。武装した金融帝国、そして彼のうぬぼれを満たす手段としてのアメリカだ。私たちがアメリカにしか体現できない価値観を支持していることを、トランプは理解していない。
だから彼は「略奪」でさえ奨励する(イラクに侵攻するなら「石油を確保せよ」とCPACで語っている)。いくつもの独裁政権と自分の関係が精査されていることで、それらの国との取引ができないことを不満に思っている。トランプが日々、自分を拒絶したアメリカの民主制度をおとしめることにいそしんでいる理由も、そこにある。
いまトランプはリズ・チェイニーを辞めさせろと求め、下院共和党はそれに応じようとしている。「彼女にはもううんざりだ」と、ケビン・マッカーシー下院院内総務は5月4日に語った。「後は誰かが動議を提出するだけだ」
マッカーシーはチェイニーを問題児と決め付けた上で、共和党は「互いに攻撃し合うのではなく、協力し合うべきだ。トランプ大統領の下で、私たちはとてもうまくやっていた」と語った。
そうはいっても、自分の国をおとしめようとする人物の下で、名誉ある団結はできない。アメリカの理想か、トランプの嘘か──アメリカは、そのどちらかを選ぶしかない。
©2021 The Slate Group
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