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岐路に立つニュージーランド:2021年外交政策の難題
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2021年3月28日 マスコミに載らない海外記事
2021年3月24日
ピョートル・コノワロフ
New Eastern Outlook
最近、オーストラリアとニュージーランドは、両国共、政治的、経済的結びつきを維持する必要がある二つの敵対国、中華人民共和国とアメリカ間と、彼らの関係でバランスをとる上で、かなりの困難を経験している。中国は彼らにアメリカが推進する反中国言説を放棄するよう強いるため、南太平洋の貿易相手諸国に、金融影響力を精力的に行使している。従って、北京とキャンベラ間の関係は、2020年にかなり悪化したが、オーストラリアの主要同盟国ニュージーランドがとった中国との関係構築に向けた手法は、オーストラリアのものとは際立って異なっている。
2008年の昔にさえ、ニュージーランドは中華人民共和国と自由貿易協定を結んだ最初の先進経済国で、後に中国商業の一帯一路構想を支持した。今、2021年初頭、ウェリントンと北京は、ニュージーランド商品に中国市場への優先的アクセスを与える自由貿易協定の再整備、更新に署名した。
人口約5百万人の島国の国内政治は、かなり安定している。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相と彼女の労働党は、続けて2度目、2020年の選挙に勝利し、労働党議員が記録的な49%で、120議席の議会で64議席を得ている。過去25年間、誰もこの種類の大多数獲得に成功したことはない。
選挙での地滑り的勝利にもかかわらず、アーダーン政権は、Covid-19流行で生じた経済結果を含め、重大な手強い課題に直面している。コロナウイルスにより壊滅的打撃を受けた経済を復活させるのは、ニュージーランド当局にとって最優先事項だ。2020年第2四半期、国のGDPは記録上、12.2%減少し、ウェリントンは経済強化を支援するため390億ドルを割り当てなければならなかった。
こうした条件下で、ニュージーランドは、相手を標的に定めた言説を強化せずに、主要貿易相手国、中華人民共和国との関係を構築する上で、実利的だった。結局、ニュージーランドの、むしろ小規模な市場は、この国を外国貿易に依存させ、グローバル危機の被害をいっそう受けやすくするのだ。
ニュージーランドは「欧米」圏に属するが、対米関係でとっている路線は、オーストラリアの路線とは異なっている。キャンベラは歴史的に、ワシントンとの親密な戦略上の結びつきを維持しているが、ウェリントンは、特に1980年代、ニュージーランド港湾に入港する核兵器を搭載した米軍艦船の問題を巡るアメリカ合州国との意見の不一致以来、より独立して振る舞っている。貿易は、ウェリントンにとっては、政治より一層優先事項で、そのおかげで、ニュージーランドの外交政策に対する中国の姿勢は、オーストラリアに対するより一層安定している。2019年4月、ジャシンダ・アーダーンは北京を公式訪問し、習近平中国国家主席によれば、これは中国との関係へのニュージーランドの強い肩入れの証明だ。
だが、このコインには裏側があり、それはオセアニアじゅうの島嶼諸国に対する中国の経済的影響力の増大だ。ポリネシアの大部分が、ニュージーランドの「担当地域」であり、そのため、そこでの中華人民共和国のプレゼンスが、ニュージーランドの国益に対する脅威と見なし得るのは周知の事実だ。その「担当地域」で中国の影響を和らげるため、ウェリントンは、オセアニアの島嶼諸国に経済援助で5億ドル以上提供し、この地域でニュージーランドの外交官増強を含む「太平洋リセット」と呼ばれる計画を策定した。中華人民共和国の存在は、島嶼国家のサモアとトンガと、2019年末に中華人民共和国を支持して外交上台湾承認を拒否したキリバスで特に目立つ。他方、オセアニアとより広範なアジア太平洋地域諸国間の接触の多様化は、彼らが採用する対外政策に好影響を与えた。オセアニア諸国は、財政支援の代替源にアクセスと、より多くの影響力を利用して、オーストラリアとニュージーランドに対する依存を緩和する能力を得た。
中国に、より忠誠な立場にたって、ウェリントンは、オーストラリア-中国紛争にしり込みしないと決めた。オーストラリア-中国貿易戦争の絶頂に、2021年1月、ニュージーランドのダミアン・オコナー貿易・輸出振興担当大臣は、オーストラリア-中国関係で緊張を緩和する措置をとり、オーストラリア貿易大臣を、北京に対する「より外交的な」「尊重する」「言葉遣いに注意深い」中国との対話を呼びかけた。この提案を、オーストラリア側は複雑な心境で受けた。特に、ニュージーランドが、アメリカ、イギリス、オーストラリアとカナダを含むファイブ・アイズ、UKUSA協定メンバーだという条件のもとで、オコナー発言は、オーストラリア官僚に懸念を引き起こした。ウェリントンは、以前にも、キャンベラと北京間の相違解決を助けるため、調停者役を務めようと申し出たが、これまでのところニュージーランド側の試みは失敗している。
いずれの場合も、ニュージーランドは、欧米放送局が広める「中国の脅迫」について、この地域で最も近い隣人オーストラリアより遥かにくつろいでいる。世界的な一時封鎖によって受けた大きな打撃後、経済再構築を目指しているので、コロナ流行後時代にさえ、イデオロギーと貿易のバランス維持は、ニュージーランドにとって極めて重要だ。オセアニアでの活動を強化する北京は、ニュージーランドの国益に対する潜在的脅威と見なされ続けるだろうが、ウェリントンは、中国と、相互に一層有益な経済関係促進の取り組みを続けるつもりだ。これまでのところ、この小さな南太平洋国家は「中国の脅迫」について、いかなる公的表明を急いではおらず、この天朝との協力で恩恵を得ようとしている。二国間関係の閉鎖性は、メンバーが、ニュージーランドを最も中国の影響力を受けやすい「グループの弱点」と考えるかもしれないファイブ・アイズUKUSA協定における、ニュージーランドの立場に悪影響を及ぼす。これは更に、この「素晴らしい」国を当然その影響圏内に引き入れる好機を失うはずのない中国と、より密接な協力にさえニュージーランドを押しやりかねない。
ピョートル・コノワロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/24/new-zealand-at-a-crossroads-foreign-policy-challenges-in-2021/
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