http://www.asyura2.com/21/kokusai30/msg/255.html
Tweet |
バイデンの大統領就任でオバマ政権の中東侵略作戦が復活する可能性(1/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102150000/
2021.02.16 櫻井ジャーナル
アメリカにジョー・バイデン政権が登場して以来、世界的に軍事的な緊張が高まっているが、中でもシリアでの動きは目につく。アメリカ軍が北東部にあるハサカで新たな軍事基地を建設していると報道されているが、そこには戦闘員や物資を輸送するために滑走路も作られ、油田地帯に近いデリゾールでもアメリカ軍は新しい航空施設を建設しているという。
イスラエル軍によるダマスカス周辺に対する攻撃も激しくなり、シリア政府が反発しているだけでなく、イラン側もイスラエルが一線をこれれば「後悔させる」と語っている。またロシア軍は地中海に近いラタキアにあるロシア軍のフメイミム空軍基地の滑走路を拡張して戦略爆撃機が離着陸できるようにしたという。
バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権は2010年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵を使った侵略戦争を中東から北アフリカにかけての地域で始めた。2011年の2月にはリビア、3月にはシリアも戦場になる。侵略を正当化するため、オバマ政権は「独裁者」による「民主化運動」の弾圧を演出した。
しかし、西側で主張された「流血の弾圧」を否定する情報は早い段階から流れていた。例えば、シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエによると、実際は限られた抗議活動があっただけで、すぐに平穏な状況になっていたという。
その調査結果をシュバリエはパリへ報告したが、アラン・ジュペ外相はそれを無視しただけでなく、シリアのフランス大使館に電話して「流血の弾圧」があったと報告するように命じたという。
その後も西側の政府や有力メディアはシリア政府による「民主化運動の弾圧」を盛んに宣伝、その情報源としてダニー・デイエムなる人物やロンドンを拠点とする「SOHR(シリア人権監視所)」を使っている。
デイエムはシリア系イギリス人で、シリア政府による「流血の弾圧」を主張し、外国勢力の介入を求めていた。ところが2012年3月、「シリア軍の攻撃」を演出する様子を移した部分を含む映像がインターネット上へ流出してしまい、その実態が知られてしまった。シリコンバレーの巨大企業が検閲してもその事実を消し去ることはできない。
SOHRは2006年にラミ・アブドゥラーマン(本名オッサマ・スレイマン)なる人物がイギリスで設立したのだが、その背後にイギリスの政府機関が存在している。イギリス外務省はSOHRに約19万5000ポンド相当の支援をしていることを認めたとイギリスのデイリー・メール紙が伝えている。
デイエムのインチキが発覚した2012年3月当時、アメリカをはじめとする勢力はシリア侵略に集中しはじめていた。その前年の10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制を倒し、戦闘員や武器/兵器をシリアへ集中させるのだが、リビアの戦闘でNATO軍がアル・カイダ系武装勢力のLIFGと連携していたことが明確になってしまう。
2001年9月11日以来、アメリカ政府は「アル・カイダ」をテロリズムの象徴的な存在にしていた。アル・カイダ系武装勢力のLIFGがNATO軍と連携していた事実は衝撃的なはずだが、一部の有力メディアが報道しただけで、西側では大して問題にされていない。
アメリカにとって好都合なことに、「アル・カイダ」のリーダーだとされていたオサマ・ビン・ラディンは2011年5月2日にアメリカの特殊部隊によって殺されたことになっている。その段階で人びとの意識の中から「アル・カイダ」も消えたのかもしれない。
シリア北部ホムスでは2012年5月に住民が虐殺されるのだが、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと主張した。イギリスのBBCはシリアで殺された子どもの遺体だとする写真を掲載しているが、この写真は2003年3月にイラクで撮影されたの。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載していた。こうした西側有力メディアの偽報道をローマ教皇庁の通信社が伝えている。
ホムスの虐殺を現地調査、報告したフランス人司教は、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」としている。その後、そうした状況はさらにひどくなっている。
こうした報告は流れたものの、アメリカなど侵略勢力は有力メディアを使ったプロパガンダで圧倒できると考えたようで、オバマ政権はシリアでの戦争を「政府軍と民主派の戦い」だと言い張り、内戦だと主張する。オバマ政権は「穏健派」を支援しているのだとオバマ大統領だと言い張る。
ところが、この主張はアメリカ軍の情報機関DIAが否定している。2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していた。
この警告は2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧されたのだ。
モスル制圧の際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。
2012年7月からDIA局長を務めていたのはマイケル・フリン中将。サラフィ主義者が支配する地域が出現するという警告がダーイッシュの登場で現実になったのだが、その結果、オバマ政権にとって目障りな存在になった。そして2014年8月に退役させられてしまう。(つづく)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。