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2021年2月1日 06時00分
【ロンドン=藤沢有哉、パリ=谷悠己】英国の欧州連合(EU)完全離脱から31日で1カ月が過ぎた。貿易の通関手続きが復活したため、双方の一部スーパーでは輸送の遅延による品不足が発生。EU経済圏に事実上残った英領北アイルランドと英本土間でも物流の障壁があらわとなった。英スコットランド地方の独立機運が過熱する中、北アが地続きのアイルランドとの統合に傾くとの観測も強まり、英連合王国の枠組みが揺らぎ始めた。
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◆空っぽのスーパーの棚「いつ届くか…」
「今日も何もない…」。1月下旬、パリ中心部のオフィス街にある英スーパー大手「マークス&スペンサー」で、男性客がつぶやいた。昨年末までパスタやサラダが並んだ棚は空っぽ。「英EUの新たな貿易関係で入荷できない商品がある」との札が掲げられ、女性店員は「いつ届くか分からない」とあきらめ顔だ。
英国は1年前にEUを離脱。加盟国並みの状態を保つ激変緩和期間も昨年末に終わり、双方は自由貿易協定(FTA)に基づく新たな経済関係に入った。
貿易では関税ゼロを続けるが、通関の手続きが復活。英側の業者が手続きに手間取って発送が遅れ、通関待ち渋滞を心配するEU側の運送会社も英国への配送を避けるなどして輸送が遅延した。一部スーパーで、事前に備蓄できなかった食品類などが品薄となった。
◆南北アイルランドに統合機運
英国産の品不足は英領の北アでも起きた。北アはEU加盟国アイルランドとの国境開放を維持するため、完全離脱後も物品の規制などに関してはEU単一市場のルールを引き続き採用。海を隔てた英本土からの物品輸送は、EUへの輸出と似た通関手続きが必要になった。
北ア東部バリークレアで有機野菜を販売するパトリシア・ギルバートさんは「英本土から商品がほとんど届かない。今後は通関手続きがないアイルランドや他のEU加盟国に頼る」と話す。英メディアによると、北アでは英本土からの仕入れを見直す業者が相次ぐ。
北アのアイルランドからの分離を定めた条約の成立から今年で100年。紛争を経て1998年に結んだ和平合意で両地域の結び付きは強まっており、英ダラム大のイーファ・オドノヒュー教授(法理論)は「北アでは離脱問題が生じた5年ほど前から、アイルランドとの再統合の議論が再燃している。経済の一体化が進めば、統合機運はさらに高まる」と指摘する。
◆スコットランドは住民投票の動き再び
英紙サンデー・タイムズの1月の世論調査では、北アの成人の42%が既にアイルランドとの統合を支持。一方、親EU派が多いスコットランドはさらに英国離れの傾向が強く、成人の49%が独立を支持した。
スコットランドのスタージョン自治政府首相が率いる地域政党は1月24日、5月の地方議会選挙で過半数を獲得すれば、独立の賛否を問う住民投票の実施許可を英政府に求めると公表。実施に向けた関連法を整備する方針も示した。
独立機運を抑えたいジョンソン首相は28日、現地を訪問し「新型コロナウイルス禍で、英国として団結すべきだ」と強調。本格化する独立運動に、オドノヒュー教授は「今後のスコットランド情勢は北アイルランドに影響する」と英国への帰属を巡る両地域の動きが連動すると指摘した。
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