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2024年5月18日 07時04分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/327833?rct=hissen
中山道大湫(おおくて)宿は江戸日本橋から数えて47番目の宿。現在の岐阜県瑞浪市大湫町に当時の面影が残る。
旧宿場で語り継がれる出来事は1861年、徳川14代将軍家茂に嫁ぐ皇女和宮らの宿泊である。京からの一行は約5千人。宿場に招集された人馬は2万8千人と820頭に上った。4日間にわたって大湫宿に泊まったという比類なき大行列である。
53年のペリー来航以来、世は騒がしくなった。外敵と向きあうため朝廷と幕府が団結しようと、別に婚約者がいた和宮を将軍家に嫁がせることに。国策たる結婚である。
現代の国策たるリニア中央新幹線が地下を通過する予定の旧大湫宿で、井戸やため池の水位低下が相次いでいる。昔、旅人も飲んだ古い井戸も枯れたと聞く。リニア建設工事の影響らしい。
JR東海は代替水源となる深い井戸を掘り、トンネル掘削を一定程度進めてから工事を中断して詳しい原因を調べるというが、水位低下が見つかったのは2月。最近になって問題が報じられてから、バタバタと対策が示されたようにも映り「対応が遅い」といった声が地元で聞こえる。喫緊の課題は不信解消か。
国難を前に、江戸で生きる決意をした和宮の歌は知られる。「惜しまじな君と民とのためならば 身は武蔵野の露と消ゆとも」。民らのため惜しむものなどない−。古今を問わず民の心を捉えるのは、そんな態度だろう。
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