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円安加速「為替介入」約3兆円が1週間足らずで水の泡…年内弾切れ、物価上昇5%へ秒読み
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/312161
2022/10/01 日刊ゲンダイ
ふたたび海外旅行は“庶民の夢”と…(C)日刊ゲンダイ
日米金利差の拡大を背景にした円安進行に歯止めがかからない。足元の円相場は1ドル=144円台をウロウロ。政府と日銀は22日にドル売り円買いの為替介入を実施し、24年ぶりに抜いた「伝家の宝刀」によって140円台まで戻したが、効果は4日ほどで消失した。弾切れすれば介入すらできなくなる。
日本の外貨準備高は8月末時点で1.3兆ドル(約185兆円)。世界的に見ても高水準だが、為替介入にすぐ回せる外貨預金は20兆円ほどで、大半は米国債などの証券だ。日銀統計「日銀当座預金増減要因と金融調節」に基づく民間シンクタンクなどの推計によると、22日の介入規模は3兆円前後。東短リサーチは3.6兆円程度とみている。すでに6分の1を消費した計算だ。
立教大大学院特任教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「過去最大の為替介入は1998年4月10日の約2.6兆円。今回はそれを超える円買いに打って出ても、効果は持続しなかった。この調子で『146円の壁』が迫るたびに大規模介入を繰り返せば、年内に資金はショートする。弾切れを防ぐために米国債などの大量売却に踏み切れば、米国の金利を押し上げてバイデン政権の怒りを買う上、円安ドル高を促進してしまう。世界の金融市場の混乱も招きかねません」
米FRB(連邦準備制度理事会)は来年以降も利上げを継続するとみられ、日米金利差は年内に4%超に広がる見通しである。
「円売りドル買いをするだけで利益が出るので、投機筋を止めることはできません。節目は147円、150円とどんどん引き上げられていく。8月の消費者物価指数(生鮮食品を除いた総合指数)は前年同月比2.8%上昇したが、この流れでは遠からず5%を超える。賃金は上がらないのに、インフレは加速します」(金子勝氏)
昨年春以降の物価上昇に対し、FRBは「一時的」と余裕をかましていたが、11月末に一転。量的緩和の前倒し終了を決め、巻き戻し、主要中銀もそれに続いた。右往左往する日本は欧米の1周遅れだ。
アベノミクスの大規模緩和に固執する日銀の黒田総裁の任期切れまで半年余り。黒田氏の退場が先か、庶民が干上がるのが先か。
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