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加速するEV化 日本の自動車メーカーは流れに乗り遅れた
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/289691
2021/05/27 日刊ゲンダイ
フォード・モーターの工場で演説するバイデン米大統領(C)AP=共同
時代はすでにEV(電気自動車)に流れている。5月18日、バイデン米大統領はミシガン州のフォード・モーターの工場視察で「自動車業界の未来は電気だ。米自動車産業は未来への競争をリードするか、後れを取るのか岐路に立っている」と演説。そして、EV関連に1740億ドル(約19兆円)規模の資金拠出を訴えた。
北欧から始まったEV化の動きは、現在EU諸国のほとんどの自動車メーカーが2030年をメドにガソリン・ディーゼル車の新車販売の禁止を発表し、各メーカーが次々に意欲的なEVを開発している。中国では35年をメドにすべての新車をEVなど環境対応車にすることを決定。昨年7月に発売された日本円で40万円台のEV車は月間4万台ペースで販売されているという。
こうした世界のEV化の流れに乗り遅れている、といわれる日本の自動車メーカーだが「2050年カーボンニュートラル」の実現を掲げた菅義偉首相は、1月の通常国会で「35年までに新車販売で電動車100%を実現する」と表明。東京都の小池百合子知事は、「30年までに販売される新車をEVなどの非ガソリン車にすることを目指す」と述べた。
政府、東京都がEV化目標を表明するなか、大手自動車メーカーの対応は割れている。
今年2月にホンダの社長に就任した三部敏宏氏は就任後の会見で、40年までに販売される新車は100%EVとFCV(燃料電池自動車)にすると言い切った。
100年に1度の大変革期
一方、トヨタ自動車は、豊田章男社長が日本自動車工業会の会見で「日本には優れた環境技術、省エネ技術がたくさんある。個々の優れた技術を組み合わせる『複合技術』こそが日本独特の強みだ」と述べた。
さらに「最初からガソリン車やディーゼル車を禁止するような政策は選択肢を自らせばめ日本の強みを失うことになりかねない」と、ガソリン車を廃止し、EV化の方針を示す政府の政策に異議を唱える。が、トヨタはEVの開発を進め、今年の中国上海モーターショーにEVを出品し、「TOYOTA bZ」の国内販売を準備中だ。
トヨタ自動車グループは関連、下請け会社を含め36万人を超える従業員が働いている。さらに自動車関連産業全体では550万人の雇用がある。豊田社長の見解を自動車業界に詳しい経済部デスクがこう分析する。
「現在日本のエネルギーは75%が火力発電です。原発が止まり再生エネルギーもEU諸国のように軌道に乗っていない。EV化を進めるならまず政府はエネルギー政策を出すべきだ。また、EV化でクリーンエネルギーを調達できる国に生産シフトが進めば、日本経済の背骨ともいえる自動車産業の雇用が失われる。それで日本経済は問題なく回るのか、という政府への問題提起です」
自動車業界はいま100年に1度の大変革期に突入している。
(ジャーナリスト・木野活明)
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