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(回答先: アメリカはタックスヘイブン 富裕層は税金払わず 投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 05 日 09:57:32)
法人税を増税しても日本から企業が逃げてゆく事は有り得ない。
グローバルビジネスの当事者がどのように動くかを全く理解できていない。法人税を40%程度まで上げたとしても、事業が海外に流出することはないだろう。しかし、海外の高機能人材が日本に何を望むのかという点を全く理解できていない政治家が殆どである。
日本では法人税を下げて国際的競争力を、などという議論も見られるが、日本の法人税が多少下がろうとも、タックスヘイブンを下回らないかぎりグローバル企業の行動は変わらない。
タックスヘイブンと言われるのは課税ゼロの国々、ケイマン諸島、英領ヴァージン諸島、バミューダなど。
グローバルビジネスにおいては、こうした国々は従業員が必要とならない法的主体を登記する場合に使われる。典型的な例はファンドである。
例えばヘッジファンドを設立する場合、ファンドそのものと、そのファンドを運営する法人の2つの法的主体を作ることが一般的である。このうちファンドとは投資家が集まって資金を置いておくためだけの法的主体であり、ファンドマネージャーやアナリストら、そしてオフィスなどの固定資産は運営側の法人に属することになる。
したがって、ファンドそのものは何処の国にあろうとも良いということになり、求められるのは利益に法人税等の税金が掛からないこと、規制が必要十分であること、そして法がしっかりと整備されていることである。国によって情報開示規制、監査、株主の権利などが異なるため、登記にあたっては目的に適した国を選んでゆくこととなる。
国際的な起業家がどの国で起業するのかを考えるときに重視されるのは、法人税とキャピタルゲイン課税の両方、そして起業家にとっての住みやすさである。電力供給などの公共インフラが信頼されているのも条件になる。停電が頻繁に起こるような国にはデータセンターを置くことは出来ないからである。
日本は非常に清潔であり、交通機関は時間に正確で、犯罪率が低く、コンサートやオペラなどヨーロッパの知的人材が好むものが多くあり、英語が分かれば日常生活には困らず、また知的人材同士の交流にも事欠かない。実際に人が働く法人を考える時には、そうした要素が重要になるのである。
グローバル企業が日本でビジネスを始めようとする時にはどうするか? 日本法人の設立を極力避けるのである。
先ず第一に、税金の掛からない(あるいは税率の低い)法人が既にあるのだから、わざわざ日本法人を作ってそこに利益を移し、法人税を払うインセンティブは本来ない。だから既存のタックスヘイブン法人のままでビジネスが出来るのであれば、それに越したことはない。
しかしながら、日本で人を雇い、オフィスを構えて商売をする場合には、海外法人でも日本の税法で居住者と判定される可能性があり、日本での納税義務が生じる。それが避けられないのであれば日本法人を作ってしまった方が色々と簡単に済む場合もあり、したがってこうした国におけるグローバル企業の一般的な行動は、可能であればタックスヘイブン法人のまま、不可能ならば日本で法人を建ててビジネスをするというものである。
グローバル企業は状況に応じて課税のないタックスヘイブン、税率の低い先進国のタックスヘイブン、そしてビジネスをする国での登記を使い分けることとなる。
日本では法人税を下げて国際的競争力を、などという議論も見られるが、日本の法人税が多少下がろうとも、タックスヘイブンを下回らないかぎりグローバル企業の行動は変わらない。
どうせ日本はタックスヘイブンにはなれないのだから、そのようなことよりも世界随一の治安や清潔さ、国民の礼儀正しさ、インフラの信頼性などを意識し、税制ではない面で高機能人材の誘致を図るべきだろう。
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