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■フロイトの罪〜セクシャル・アビューズ〜
ヴィクトリア朝時代に「精神分析」を提唱したジグムント・フロイトは、「勇気ある先駆者」だと思います。
この時代は、厳重なキリスト教的・社会通念により、性的な話題を出すことが禁忌でした。
そんな風潮のなか、フロイトは性的欲望に関する学問への切り口を与えました。
性的嗜好に関して初めて分類したのも、彼です。
彼は人間の意識には
「超自我」と「自我」、
「エロス(生に対する欲求)」と「タナトス(死に対する欲求)」、
「リビドー(欲動)」
などがある、と説いています。
フロイトはヒステリー(解離性障害・PTSD・パニック障害などの神経症)の原因が、抑圧と性的原因にある、と提唱しました。
が、彼の言は、後に性的虐待(sexual abuse セクシャル・アビューズ)を子供の願望によるものとし、20世紀後半になるまで、虐待を受けた子供達を苦しめることになります。
ヒステリーのある女性には幼児期に性的な体験があり、これを引き起こすのが「エディプス・コンプレックス」だとはフロイト言いました。
「エディプス・コンプレックス」はギリシャ神話のオイディプス神話が由来です。
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テバイの王ライオスは息子に殺されると予言を受け、妻・イオカステが無理矢理生んだ息子――つまりオイディプス――を山の中に捨てます。
オイディプスはコリントの王に拾われ、成長しました。
が、オイディプスは「父を殺して母と結ばれる」と託宣を受け、両親(育ての親)を殺したくないとコリントから出奔します。
道中、ある老人に出会い、道を譲る譲らないで喧嘩になってしまい、オイディプスは老人を殺してしまいます。
実はこれが、実父のライオスでした。
オイディプスがテバイにやってきた時、丁度テバイはスフィンクスに苦しめられていました。
オイディプスはスフィンクスを退治し、王として迎えられ実母・イオカステと結婚してしまします。
ところが数年後に疫病が流行り、オイディプスは「ライオスを殺した者を探し出し追放せよ」という託宣を授かります。
ライオス殺しの犯人を探そうとするオイディプスに対し、預言者・ライオスが「おまえがライオスの息子」と告げられ、知らず知らずのうちに父殺しと母子相姦を起こしていたことを知りました。
オイディプスは両目を潰してテバイを去り、イオカステは自害してしまいます。
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フロイトは、最初は心的外傷(トラウマ)が女性をヒステリーに陥らせているのだと思いました。
が、親の罪――ひいては、男の罪――を認めたくないのか、オイディプス神話が人間の普遍的に抱いている願望だと感じ、その幻想が娘に実父や義父・親戚などを誘惑させたのだと論破しました。
彼は、幻想は人間の無意識が造り上げるのだと説き、幼児には親と近親姦をしたい欲動があるから、親との情事の幻想をつくるのだと説きました。
つまり、娘が無意識の欲動により、父親を誘ったと言いたいわけです。
この発想は、うつ病者にカウンセラーが
「うつ病ではなく、それはあんたのわがままではないのか」
とか
「あんたはうつ病ではない」
と言うのと同じです。
これは、ドクターハラスメントです。
二次虐待を受けた女性は、傷を深くします。
現に、フロイトの診察を受けて治っていない人がいます。
「自分が悪いから、あんなことになったんだ」
と女性のなかの子供は自分を責めていたでしょう。
幼い子供は親に支配されるものです。
子供にとって親しか頼れる人はおらず、親元が安全な場所なのです。
だから、親から虐待を受ければ、深い傷を受け、居場所を無くしてしまいます。
性的虐待を犯す父親は大人として未熟です。
幼児性愛やストレスなどにより、力でもって子供を踏み躙ります。
それに対して母親は弱い人間で、何も言えない母親は夫と娘の関係を見守るだけです。
娘を女だと思って嫉妬したりする母親は、娘を罵り父親とともにさらに傷つけます。
父親などの絶対者に
「これは夢だからね」
とか
「お母さんや他のひとに言っちゃだめだよ」
などといわれたら、子供は従わずにはおれません。
こうして虐待は繰り返され、子供の傷は深く、潜在化していきます。
幼い頃に受けた心的外傷はその人の人生を崩壊させます。
被害者(サバイバー)は人間不信に陥ってアダルトチルドレンとなってしまい、酷い場合だと自殺してしまう可能性もあります。
また、幼い頃に受けてしまった傷を、人間は知らず知らずのうちに繰り返してしまったりします。
虐待の現場が夢となって何度も現われ、またずっと続く現実に子供自身が順応してしまい、まるで愛人のような慣れた様相を見せてしまうこともあります。
傷がトラウマになった事象を人生に再現させたりします。
が、傷が子供の自我をねじれさせてしまったために起こったことで、子供の真実の本意ではないのです。
性的虐待は未熟な大人が起こすものです。
子供は被害者です。
どうか、そのことを忘れないで下さい。
そして、被害を受けたひとは、なにも汚れていないです。
自分を責める必要はありません。
また、過剰な精神分析は危険です。
信頼できるカウンセラーの力を借り、ありのままの自分を取り戻すため、嘆きと癒しの仕事を行なってみてください。
フロイトが提唱したことは真実を得ているところもあります。
性的虐待と心的外傷の関連性を発見したことも、彼の抜きんでたところでしょう。
が、彼が性的虐待だと気付きながらも、目を反らしたのは、過ちだというほかありません。
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その後の近親相姦の調査でフロイトが女性の妄想だと考えていた行為がすべて現実に行われていた近親相姦の記憶だったとわかってきました。
- 1896年、ジクムント・フロイトは、論文『ヒステリー病因論』の中で、六人の男性患者と十二人の婦人患者、計十八のヒステリー症… 中川隆 2021/6/25 10:25:32
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