http://www.asyura2.com/21/ban9/msg/433.html
Tweet |
(回答先: 果たして、精神病というのは伝染するものなのだろうか。 投稿者 中川隆 日時 2021 年 5 月 28 日 09:52:42)
犯罪者は矯正できない
「子どもの脳が危ない」 福島 章(上智大学教授) 2001年 1月20日 に行われた講演より
私は、若い時から犯罪者、非行少年の鑑定をやってきました。簡易鑑定を300例、本鑑定を300から400例ぐらいやっています。MRI(核磁気共鳴映像法)やCTスキャン(コンピュータ断層撮影)で脳の形態を見ていますが、以前は、気脳写といって、脳の中に空気を入れて見るという方法でした。殺人のような重犯罪者、特に何人も殺したような例では、脳に異常があることが分かりました。
犯罪は増加しているか
今、日本人全体の脳がおかしくなって、凶悪な犯罪、特に少年のそれが増えているというわけではありません。少年の犯罪検挙者数の推移をみると、戦後に大きな山があって生活型の非行、60年代前半に第2の山があり反抗型非行、粗暴な非行が中心です。豊かになった80年代に第3の山がきて、財産犯、万引きや自動車泥棒、これはスリルを楽しむためというので、遊び型非行と呼ばれます。
90年代半ばには減りますが、ここ数年増大しています。これを第4の波として、警察、マスコミ、法務省が少年非行激増キャンペーンをしています。しかし、98年がピークで、そのあと減っています。ほとんどが窃盗のような小さい犯罪で、お巡りさんが増えたために、検挙者も増えたという側面も考えられます。
少年による殺人事件数は、以前は年400件前後だったのが、70年代から100件以下です。昔は数が多くて、いちいち詳しく報道されなかったのです。97年に神戸の14歳の少年による連続小学生殺傷事件が起きて、大きな衝撃を与えましたが、その年は75人でした。マスコミが大きく、詳しく書くほど、似た犯罪が起きるので、翌年は150人に増えましたが、99年には111人まで下がりました。少年による殺人はここ3年やや増加していますが、激増というわけではありません。
大人を含めた数では、60年ぐらいは年間3000件あったのが、世の中が豊かに落ち着いてくると、激減します。90年くらいが底を打った年で、最近少し増えています。しかし、日本の安全神話が崩壊したとか、「殺人列島」とマスコミが書く程ではありません。殺された人の年齢別数を見ると、69年では20代がかなり殺されていましたが、94年では、50代の方が若者より上です。今の子供は狂暴で、何をするか分からないと言っている世代の方が、若い時も今も殺されている数が多いのです。今の若者の方がむしろ全体としてはお互いに平和で、男女差も開いていません。
犯人の症例からみた形態異常
最初は杉並の家族4人放火殺人事件です。幼児の教育をめぐってというささいな理由で家族4人を殺し、家を全焼させました。犯人は普段大人しくて内向的でした。MRIでは、脳が腫瘤によって裂け目ができていました。
九州の妻子3人殺人事件の犯人は、最初会った時は、強いうつの状態でした。しばらくして会うと、軽い躁状態でした。MRIで、脳の形成期に起こった奇形が見られ、そのせいで、躁とうつが入れ替わる気分循環性障害になっていると診断しました。
女子校生監禁コンクリート殺人事件の犯人では、主犯格の少年のMRIでは脳には穴があいていました。風景構成法という、風景画を書かせる心理テストをやらせると、要素をバラバラに描く構成放棄が見られました。
連続殺人を犯した若い女性犯の例では、動機が薄弱で、衝動的な性格の境界人格障害であることが分りました。幼児期の重症のチックや、思春期危機などの病歴がありました。MRIでは、広範囲に神経細胞の脱落や、脳の皺が細かすぎるところなどが見られました。
栃木県の幼女誘拐殺人犯は、形の上では異常はなかったものの、全体に脳が小さい、小脳症でした。
前科もないのに急に強盗殺人で2人殺した若い女性犯は、くも膜のう胞や脳の萎縮が見られました。脳波を測ると、6サイクル陽性棘波というてんかんに似た異常がありました。
臨床統計で有意差
10年で50例ぐらいの症例が集まりました。重大犯罪の方が、脳の質的な異常、量的な異常、脳波の異常のケースが目立ちました。これを集計してみると、重大殺人犯は形の異常が60%、他の人は20%と明らかに有意差が出ました。脳波の方がもっとはっきり有意差が出ました。この結果、殺人、特に重大殺人を犯す人は、脳に形態学的な、あるいは脳波的な異常があるということを、97年ころから学会に発表し始めました。脳の異常を微細な脳気質性変化症候群、英文で略してMIBOCSと命名しました。これは、胎児期から乳児期の初期までの脳形成期に形成異常があったためであると考えられます。
ハンマーで関節を叩いて反射を診る神経学的検査という方法もあり、昨年の佐賀のバスジャック犯の鑑定では、ハンマーで叩くと右の反射が昂進していることが分かりました。MRIでは異常がなかったのですが、脳波では陽性棘波が出たので、やはり脳に異常があるということが分かりました。
18年前の金属バット殺人事件、30年前の同級生首切り殺人事件でも、脳の萎縮がみられます。情緒性欠如の人は脳の側脳室の拡大、つまり隙間が大きく、医療少年院に入る子の多くにこれがみられることは、73年ころにすでに分かっていました。
外国での研究結果
外国ではレインという人が系統的にやっています。研究のために英国から南カリフォルニアへ移った人です。殺人者の脳では、人間的感情や道徳心をつかさどる前頭葉で糖代謝が低下しています。PETという同位元素で脳内の代謝を見ると、衝動殺人では、前頭葉では糖代謝低下、本能をつかさどるところでは昂進していました。計画殺人では代謝の変化は見られませんでした。また別の研究では、殺人者のうち社会的な剥奪、虐待があった家庭出身者には脳の異常が見られないという結果が出ています。
殺人に限らず、人間の行動は、バイオ、サイコ、ソーシャル、つまり生物的、心理的、環境的、それらの関数として起こるのであって、総合して考えなければならないということで、私は多次元的な診断を提唱しています。
化学物質との関連
脳の異常に、化学物質が影響したという例がありました。92年の市川の一家4人強殺事件で、犯人の少年は、胎児期に、母親が流産防止に飲んでいた多量の黄体ホルモンに曝されました。この黄体ホルモンには男性化作用があるため、脳が超男性脳になって、高い攻撃性を獲得したという鑑定を私は裁判所に出しました。人の脳は最初はみんな女性脳として発生し、男性はアンドロジェンの働きで男性脳になります。ここで屈折するために、攻撃性、暴力性、高い活動性などの特徴が出てきます。この少年は男性化ホルモンによってさらに屈折して、超男性脳になったのです。
アメリカのライニッシュという人が、胎児期に合成黄体ホルモンに曝された子どもの攻撃性が、そうでない子の倍以上に増大していると発表しています。
環境ホルモンでも、男性化ホルモンが働くと、攻撃性が高まり、キレる、凶悪な非行が増えると考えられます。しかし女性化ホルモンが働くと、優しい子どもになります。今の子どもが全体としては優しくなっているのは、そのせいかもしれません。
子どもの脳は2歳まで発達し続けるので、この間にどんな物質に曝されるかが重要になります。ダイオキシンも母親の体内や母乳から転移して、脳の中に入ります。
- アイヌの霊の世界 中川隆 2021/6/09 07:11:47
(1)
- 凶事予言していた長野・諏訪大社 中川隆 2021/6/09 07:37:10
(0)
- 凶事予言していた長野・諏訪大社 中川隆 2021/6/09 07:37:10
(0)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。