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(回答先: どこが「フセイン独裁」なんだ!:「部族社会はどう動く」 [ニューズウイーク日本版3・19]【「部族とフセイン政権の結束は非常に固い」】 投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 13 日 22:14:38)
もともとアラブ人ってのは、父系社会でね、名前だって誰それの息子某何屋の家系どこ出身、みたいな感じでしょ。
ムハンマドは父親いなくてずいぶん苦労したみたいだから、相続や女性の保護などを通して、そこらへんの事情を細々と言い聞かせている。イスラームでは兄弟間の相続は平等だし、女の子の相続も認めているから、基本的に特出した権力ってのは生みだしにくいんじゃないかな。ムハンマド以後、権力はイスラームに付随していたからね。アラブ圏に栄えたトルコ系の帝国も、信徒の長(カリフ)からの任命とか、カリフ権の委譲という形で自らの権力を正当化してた。
大きな部族であればあるほど、本来は何をするにしても常に合議が必要とされるだろう。現にサウジ王室だって、王様一人の特権で継承者を決めたり、政治方針を決めたりはできないようだ。
第一次大戦後、英国は人工国家イラクに預言者の子孫一族で、反乱の英雄だったファイサルを王様に据えた。
欧米のTVメディアなぞ、王政時代の平和を強調するし、ファイサルが映画のアレック・ギネスみたいな英明君主であったかは知らないけれど、彼は地元部族の自主性を尊重する(言い方を替えればルーズとも言える)オスマン帝国の統治システムだけ継承して、租税徴収のためにナワバリに線引きし、部族長に強い権限を与えたらしい(イクター制みたいなもんか?)。結果としてファイサルがやったのは、英国に言われるままの西洋式植民地経営と言えるんじゃないだろうか。
ものすごい力を持った族長が、サッダームの言いなりになっているのは、当時、相当な政治的バックアップが族長個人にあったのだろうな。
経済制裁以前と以後の権力基盤とかで現状は変わっているんだが、それはもう省く。おれもよくわかんないし。今言えるのはニューズウィークのリポートをだけをして部族社会とサッダームを論ずることはできないんじゃないかってことだ。