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(再投稿失礼)サダムは化学兵器を確かに作ったし使った,しかしそれはなぜ追及されないのか 『Sapio』1998/8/26中川さん記事パク抄)
http://www.asyura.com/2003/war25/msg/700.html
投稿者 YM 日時 2003 年 3 月 12 日 02:31:20:

*以前の空耳のログから消えてしまっているようです,大事なのですみませんが再投稿

『Sapio』1998年8月26日
フセインはなぜ「ハラブジャ事件」で国際社会から糾弾されないのか
クルド人問題研究家 中川喜与志

今年(1998年)6月下旬、アメリカは、イラクで査察を続けている国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)が押収したミサイル弾頭の破片から、VXガスの成分が検出されたと発表した。弾頭の破片は湾岸戦争前のものだった。アメリカはイラクがなお化学兵器製造能力を隠しているとして、制裁解除に向けた動きをけん制する。
イラクは解析結果が歪曲されているとしてアメリカを非難しているが、イラクには化学兵器使用の〃前科〃がある。それが今から10年前に起こった「ハラブジャ事件」だ。国際社会から黙殺されたこの悲劇の犠牲者たちは今、どんな状況に置かれているのか?事件を紐解いていくと、意外な真相が浮かび上がってくる。──
(略)

先の危機では、イラクの生物兵器、化学兵器、核兵器の製造能力、原材料の隠匿
問題が最大の焦点となった。ところが、非常に不可解なことがひとつある。化学
兵器をめぐるサッダム政権最大の〃前科〃たる「ハラブジャ事件」についてまっ
たく言及されなかったことである。ハラブジャ事件というのは、今からちょうど
10年前の1988年3月16日、サッダム政権が国内のクルド人に対して化学
兵器を使用し、約5000人の死者・約1万人の負傷者を出した事件だ。イラ
ン・イラク戦争(80〜88年)最後の年で、サッダム政権は、イラン国境に近
い町・ハラブジャの住民がイラン軍を支援したとして、化学兵器の大量使用に踏
み切ったのである。犠牲者のほとんどは一般市民、非戦闘員だった。
使用された化学兵器は、びらん性ガスであるマスタードガス、神経性ガスである
サリン、タブン、VXなどの〃カクテル・ガス〃。このような複数の毒ガスが組
み合わされて、大量使用された前例はない。繰り返すが、サッダム・フセイン
は、この毒ガスで5000人ものクルド人を一瞬にして殺害したのである。
今回のイラク危機で、あれほど対イラク軍事行動への合意取りつけに奔走したア
メリカも、この「ハラブジャ事件」には不思議と口をつぐんだ。EU諸国もまた
然りだ。普通に考えれば、反サッダム・キャンペーンを展開するのにこれほどの
好材料はないにもかかわらずである。
なぜなのか?ひとことで言ってしまえば、イラン・イラク戦争時に、アメリカを
はじめとする西側諸国が「イラン封じ込め」の名のもとに、サッダム・フセイン
を公然と経済的にも軍事的にも支援していたからである。このハラブジャ事件を
突き詰めていけば、いったい誰が〃中東のヒトラー〃〃今世紀最後の悪魔〃たる
サッダム・フセインを育てたのかという問題に行き着く。世界の警察官を自任す
るアメリカが、特にこうした議論に立ち至るのを恐れたことは間違いない。

英医学者による現地調査の衝撃的な中身

ハラブジャは今、どうなっているのか?化学兵器の被害者たちはどんな状況に置
かれているのか?イギリス・リバプール大学のクリスティン・ゴスデン博士(遺
伝医学)が今年1月、現地入りし、医学調査を実施した。博士はイギリス政府の
クローン技術をめぐる諮問委員会メンバーでもある。この調査結果が、今年3月
末、ハラブジャ事件発生10周年を記念する国際会議(ベルリン)で報告され
た。
以下、このゴスデン博士の調査報告をもとに、毒ガス攻撃を受けて10年目のハ
ラブジャの現在を紹介する。
まず博士は今日に至るまで10年間、いかなる国際機関も、短期・長期を問わ
ず、ハラブジャ住民の健康状態をモニターすることはなかったことを指摘する。
国際社会がこの事件を黙殺してきた端的な証左だ。
「マスタードガス、サリン、タブン、VXなどの前例のない組み合わせの化学物
質は、ハラブジャ住民の目および皮膚、呼吸器、神経システムに重大な影響を与
えている」
特に皮膚障害については、「私がこれまで診てきたどの例よりもひどい症状だっ
た。そして皮膚がんに移行する率も非常に高い」
(略)

ヒロシマ、ナガサキに匹敵するダメージ

環境汚染も深刻だ。いっさい汚染の除去作業は行なわれていない。博士は、かつ
てハラブジャで、もっとも肥沃で緑あふれる農地だったという地区へ案内され
る。そこは、いまだに植物の枯れ果てた褐色の地だ。かろうじて生き残った果樹
がいくらかあるが、それはもはや実をつけない。小麦畑の収穫も激減している。
また、どうしたわけか、毒ヘビが巨大化し、増えているという。博士は、化学兵
器による環境汚染が生態系に重大な影響を与えていると見る。そして、汚染され
た水や、ここで収穫された食物も、住民の健康を蝕み続けているのではないかと
推測している。
(略)

クルド人たちは、かねてよりハラブジャ事件を「クルディスタンのヒロシマ、ナ
ガサキ」と呼んできた。クルディスタンは「クルド人たちの土地」という意味
で、イラク、イラン、トルコ、シリア、旧ソ連(アルメニア、アゼルバイジャ
ン)にまたがっている。またクルド人たちは、ハラブジャをヒロシマに擬して
「ハラブジマ」と呼んできた。ゴスデン博士の調査報告は、はからずも、こうし
たクルド人たちの主張を裏付ける形となった。

サッダムに毒ガスを売ったのは誰か?

ハラブジャ事件。ほとんど知られることのないサッダムの犯罪。今なお後遺症に
苦しむハラブジャ住民。事件から10年たった今、改めて考えてみたいこの事件
に関して、本当にサッダムだけが〃悪〃なのか?
ゴスデン博士の現地調査の様子は、同行した映像作家グウェーン・ロバーツ氏が
映像記録し、『サッダムの隠された時限爆弾』という作品にまとめられた。これ
は先のイラク危機の際、イギリスのチャンネル4で放映されたものである。ハラ
ブジャの地において、サッダムの投下した化学兵器は今なお、時々刻々、その殺
傷力を持続させ、次の世代にまで被害を及ぼしている。まさしく「時限爆弾」そ
のものだ。このロバーツ氏が同作品の中ていう。「80年代、サッダム政権の化
学兵器製造には複数のドイツ企業が深く関与している」

一だが実は、事件当時、イギリスの新聞『インディペンデント』は「明らかにイ
ギリス、西ドイツ、インド、ベルギー、イタリアの企業がイラクの化学兵器製造
に関与している」と報じていた。おそらく、イラクの化学兵器製造に関与したの
はドイツ企業だけではあるまい。
ロバーツ氏によれば、国連大量破壊兵器廃棄特別委員会はこれまでの査察の過程
ですでに関与企業のリストを押さえている。という。しかし、同委員会はそれを
機密文書抜いにし、ロバーツ氏らの公表要求を頑なに拒んでいるのである。
国際社会は、サッダムのこの類いまれなる犯罪を10年もの長きにわたり黙殺し
続けてきた。その背景には、事件当時、アメリカが公然とサッダム政権の保護者
役を買って出ていたこと、さらに西側諸国全体が化学兵器製造に協力していた企
業の活動を黙認していたことがある。『サッダムの隠された時限爆弾』の中でひ
とりの生存者が語る「サッダムだけが悪いのではない。毒ガスの原料をサッダム
に売ったのは誰か?10年間、国際社会は我々に何をしてくれた?……我々は疲
れた」
ハラブジャのクルド人たちに国際社会の救援の手が差しのべられるのは、いった
い、いつの日になるのだろうか?


より詳しい情報は
中川喜与志著『クルド人とクルディスタン』第一章
知られざるサッダムの犯罪「ハラブジャ事件」
http://www.ops.dti.ne.jp/~kup/kurd.html
をご覧下さい。


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