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Newsweek Japan Online
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★戦争と平和★
対イラク戦争が始まるのか、それとも避けられるのか、事態は最後のステージに来ている。ヨーロッパを中心にアメリカ主導の戦争に反対する機運が高まっている一方、アメリカやイギリスはたとえ国連安全保障理事会で新決議案が否決されても、イラクを攻撃し、武力でフセイン政権を打倒する構えでいる。
圧倒的な政治力・経済力・軍事力を背景にしたアメリカの強引なやり方に反発する人々は多い。しかし、である。もしアメリカがこれほど軍事的な圧力をかけていなかったら、果たしてイラクのフセイン大統領はミサイルの破棄に応じたろうか。あるいは化学兵器や生物兵器に関して書類を提出すると言ったろうか。
もしこれでフセイン大統領が大量破壊兵器の完全破棄に応じるとすれば、それは国連安保理決議1441号という国際社会の総意のおかげではない。アメリカが20万もの軍をイラク周辺に配置したことによる「平和的解決」なのである。その上、フセイン大統領が亡命でもしてくれれば、アメリカにとっては無血の完全勝利であり、同時に国際社会にとっては大油田の上で大量破壊兵器をもてあそぶ独裁者という頭痛の種が一つ減ることを意味する。
国際紛争が外交交渉によって解決できればそれに越したことはない。問題は、外交では解決できないときにどうするか、ということである。絶対平和主義に欠けているのはその視点だ。粘り強く交渉すると言われてしまえばその通りとしか言いようがないが、実際のところイラクのフセイン政権が交渉によって折れると考える人はほとんどいまい。もしフセインがそれほど常識的な指導者だったら湾岸戦争の後、とっくに大量破壊兵器をあきらめていたはずだからである。その間、国連による経済制裁は続いていたし、国内経済も疲弊していたのだから、国際社会と協調することのほうが国益にも沿っていたはずだ。
湾岸戦争でも、戦争に反対した人々はたくさんいた。アメリカは反戦運動を鎮静化するために、イラクが占領したクウェートで残虐行為が行われているという報道を繰り返し流した。それが本当だったかどうかはともかく、あの当時、フセイン大統領と交渉することでイラク軍をクウェートから撤退させることができるとはとても思えなかった。クウェートはもともとイラクの領土であるというのがフセインの主張だったからだ。
戦争によって勝ち取らねばならない平和もある。そうした意味で今回のフランスの行動は「両刃の剣」だ。国連による査察の継続強化を求めることで世界的に賞賛を浴びている。しかし国連安保理常任理事国の分裂を見て、フセイン大統領が譲歩を小出しにし、国際社会の分断を図っているからである。アナン国連事務総長がしきりに「イラクは国際世論を読み誤ってはならない」と言明したのも、フランスやドイツ、ロシア、中国などの姿勢がイラクを勇気づけてしまっては元も子もないと判断しているからだ。
フランスは武力行使そのものを否定しているわけではないが、アメリカに対抗する「平和勢力の盟主」みたいな形になってしまっては、そう簡単に姿勢を変えるわけにもいくまい。シラク大統領にとってもむずかしい選択である。
(藤田)
Newsweek Japan ですから米国寄りの意見になるのも当然だ。しかし、米国の圧力無くばイラクもここまで軟化しなかったことは間違い無い。Ddog