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最悪のシナリオは「アメリカの途中撤退」という中途半端な結末だ?
http://www.asyura.com/2003/war25/msg/1101.html
投稿者 YM 日時 2003 年 3 月 16 日 14:01:11:

(回答先: アジ研酒井啓子の分析2:「反米」「反イスラエル」「反トルコ」の火種が中東にバラ撒かれる抄(サピオ臨時増刊) 投稿者 YM 日時 2003 年 3 月 16 日 14:00:02)

警戒すべきはトルコの動き
ここまで述べてきたように、対イラク戦争が勃発しても、戦中、戦後とも中東諸国とアメリカとの関係は内部に不安要因を抱えながらも表面上、あまり大きな変化は見られそうにない。ただし、ここで見逃せないのが中東に接しているトルコの動静である。
トルコはNATO加盟国であり、イラクの隣国ということもあって参戦が予想されているが、単なる一同盟軍としてのサボートではなく、自国の利益と権益の拡大も狙っているのでは……とささやかれているからだ。
トルコが参戦する場合、普通に考えれば侵入ルートは国境を接しているイラクの北部である。そして、その地域はトルコ国内で排斥の対象になっているクルド民族の居住地域だ。この戦争に乗じてトルコがクルド民族を殲滅し、ひいてはイラクの北部3分の1を実質的に支配する──そんなシナリオが危倶されている。
最近では、トルコ国内でのクルド語使用を許可するなど対クルド政策は軟化してきてはいるものの、イラク国内のような自治、政党活動などは一切認めていない。なかでもトルコにとって脅威になっているのが、テロ活動を行なっていると言われるクルド労働者党であり、現在もトルコ政府は彼らに対して強硬姿勢で対処している。イラク戦に乗じて、クルド勢力全般に打撃を与えようとの構えもある。加えて、クルド地域至近にあるキルクーク油田の存在もトルコ侵略説を形成する大きな要因である。逼迫した経済状態にあるトルコが、この、イラクの産油量の3分の1から半分を占める油田を治安維持という名目で管理し、採掘権を獲得して新たな外貨稼ぎのルートにするといった情報もあるのだ。
もっとも、本当にそんな行動をとれば、国際社会から猛烈な批判を浴びてしまうのは言うまでもないことだ。特に、将来的にEUへの加盟を悲願としているトルコにとって、NATOに加盟している他のEU諸国から非難されるような事態はどうしても避けなければならない。
さらに、国境を接している中東側のイランやシリアもトルコの進出にはかなりの危機感を抱くだろう。その時点でアラブ世界には反米、反イスラエルに加えて、反トルコという新たな火種が生まれ、ひいては中東におけるパワーバランスにも大きな影響を及ぼす。果たして、トルコはこの戦争でどんな動きをするのか。いずれにせよ、この戦争が勃発した場合、国際社会は彼らの動静にも目を光らせなければならない。

最悪のシナリオは「アメリカの途中撤退」という中途半端な結末だ?

アメリカはフセインを完全失脚させねばならない

さて、ここで話をもう一度イラクに戻してみよう。冒頭で暴動は発生すると述べたが、アメリカの「戦果」次第で、同じ暴動でも方向性は異なると予測できるからだ。現在は最低限の物資、食糧の配給制度で生きることはできるものの、生物化学兵器への転用を疑われて医薬品の供給が依然ストップしたままのイラクでは、今の生活がベストと感じている人は皆無だ。戦争を経て、フセイン政権が打倒されようがされまいが、一般国民が期待するのは唯一、「今より生活が良くなること」だけである。
では、もし湾岸戦争と同じように、イラクは敗戦したもののフセイン政権自体は存続するとしたらどうなるだろうか?少なくともその後に発生する暴動は、91年の三月暴動と同じように、疑心暗鬼にかられた隣人同士の殺戮を生むはずだ。もちろん、このような悲劇は決して繰り返されてはならない。
その意味で言えば、イラク国民には反米感情の一方、実は「やるなら徹底的にやり、フセインを捕らえて内紛の要因をなくしてほしい」という相反する思いが同居しているのではないだろうか。
フセインが完全に失脚すれば、信憑性の低い情報に振り回されることはなくなり、暴動は目的の明確なムーブメントに発展する可能性がある。そもそもすべてにおいて圧倒的なパワーを持つアメリカがイラクに敗戦する可能性は限りなくゼロに近い。ならば、この際フセインのみに集中して攻撃してもらえれば、三月暴動の悲劇は回避される。ましてイラクは元来、他のイスラム諸国と比べて開放的なお国柄。生活が良くなるのなら親米政権でも受け入れる下地があると言える。
逆に言えば、イラク国民にとって最悪のシナリオは、例えば、地上戦突入後にアメリカ側の戦死者が急増して米本国での反戦気運が高まり、途中撤退を余儀なくされる。しかも空爆で死ぬのは一般国民ばかり……という中途半端な結末だろう。これでは単に湾岸撃の悲劇を繰り返すだけなのだから。反アメリカという強烈な感情を持つ一方で、アメリカの勝利によるフセイン政権倒壊を望んでもいる──矛盾した思いがイラク国民の間には渦巻いている。

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