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米国のイラク攻撃の可能性が高まる中、公明党が厳しい決断を迫られている。冬柴幹事長らが「米国支持」の政府方針に同調する方針なのに対し、党内や支持団体の創価学会内は慎重論が大勢だからだ。与党入りから3年4か月。内外の世論を二分するイラク問題で、公明党の対応が問われている。
■綱引き■
冬柴幹事長は16日のテレビ番組に出演し、イラク攻撃の是非で米国と対立する仏独両国などを「米国がイラクにかけている圧力を抜く利敵行為で、解決を先延ばしにする」と批判した。そのうえで、「(イラクのフセイン政権は)ここまで(国連安保理決議に)違反してきたのだから、世界中が(打倒に)賛成する」とイラク攻撃に理解を示した。こうした発言は、米国支持の政府方針を認めるための「環境整備」と見られる。
だが、党の外交・安保部会では「戦争には反対だ」(沢たまき参院議員)、「新たな国連決議があっても、攻撃は認められない」(若手議員)といった意見が根強い。先月の幹部会合でも「イラクが一方的に悪い」と指摘した冬柴氏に、「武力攻撃だと市民が巻き込まれる。宗教団体である支持団体は耐えられるのか」との反論が出たという。
安全保障問題の論客である市川雄一常任顧問は今月上旬、神崎代表に「イラク攻撃を『イヤ』と言えば、政権離脱という話になりかねない。支持者向けの話ばかりしていると、党の方がもたなくなる」と強調した。
執行部も一体とは言えない。情勢を見極めようとする神崎代表をはさみ、政府方針支持の現実路線を唱える冬柴氏らと、武力行使慎重論の浜四津敏子代表代行らが綱引きを続けている。
■振幅■
安保政策をめぐる公明党の対応は、他の与党からは「ぶれが大きく、分かりにくい」(自民党幹部)と見られている。
昨年12月、テロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊のイージス艦派遣に公明党は反対したが、派遣撤回までは迫らず、事実上、黙認した。2001年、国連平和維持活動(PKO)協力法改正の与党協議で、公明党は慎重姿勢だった自衛隊の武器使用基準緩和を突然容認し、自民党を驚かせた。
公明党議員の多くは、支持団体の創価学会について「反戦・平和志向が強く、武力行使にまで踏み込んだ安保政策には同調しない」と考えており、一方で与党の一員としては現実的な対応を求められている。安保政策がぶれる原因も、このあたりにありそうだ。
創価学会の指導者、池田大作名誉会長は先月26日、テロや大量破壊兵器問題などに関する提言を発表。「軍事力を全否定することは(略)、政治の場でのオプション(選択肢)としては、必ずしも現実的とは言えない」としつつも、「超大国(米国)の自制を切に望むのは、決して私1人ではないと思う」との見解を示した。
党内には「平和的解決への努力でどうしても打開できない時は、武力行使もやむを得ないということだ」(中堅議員)とする見方や、「創価学会は米国にも多くの会員がいる」として米国向けのメッセージとする向きもある。だが、創価学会側は「我々が武力行使を容認したことはない。公明党には与党としての現実的な判断があるだろうが、我々が納得できる説明をして欲しい」(幹部)としている。
■ハードル■
最終的に公明党は武力行使を容認するとの見方は強いが、安保問題をめぐる次の高いハードルは、政府が提出を模索している「イラク復興支援法案」(仮称)への対応だ。法案は、攻撃終了後、イラクに駐留する多国籍軍への支援や、紛争が予想される地域での活動など、従来のPKO協力法を超える活動を自衛隊に認めるかが焦点となる。
公明党が党勢拡大の要と位置づける4月の統一地方選を控え、党内では「『平和の党』というイメージを曇らせたくない」(若手議員)との声が根強い。踏み込んだ議論ができるかどうかは、神崎代表の指導力にもかかっている。
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米国などによるイラク攻撃を容認する新たな国連安保理決議について、公明党の冬柴幹事長は16日のNHKの報道番組などで、「(新決議がなければ武力行使に)反対だ。新しい決議を取ってほしいとずっと言っている」と述べた。一緒に出演した自民党の山崎幹事長は、「決議が取れない場合には、米国がどう(武力行使を)説明するかが非常に大事になる」として、新決議なしでも武力行使を容認する考えを示した。
山崎氏は「(日本は)北朝鮮問題も視野に入れなければいけない」とも述べ、北朝鮮の核開発問題解決に日米協調が不可欠なことから、イラク問題でも米国と足並みをそろえる重要性を指摘した。
宮沢元首相はこの日のテレビ朝日の報道番組で、「米国は(新決議なしの武力行使は)しないと思う。今になって具合が悪いから勝手にやることはできない。新たな国連決議は、玉虫色にならざるを得ない」との見通しを示した。
(2月17日01:02)