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(回答先: 米社会、具体的情報ないまま「臨戦態勢」 [朝日新聞] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 12 日 14:50:33)
ノーム・チョムスキーはマサチューセッツ工科大学の優れた言語学の教授で、国際政治、アメリカの外交政策、中東および西洋マス・メデァのイデオロギー構造などについて多くの著書がある。(たとえばエドワード・ハーマンとの共著『捏造された同意』、1988年)
彼はテキサス市民権プロジェクトによって10月19日(土)に開催される第12回市民権夕食会に出席し、LBJ学校の講堂で日曜日の昼に講演をする予定である。彼は10月7日午前に、ジョージWブッシュがイラクとの紛争に関して演説する前に、電話で本紙『オースチン・クロニクル』とのインタビューに答えた。
オースチン・クロニクル: あなたは政府が大規模な戦争への圧力をかけているのを何のせいにされますか。
ノーム・チョムスキー:少なくとも、ブッシュによって表明されている理由によるものではないことだけは確実です。
サダム・フセインは、現在では、4年前の彼ほど危険ではありません。ジョージ・ブッシュ1世が彼に大量破壊兵器の生産手段を喜んで提供していた12年前ほどの彼と比べれば、もっと危険ではありません。その当時は現在より遙かに危険でした。
ところで、あなたは今夜、ブッシュ2世の演説を通じて、サダム・フセインの恐ろしい犯罪、戦争で化学兵器を使いながらイラクの民衆を毒ガスで殺した等々の話を聞くことでしょう。これらの総てはその通り事実です。
しかしあなたは、その演説の中で「我々アメリカの援助でwith our help」という3つの単語だけは聞くことはないでしょう。ところが実際は、レーガンやブッシュ1世は、上記の犯罪が大して大きな問題ではないと考え、その間ずっと彼を援助し、大量破壊兵器の開発手段を提供し続けていたのです。
だから、大量破壊兵器がイラク攻撃の理由であるはずがないのです。むしろ疑問は、なぜ今の時期・タイミングかということです。私はそのタイミングは2つの事実と関係があると思います。
一つは、レーガン政権が以前にやったのと同じように、ブッシュ政権はテロとの戦争を口実にイラク攻撃に飛びついたのです。当時と同じ人々が同じ口実で戦争をやろうとしているのです。
彼らは国家安全保障戦略の機密文書(ホワイトハウスで10月23日に機密解除された)の文章で正確に述べている通りのことをやる手段としてテロとの戦争に飛びついたのです。つまり、世界支配を広げ、その中でアメリカが世界の支配的権力であり続けたいと思っているのです。
それが彼らがいつもやりたいと思っていた事であり、今でもやりたいと思っていることです。しかし彼らは勝利を必要としています。彼らはアフガニスタンでやれることは全てやりました。しかし今はは何か他のことをしなければならないのです。
イラクは基本的に無防備だから容易いターゲットです。彼は怪獣だから隣国で誰もサダム・フセインを守ろうするものはいません。従ってレーガン政権がリビアを打ちのめしたのと同じ方法でイラクをうち負かすことができるのです。
しかしイラク攻撃で最も重要なのはアメリカ国内の問題です。ブッシュ政権はアメリカ国民にたいして重大な攻撃をしかけています。20年前にレーガン・プログラムで彼らがしたと同じ方法で大きな赤字に向けて国を追い込んでいます。
それは社会保障費を減らさなければならないことを意味しています。実際、それが彼らの主要な目的なのです。しかしそれは具体的に言うと、健康や教育やインフラの開発、環境保護などの深刻な減額を意味しているのです。
しかし人々はそのようなことは好みません。それは人々を傷つけるだけだからです。これは、一部の特権階級のために国民全体に対する搾取攻撃をしているのと同じなのです。だからこそ、上記の社会保障問題から人々の注意をそらしておかなければならないのです。
民主主義のリーダーでも軍事的独裁者でも、総ての人が知っていることですが、そのための一番良い方法は人々を怯えさせることです。外的の恐怖を煽り立て、人々の関心を別のところに逸(そ)らしておくことなのです。
AC:この特別な戦略は火を煽り立て一層大きな戦争へ導く大きな機会になります。この戦争戦略には帝国的見地から見ても合理的論理があると思われますか。
NC:ええ、その通りです。彼らなりの論理があると思います。それは爆発する可能性がありますが、それはいつも正しいことなのです。
今年はキューバ ミサイル危機から40回目の年です。フルシチョフとケネディーがその時していたことは世界を破壊する可能性がありました。彼らはかなりそれに近いところまで来ていました。そして同じ事が何度も繰り返されました。
しかし現在の状況では、鷹派のラムズフェルドやチェニーや他の人々は、敵が誰であっても、彼らの暴力の方法がそれと比べて圧倒的な力を持っているから、事態はそれ以上悪くは成らないだろうと考えています。それはそれなりに合理的な期待です。
そして、もし何か悪い事態が起きたら、それに対する対策も彼らは十分に用意してあります。それが彼らの計算で、それはそれなりに恐らく正しいでしょう。
AC:普通の市民からの戦争反対論は、30年か40年前の市民と比べて、より強いと思われますか。
NC:比べものにならないくらい強いものです。この国の状況は40年前より明らかに違っています。20年前と比べても明らかに異なっています。暴力と攻撃性に対する多くの反対があります。
もう一度、40年前に戻ってみましょう。今年はたまたま、ケネディー政権が空軍で南ヴェトナムに対する攻撃を公の場で発表してから40年目にあたりますが、そのとき空軍はベトナムの穀物地帯を破壊し、民衆を強制収容所に追い込んでいたのです。
その当時は戦争に反対するどんな抗議もありませんでした。いまではアメリカも十分に変わり、戦争の前でも戦争反対の抗議運動がおきています。ベトナム戦争のときは、7年後になって、やっと戦争反対の抗議運動が起きたのです。
AC:あなたは現在の反対運動が短期間で変化を起こすほど強いと考えますか。
NC:それは疑わしいでしょう。そう望みますが、それは無理でしょう。とても難しい問題です。人々を怯えさせるのはいたって簡単ですから。恐怖は製造されると言うことを人々に理解してもらうのは難しいことです。
ラムズフェルド国防長官がテレビで「アルカイダがイラクと一緒になって策謀しているという決定的情報をつかんでいる」と言ったら、普通の人々はどのような反応をするでしょう。彼らは証拠がどこにあるかを話さないでしょう。そして誰かが証拠について尋ねたら彼らは言うでしょう。「ご承知の通り、それは秘密です。」
AC:他の同盟国がアメリカの軍事力に対抗するだけの何か方策を提起できますか。
NC:それは大いに疑わしいでしょう。今のところ、これに対してはっきりした兆候はまだ見えません。米国の軍事力は圧倒的です。歴史上このようなものは未だかってありませんでした。だから他国の人々は怯えているのです。
だから専門家も、「現在のブッシュ政権の政策は、他国に抑止力として大量破壊武器の開発をせざるを得ないように強制している」と指摘しているのです。彼らは通常戦力ではアメリカの軍事力を止める事ができないからです。
思い出してください。大量破壊兵器はミサイルを意味していません。9月11日以前の、既に何年も前から理解されているように、核兵器の部品を密輸してニューヨークのホテルの部屋で組み立てることは難しくないのです。同じようなやり方は他にも無数にあるのです。
ですから、専門家の報告では「ミサイル防衛構想」は単なる冗談にすぎないと書かれているのです。どんな国もミサイルでアメリカを攻撃しようなどとは考えないでしょう。そのような攻撃は3秒で吹き飛ばされるのですから。
私は今夜、何が起こるか、ブッシュ大統領が何を言うか期待しています。彼らは国連安全保障理事会で強い決議を通過させようと望んでいます。その決議は、あからさまには言わないだろうが、アメリカが望むときはいつでも軍事力を行使することを認可する決議です。それは通過するだろうと思います。
イギリスは自動的にアメリカと共同歩調を取っています。フランスはこの問題で大騒ぎをしたくありません。フランスとロシアはイラクとの石油契約を心配しているのです。しかし「アメリカがイラクの石油をコントロールするようになれば、その分け前を保障するから」と言ってフランスやロシアと取引するのは確かでしょう。
そうすればフランスとロシアは手を引きますし、中国が何もしないのは確かです。したがってアメリカは自分の思うとおりの決議を得ることになるでしょう。
AC:ここ数ヶ月で最も起こりそうなシナリオは何でしょう。
NC:私はそれに関しては特別な知識を持ちあわせていません。しかし、かなり信頼できる軍事アナリストや軍事ジャーナルの意見に同意したいと思います。彼らの意見は、たぶん1月か2月にアメリカは戦争を始めるだろうという点で、ほぼ一致しています。
タイミングが重要なのです。たぶん攻撃は冬でなければならないでしょう。なぜなら熱夏の間に作戦を遂行するのは大変ですから。また来年まで待つことは出来ません。なぜなら大統領選挙の選挙運動が作戦遂行の妨げになるからです。彼らは選挙前に戦争で勝利して、それで大統領選挙の勝利を得なければならないのです。
それは大変重要なことになるでしょう。なぜならブッシュ大統領の減税施策が2004年の選挙の大きな目玉になる予定だからです。だから選挙期間中に戦争になって欲しくないのです。彼らが期待していることはイラクで勝利し「我々は何と偉大なんだ」と国民に思わせることなのです。
しかし、これが最後のステップではないと言うことを忘れないでほしいのです。次の標的はイランで、すでに兆候があります。シリアを対象とする策謀もすでに始まっています。
人々を恐怖させ、その統制を拡張するための一連の道具立てを彼らは持っていますし、それをつくりだすことが彼らにはできるのです。そして、この恐怖政策は、どこかで反応が起きるまで、つまり戦争反対運動が起きるまで続きます。
そのような反応はアメリカ国内でこそ起こるべきですが、人々が政府によって掻き立てられた恐怖に怯えている限りは起こらないのです。
AC:中東で、もし特にイスラエルが、このイラク攻撃に参加した場合、アメリカによる(民衆にとって不幸な)アラブ諸国との同盟関係は崩壊し始めるでしょうか、それとも維持されるでしょうか。
NC:アメリカが支援しているアラブの独裁政権が、自分たちの民衆を統制することに失敗すれば、そういう崩壊は起こりえるでしょう。
AC:そしてワシントンの人々はそんな危険を冒したいのでしょうか。
NC;もちろんでしょう。