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(回答先: アメリカは正常か アブ・ハバル 投稿者 Ddog 日時 2003 年 1 月 30 日 23:40:11)
中東各国に反米感情拡大
アブ・ハバル
2003年01月28日
イラクに対するアメリカの攻撃が声高に叫ばれるに従い、アラブ諸国の中では、反米感情が拡大している。エジプトでは政府が厳しい反米活動規制を敷き、イスラム原理主義者や民族主義者に対し、締め付けを強化しているが、その政府側の網をくぐったようにアズハル大学を始めとしデモが頻発している。
エジプト以外にも、イエメンやシリア、バハレーンなどでも反米の機運は強く、デモが行なわれている。湾岸危機時にアメリカによって、イラク軍の支配から解放してもらったクウエイトですら、アメリカ軍の駐留に対する反発は少なくない。
クウエイトでは、既に7件のアメリカに対するテロが起こっているし、テロではないがクウエイト人による嫌がらせは、何度と無く起こっている。また、アメリカに呼応するイギリス人に対しても、国連職員が銃で脅されるというケースが何度も起こっている。トルコの副首相がアメリカを痛烈に非難してもいる。
アラブや中東諸国の大衆の、アメリカに対する反発ばかりではなく、穏健な手法ではあるが、地域各国政府のアメリカに対する見方にも厳しいものがある。エジプトのマーヘル首相は、アメリカが戦争を急ぐのではなく、査察に十分な時間をかけ、平和的にイラク問題を解決すべきだし、平和的に解決する余地はまだ残っている、と発言している。
シリアのアサド大統領も、平和解決を望み、アメリカがイラクに対し、あくまでも武力による解決を試みるのであれば、中東地域は未曾有の混乱に陥るだろうと警告している。
アラブ各国首脳は、アメリカによるイラク攻撃が、地域に混乱を招くことに不安を抱いているが、その理由は、地域全体の混乱発生に加え、イラクに次いで、自国がアメリカの非難や攻撃の対象になるのではないかという懸念だ。
そうした不安が中東諸国6カ国(トルコ、イラン、シリア、エジプト、サウジアラビア、ヨルダン)によるイスタンブール会議の開催に繋がったと考えるべきではないのか。各国が国内向けのエクスキューズで会議に参加した、という論評が目立つが、決してそればかりではないと思うべきだろう。
ウルジー元CIA長官が、イギリスのオクスフォードでの講演の中で、サウジアラビアやエジプトの体制は非民主的であることから、イラクの後にしかるべき対応が、アメリカによって取られることを示唆している。サウジアラビアはこうした不安から、国内法の改正や、人権委員会の招聘を進めてもいる。エジプトは2月に、後継予定とされているムバーラク大統領の次男ガマールを訪米させることを決めた。
サウジアラビアやエジプトばかりではなく、イラクの次に攻撃が懸念されるシリアやイラン、リビアも、同様にアメリカの出方に対し、大きな不安を抱いている。各国は何とかアメリカの非難と攻撃から逃れようとし、国内改革や西側寄りの姿勢を示すことに必死になっている。イランでは長期間に渡って自宅軟禁状態にあったモンタゼリ師に自由が与えられることになったし、シリアでも自由化への法改正が進められリビアでも閣僚人事の変更を行っている。
その意味では、アメリカのイラクに対する恫喝が、一定の効果を中東諸国で生み出したといえるかもしれない。しかし、同時に、アメリカの力によるごり押し的な対応は、中東地域の多くの大衆に、テロという選択肢を正当化させ、支持させる土壌を作り出してもいるということを忘れてはなるまい。