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【ワシントン中島哲夫】アーミテージ米国務副長官は17日、毎日新聞などとの会見で、北朝鮮の核問題に関する米政府の見方と対処方針を幅広く、率直に語った。ブッシュ政権が現在の米朝枠組み合意を事実上、破棄し、新たな枠組みで核兵器開発を完全に封じるなど、北朝鮮の危険を大幅に除去しようとしていることが明確になった。
アーミテージ副長官は、パウエル国務長官が最近、米紙とのインタビューで表明した米朝枠組み合意に代わる「新たな取り決め」について、長官よりも踏み込んだ説明をした。これを実現するうえで最大の難関は、北朝鮮をどう説得するかだ。
副長官は、中国が北朝鮮に石油や食糧を提供している事実を紹介しながら「中国には大変な力がある」と期待を示した。しかし同時に「中国の影響力行使は目には見えないに違いない」とも述べた。
さらに、米国がエネルギー・食糧支援を見返りに提示して行った対話提案を「絵に描いた餅」であり「欺まん」だと非難した北朝鮮外務省スポークスマンのコメントを「私には興味深い」と評し、前向きのシグナルが含まれている可能性を指摘した。
一方、当面の課題に関して最も注目されるのは、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への対応だ。アーミテージ副長官は、米国が03年度分のKEDO拠出金として計上している予算は350万ドルであり、それは「KEDOを生かしておき、運営コストのうちの米国分を支払う」ための金額だと説明した。
米国が負担した02年分の資金は約9000万ドル。その大半は北朝鮮に提供する年間50万トンの重油の購入費用だ。「350万ドル」とは、米国にはとりあえず重油提供を復活する意思がないことを意味する。
副長官は、KEDOは必要に応じて活用するため存続させると解釈できる説明をした。また、軽水炉建設は日韓の負担で行っている事業であり、継続の可否はKEDO理事会が決めることだと語った。しかし同時に、火力発電所の方が安価かつ短期間で完成できることにも言及した。エネルギー支援の形態を変える場合にKEDOの実務能力を使おうという思惑をにじませたとの見方が可能だ。
アーミテージ米国務副長官が17日、日本人記者団に対して行った会見の発言要旨は次の通り。
◆新たな取り決め
(94年の)枠組み合意はその目的を達せず、今回、高濃縮ウラン施設の問題が発覚した。パウエル国務長官が言及した「新しい取り決め」は、これらすべてを包含したものになるだろう。(核以外の)通常兵力の軍事的脅威や化学兵器を含むすべての大量破壊兵器についても北朝鮮と協議することを望んでいる。
◆不可侵の保証
いかなる不可侵条約も米議会を通過する可能性は全くない。しかし、最近、ブッシュ大統領もパウエル国務長官も、米国が北朝鮮に敵意を持たず、侵攻するつもりもないと話している。書簡の交換か公式声明などの形で、これを文書化する方法があると信じている。北朝鮮は彼らが望む体制を維持することができる。
◆中国の影響力
中国が公然と北朝鮮に圧力をかけることは考えにくい。しかし、中国には非常に大きな能力がある。割安な石油と食糧を供給しており、影響力を及ぼすことができる。ただし、その影響力行使は目に見えないだろう。
◆ミサイル実験
(今後の北朝鮮の動きの中で)最もあり得るのはミサイル実験だろう。実験可能ないくつかの異なるミサイルがある。驚くことではない。核爆発の実験も可能だが、その兆候はない。
◆KEDOの将来
KEDOの分担金として03年予算には運営費の350万ドルを計上した。現時点でKEDOは、将来に道を残すためのシグナルとして生かしておく以上のものではない。
◆「時間はある」
問題を外交的に解決するために、まだ時間はあると信じている。そのために多くの異なった努力をし、多くの国と緊密に協議している。
【北米総局】
[毎日新聞1月18日] ( 2003-01-18-12:38 )