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【ハバロフスク徳増信哉】小泉純一郎首相は12日午前(日本時間同)、ハバロフスク市内のホテルで、プリコフスキー極東管区大統領全権代表と会談した。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日(キムジョンイル)総書記の2度の訪露に同行し「金総書記と最も長く接した外国人」(外務省筋)と言われるプリコフスキー氏が、小泉首相に語った金総書記の印象は――。
■米前政権を評価
プリコフスキー氏によると、金総書記は昨年8月の同行列車の中で、ブッシュ米大統領が北朝鮮を「悪の枢軸」の一つに挙げたことに触れ、「ブッシュ(大統領)が厳しい態度を示せば、自分はブッシュにさらに厳しい態度を示すであろう」と警告した。その一方で、米朝枠組み合意を築いたクリントン米前政権時代の米朝関係には「満足していた」という。
対話の相手として認めてくれた前政権への評価と現政権への警戒心。プリコフスキー氏は「国民から尊敬を受けたいと思っているが、外から力をかけられたと国内的に受け止められることは許さず、反発する」のが金総書記だと語った。
間近に接した金総書記は「常識を有した人」で、小泉首相はじめG8(主要8カ国)のリーダーについても「情報をよく研究している」と言う。プリコフスキー氏は「平等という条件で話をすれば、肯定的な結果を得ることができる」と繰り返し、国際社会が北朝鮮を「対等」な相手として扱ってやればいい結果が出る、という考えを小泉首相に伝えた。
■エネルギー危機
プリコフスキー氏は、北朝鮮のエネルギー問題を「カタストロフ」(危機的、破局)だと表現。自分の印象だが、と断ったうえで「エネルギー問題が解決すれば(北朝鮮の)核の問題も解決していくのではないか」との見通しを示した。
これに対し、小泉首相は「まず北朝鮮が、核拡散防止条約(NPT)脱退決定を撤回するなど対応をすべきだ」と述べ、瀬戸際政策を続ける限りは対話は難しい、という考えを強調した。
2人はこのほか、石油パイプラインなどエネルギー分野の極東開発についても意見交換した。首相から拉致事件解決に向け具体的要請はしなかったが、政府はこうした会談を通じ、日朝関係打開の糸口を何とか見いだしていきたい考えだ。
◇ ◇
4日間のロシア公式訪問の全日程を終えた首相は12日夜、ハバロフスクから帰国した。
日露首脳会談要旨
小泉純一郎首相とプリコフスキー極東管区大統領全権代表との12日の会談要旨は次の通り。
首相 拉致や核をめぐる解決できないと日朝正常化はできない。この機会に金総書記、北朝鮮への見方を聞きたい。
プリコフスキー氏 北朝鮮は行動が予測できない国だ。金総書記は自分の国と国民を愛し、国民から尊敬を受けたいと思っているが、対外的に力をかけられたと国内的に受け止められることは許さず、反発する。一緒に旅行している際に、ブッシュ米大統領の「悪の枢軸」発言について、金総書記は「ブッシュが(北に)厳しい態度を示せば自分はブッシュにさらに厳しい態度を示すであろう」と言っていた。
金総書記は、クリントン米前政権時代の米朝関係、オルブライト前国務長官との会談に満足していた。今、平等なパートナーとしてであれば金総書記は交渉する用意がある。2国間協議であれ多国間協議であれ、自分はそう考えている。
北朝鮮のエネルギー問題はカタストロフ(危機的、破局)状況にある。これは自分の印象だが、エネルギー問題が解決すれば核の問題も解決していくのではないか。
金総書記は高い教育を受け、知識が豊富で豊富な情報を有し、注意深く内外の経済状況も研究している。G8(主要8カ国)のリーダーについての情報もよく研究している。常識を有した人で、平等という条件で話をすれば、肯定的な結果を得ることができる。
極東で日本からのビジネスの関心は水準が低く不満だ。今回の首相訪問が両国、極東地域の発展に大きな弾みを与えることを期待したい。
首相 日本と米国は、まず北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)脱退決定を撤回するなど、対応すべきだという立場だ。米国も交渉のドアを開けており、平和的解決を求めている。北朝鮮に粘り強く平和的解決を働き掛けていくことが重要だ。我々は、極東地域との関係を重視している。
【ハバロフスク・徳増信哉】
[毎日新聞1月12日] ( 2003-01-12-23:56 )