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01/10 15:01 試練の国際システム改革 岐路に立つ「米帝国」 外信442
「新アメリカ帝国」の時代が来たのだろうか。米外交専門誌「フ
ォーリン・アフェアーズ」に「米国の帝国への野望」という挑発的
な論文を寄せた米ジョージタウン大学のジョン・アイケンベリー教
授(国際政治)は、米国が、第二次大戦後に形成した国際システム
を改革し新たな時代に対応させるのか、あるいはこれまでのシステ
ムから独り抜け出し、「世界の警察官」として単独主義で行くか、
大きな岐路に立つと見る。(ワシントン共同=会田弘継)
―現在の米国は「新しい帝国」だろうか。
「帝国だとすれば、歴史上になかったタイプだ。極めて開かれ、
ダイナミックで、(国際的)協力メカニズムを備えている。わたし
はこれを『アメリカン・システム』と呼ぶ。その力は一九四○年代
に形成された欧州と日本との同盟関係を基礎とする。加えて、国際
通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)という国
際機関が米国を中心に重層的な政治秩序を形成した」
「ソ連崩壊後、欧州は内向きとなり、日本は深刻な経済問題を抱
え、米国は軍事力を増大させた。九○―九八年の成長率は米国が2
7%、欧州は16%、日本は7%だ。他の大国が落ち込んだ分、米
国の力が強まり、そこに米中枢同時テロ(9・11)が起きて、米
国は力ずくの介入政策を取るようになった。さらに一部の保守派は
、あちこちの国の改造まで求めている」
―9・11のような事態を許すグローバル社会は、そのシステム
の改革を求めているのでは。
「そう思うが、どんな改革が必要か議論しなければならない。こ
れまでは国家間で抑止を効かせ、安全を維持した。9・11で、国
家しか持てなかった破壊力を国際テロ組織という私的グループが持
てることがはっきりした。彼らは死をも恐れないから、抑止できな
い。これまでの武力行使のルールはほごになった。自分への攻撃が
極めて迫った時には先制攻撃が許される。それは自衛権の範囲内だ
が、今論議されているのは、攻撃が迫っていなくても、予防措置が
取れるかどうかということだが、武力行使に歯止めが効かないとこ
ろに行きかねない」
―米国の単独行動は、時代遅れとなった国際法と現実とのギャッ
プを埋めるやむを得ない行動との指摘がある。
「米国が選択すべき唯一の合理的な道は、大量破壊兵器、テロ、
ならず者国家への対応で、先頭に立って新たなルールをつくること
だ。ところがブッシュ政権は新世界秩序形成に向けて国際協力型の
対応を取ろうとはせず、必要なら単独行動をしようという姿勢だ。
欧州は世界に目を向けず、日本も歴史的理由で軍事大国になれない
と、悲観的に見ていることが背景にある。単独行動が良いと思って
いるのではない。他に方法がないと思っているのだ」
「米国は岐路に立っている。一方的に力を行使する保安官として
、独りで世界を切り盛りするのか。それとも、国連や日欧などの同
盟国、国際機関と協力し、それらを二十一世紀に対応できるように
改革していくのか。米国の成功は、国際機関や同盟関係を通じて行
動したからだと考える穏健派と、脅威に対応する心構えが他の国は
できていないので、世界の警察官になろうという保守派が大論争を
している。大量破壊兵器問題では、単独で武力の脅しをかけながら
イラクや北朝鮮を追い詰めるか、国際協調で圧力をかけていくかだ
」
―イラク戦はいくつかのシナリオが想定できる。
「最悪なのは、激しい抵抗に遭い、長い戦いになることだ。中東
は不安定化し、世界経済は一層の不況に陥り、日本経済は立ち直れ
ず、国家主義的な政治家が登場…と悪い連鎖反応が起き、暗黒時代
が来る。そんなリスクを負って開戦する十分な理由は示されていな
い。現在国連査察官がイラク中を調べ回っているが、これで十分で
はないか。イラクを世界中が見張る。それで問題は軽減されている
と思う」
「(貧困問題では)主要先進国が一緒になって、貿易や援助政策
、開発投資など、地味な仕事に何十年も取り組むしか道はない。テ
ロの問題の95パーセント以上は、社会経済的状況なのに、米国が
軍事的にしか見ようとしないのは、実に悲しい」
(了) 030110 1501
[2003-01-10-15:01]
01/10 15:01 戦後の国際システム 外信444
第2次世界大戦の終結に伴い冷戦が激化、米国は安全保障、経済
の両面で共産勢力に対峙(たいじ)する世界秩序を構築。米国中心
の国際機関、同盟関係を駆使し国益を実現するシステムをつくり上
げた。
安全保障面では主権国家による集団的安全保障体制を目指した国
連の創設に尽くす一方で、ソ連の周辺地域に経済・軍事援助を与え
、共産勢力の膨張を阻止。1949年には北大西洋条約機構を結成
、アジアでは日本、韓国などと二国間同盟を結び、ソ連、中国をけ
ん制した。
経済面では、44年に米ニューハンプシャー州で開いた会議で戦
後の国際通貨体制(ブレトンウッズ体制)を確立、米国が強い影響
力を持つ国際通貨基金(IMF)と世界銀行を両輪に、安定した為
替レートに基づく自由貿易体制、市場経済の普遍化を進めた。(共
同)
(了) 030110 1501
[2003-01-10-15:01]
01/10 15:01 J・アイケンベリー氏略歴 外信443
ジョン・アイケンベリー 1985年、シカゴ大で政治学博士号
。カーネギー国際平和財団、国務省などを経て、ペンシルベニア大
、プリンストン大で教壇に立ち、2000年からジョージタウン大
教授。著書に「勝%