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(回答先: 北朝鮮が黒鉛減速炉に核燃料棒搬入 [読売新聞] 投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 26 日 15:14:24)
北朝鮮が寧辺の実験用黒鉛減速炉の施設内に燃料棒を運びこんだことで、94年の米朝枠組み合意で凍結された北朝鮮の核施設再稼動の準備は整いつつあるといえる。しかし、北朝鮮が実験炉を再稼動しても国際社会が憂慮するプルトニウム抽出までには、技術的にいくつかの段階を経ることが必要で、専門家筋は最低1年かかるとみている。北朝鮮の狙いの核心が、再稼動ではなく、米国を対話のテーブルに引き出す事にあるのは明らかだ。
通常、原子炉を一定期間運転した後に使用済み燃料棒を取り出し、再処理するには、燃料棒を1年程度冷却する必要がある。その後、燃料棒の加工、化学処理を経て核兵器に必要なプルトニウムを取り出すことになるため、さらに時間が必要だ。国際原子力機関(IAEA)の査察官2人の国外追放措置を取っていないのも、現在の行動が北朝鮮の主張する「電力生産再開」の範囲を逸脱する「使用済み核燃料棒の再処理」ではなく、原子炉再稼動のための燃料装着準備に限定されていることを、査察官を通じて、国際社会に確認させる意味合いがあるとも考えられる。
しかし、米国の姿勢に変化はない。米朝対話再開のめどが立たない場合、北朝鮮側は査察官追放に加え、93〜94年の核危機の際に宣言した核拡散防止条約(NPT)の保留を完全脱退に切り替える可能性がある。NPTを脱退をすれば、国際原子力機関(IAEA)は、北朝鮮に対する保障措置を取る根拠を失い、問題は国連安全保障理事会に持ち込まれ、緊張はさらに高まる。
北朝鮮当局は核施設再開宣言以来、国際社会の予想を超える速度で準備を進めてきた。その背景に米国がイラク攻撃準備のため、本格的に北朝鮮問題に取り組む余裕はないとの判断があるとすれば、北朝鮮側は有利な立場での米朝対話再開の条件作りのため、核再処理をはじめ核兵器生産の準備完了に全速力で取り組むことも考えられる。しかし、実際に核兵器の本格生産に入ってしまえば逆に、米国や国際社会は北朝鮮に対する経済支援や早期対話に乗り出すことは極めて困難になる。北朝鮮の「瀬戸際戦略」の困難さと危険性は、北朝鮮指導部が、その瀬戸際を見極められるかどうかにある。【大澤文護】
[毎日新聞12月26日] ( 2002-12-26-13:40 )