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国際原子力機関(IAEA)は21日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が同日、米朝枠組み合意で凍結されていた寧辺(ヨンビョン)の核施設の1つである5000キロワットの黒鉛実験炉にIAEAが設置していた封印を一方的に撤去、監視カメラにも覆いをかけたことを明らかにした。これによりIAEAは凍結の継続を監視できなくなり、枠組み合意の危機はいよいよ深まった。
IAEAによると、寧辺では21日、北朝鮮の作業員が封印のほとんどを撤去し、監視カメラの撮影方向を変えたうえ、覆いをかけた。封印の撤去は、原子炉周辺にとどまらない。90年初頭から約8000本の燃料棒が貯蔵されてきた使用済み核燃料用プールの封印も撤去された。査察官は撤去作業を確認した。
IAEAのエルバラダイ事務局長は21日、度重なる警告にもかかわらず実行された今回の措置は「極めて遺憾」とする書簡を、北朝鮮の李済善(リ・ジェソン)原子力総局長あてに送付。北朝鮮がさらに別の施設でも一方的な撤去を進めぬよう警告した。
IAEAは、国連安保理に報告するための緊急理事会の招集を視野に入れ始めた。
5000キロワットの実験炉は、寧辺でIAEAが監視している5施設の1つ。過去に北朝鮮の申告を超える量のプルトニウムが抽出されたとみられる核疑惑の中核施設だ。プールの燃料棒は、将来IAEAが過去のプルトニウム抽出の経緯を検証するために保存されてきた。北朝鮮は94年、査察官の到着前に燃料棒の一部を取り出し、過去をわかりにくくした経緯がある。今後、北朝鮮は、査察官の追放などさらなる査察活動妨害や実験炉の再稼働など対応をエスカレートさせる可能性がある。
IAEAは「北朝鮮側は封印撤去を着々と進めており、原子炉再稼働の意思は明らか」としている。さらに近くの核燃料工場や再処理施設の封印を解く可能性も高まっていると見て、事態を深刻に受けとめている。 (21:11)