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「悪徳の最たるものは、いかなる悪徳をも恐れず、悪徳を自慢し悪徳を後悔しないことである」(ローガウ、ドイツの詩人、1604-55)
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約2ヵ月前、『平成14年版犯罪白書』を読んだ。今、日本は容易ならざる「犯罪国家」に化している。私は『犯罪白書』の内容を多くの人に話し、また、何人かの政治家には「犯罪問題をもっと重視してほしい、国会で取り上げてほしい」と要望した。
『犯罪白書』の「はしがき」にはこう書いてある。
「我が国の刑法犯の認知件数は、平成8年以降、連続して戦後のワースト記録を更新し、平成13年では358万件を超えた。……検挙率は戦後初めて20%を下回った。特に……強盗の検挙率が下がったのは気掛かりな動向である」
「犯罪の原因は……社会環境の変化、経済情勢や国際化の影響等様々な要因が複雑に絡み合っている。……特に、昭和末期から平成初期のいわゆるバブル経済が崩壊して以来、10有余年の長期に渡って経済不況が続き、この間、大企業の倒産、金融機関の破綻、リストラの強化、完全失業率の上昇等、高度成長時代には想像すらできなかった事象が出現した。最近の我が国の犯罪情勢には、こうした社会・経済状況が深く関わっていると思われる」
『犯罪白書』は閣議承認の公文書である。この性格上、これ以上の記述は不可能であろう。しかし、小泉政権が推進してきた構造改革政策によってもたらされた不況の深刻化、銀行・企業の倒産、リストラ=失業者増大が、犯罪を増大させている大きな要因であることは明らかである。
小泉構造改革の信奉者は、1980年代のサッチャー革命を賛美する。しかし、サッチャー革命がつくりだしたのは英国経済の活性化だけではない。もう一つの側面から目をそらすべきではない。物事には明と暗がある。サッチャー革命によって起こった暗の部分とは、失業率の増大、犯罪の急増、貧富の差の拡大などであった。
サッチャー革命は英国経済を一時的に繁栄させ、一部の富裕階層に益をもたらしたが、その反面で数多くの貧困層を生み出し、〃失業と犯罪の社会〃をつくりだした。これを是正するためにブレア労働党政権が苦労していることを忘れるべきではない。私が思うに、小泉構造改革とは20年遅れのサッチャー革命である。これほど愚かなことはないと思う。
しかも、この愚かな小泉構造改革の試みを、テレビ、新聞などのマスコミは支持してきた。それだけではない。〃小泉構造改革〃批判者には発言の場を与えようとせず、〃抵抗勢力〃などと呼んで一方的に批判し、社会的影響力を奪ってきた。
これは1960年代半ばから70年代末に中国に吹き荒れた文化大革命の先鋒隊の役割を果たした中国共産党系新聞を彷彿させる。猛省を促したい。日本は30年以上も前の中国文化大革命の大愚行を繰り返してはならぬ。
国民の命と財産を守るために犯罪を抑制することは政府の第一義的責任である。この責務を軽んじる為政者は真の為政者とは言えない。しかし、小泉内閣には犯罪が激増していることに対する危機感がまったくない。犯罪対策を軽視している小泉政権のもとでは、警察行政のモラールの衰えすら憂慮される。結局、国民が小泉政権への姿勢・見方を変えることが先決である。