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★FRBの非伝統的金融政策"イールドカーブ・ストラテジー" ★
先週7日の米雇用統計をきっかけとして3月18日のFOMCでの利下げ観測がニューヨーク市場で急速に台頭した(その後のフェデラルファンド金利先物は雇用統計前の水準に戻りつつある)。筆者は今月のFOMCは材料不足のため利下げは見送られ、米国のイラク攻撃開始後に、原油価格高騰の影響を見極めながら緊急利下げが行われると予想している。
一方で、このところ金利引き下げ余地が乏しい中でFedが今後採りうる「非伝統的政策 」について関心が集まっている。Fedの金融調節解説で評価が高いライトソン社チーフエ コノミストのL.クランドール氏は、オーバーナイト金利の目標値がゼロ%に到達するま での間のFedの戦略を次の様に予想している。
Fedは、しばらくは現在の金融調節手法を継続する。しかし、フェデラルファンド金利 を0.75%より引き下げていく局面では、同時に中長期金利を押し下げる"イールドカーブストラテジー"に乗り出すだろう。
昨年11月の講演でバーナンキ理事は、残存2年の金利に目標を設定して「ペッグ」する ことを提唱した。しかし、ペッグは実務上、様々な問題を発生させる。例えば、2年金利 のペッグを宣言した場合、債券トレーダーは売買益を稼げなくなるので、2年物米国債の 入札は不調になる。その際、Fedは残額を引き受けなければならなくなる。或いは、Fed が引き受けることを見越して、財務省が2年債の発行額を引き上げていく可能性もある( つまり国債管理政策と金融政策の分離が崩れる)。このように、ペッグを維持するためには、Fedは常に財務省と協調を図らなければならないが、Fedはそれを嫌っている。経済が非常事態に陥らない限り、中長期金利のペッグ は採用されないだろう。Fedは固定的な目標を掲げずに、巨大な規模の米国債購
入を実施 する手法を好むと思われる。
具体的には、
@ 短期の資金供給手段であるレポオペの残高を減らす。レポオペの残高は$20〜30billionあるので、それを減少させた分だけ、長期国債買切りオペの拡大余地が生まれる。
A また、Fedの現在のポートフォリオには残存期間の短い債券が多い。全体に占める残 存1年以内の債券の比率は60%強なので、短期債の購入を控えたり、或いは残存の短 い保有債券を市中へ売却すれば、その分、長期債の購入余地が広がる。
以上のイメージは1960年代に行われたツイストオペの考え方に近い。当時は結局、イー ルドカーブをFedが意図どおりにコントロールすることができなかっただけに、現代にお いて効果がどの程度現れるかは未知数である。
ところで、最近の講演で、グリーンスパンFRB議長やコーン理事は相次いで住宅価格の問題に触れた。いずれも「住宅価格はバブルではないが、今後、スローダウンする可能性はある」という趣旨の発言を行っている。今後は"イールドカーブ・ストラテジー"によってモーゲージ金利を一段と低下させ、住宅市場を支えようという意図が現れると思われる。
★グローバルな住宅バブルの懸念★
英エコノミスト誌(2003年3月8日号)は同誌のグローバル住宅価格指数を用いて、ア イルランド、イギリス、オランダ、スペイン、オーストラリアなどで住宅バブル崩壊の 危険があることを警告している。1995年からの上昇率は、バブル懸念が言われつづけて いるアメリカで48%だが(都市部は過熱していたものの全米レベルではそれほどでもな い)、アイルランドで203%、オランダ119%、イギリス107%となっている。既にいくつ かの国では調整が始まり、危うい状態が現れ始めている。特にオーストラリアでは、家 計の可処分所得に対する債務の比率が1996年には85%だったが、その後、住宅投資を主 因に急増しており、今やアメリカの家計を大幅に上回って、同比率は127%に達したとい う。
今後、アメリカのイラク攻撃が不安心理を増幅することがあれば、これらの国の住宅 価格が急速に調整を受けるおそれもあり、その際のショックが懸念される。
クイックより