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(回答先: ▼4日のポイントト@/マネーサプライと経済活動の相関関係は崩れていない [Yen Dokki!!] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 04 日 11:18:42)
UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「自律的成長と経済政策:経済システムの崩壊が必要」を挙げる。
<円安政策がマネーサプライを減少させる可能性もある> さて、こうした観点を前提に、経済政策の有効性を考えてみよう。まず、円安政策は妥当であろうか。円安による経常黒字の拡大は広義のマネーサプライを増加させるものと予想されるが、「一方で、円安政策がマネーサプライを減少させる可能性もある」。それは、銀行貸出の更なる抑制が生じるためである。そもそも、円安による経常黒字拡大によってマネーは一旦増えるが、「そのマネーが国内に滞留せずに海外に流出する(国内マネー対象資産から海外資産に流出する)可能性が 十分にある」。これは、生産拠点の移転等をファイナンスするためである。また、 金融システムに対する不安感が継続している状態で、個人や企業の流動性選好が強まっているが、政府による円安政策へのコミットは、こうした資金が海外に流出するリスクを高める。これは銀行の流動性が縮小し、貸出余力が低下することにも繋がる。どうやら、「円安政策を単独で実行するだけでは広義のマネーサプライは増加しない可能性がある」と見ている。
<政策手段として、銀行貸出促進策を採用せざるを得ない> それでは、財政刺激策は妥当であろうか。財政刺激策の問題は2つある。1つは 、円高傾向をもたらすことで経常黒字を減少させる可能性が高いことである。も う1つは、財政出動が持続的に需給ギャップの改善をもたらすという期待が醸成されない限り、実質金利の上昇を招くことで、民間企業・個人部門のバランスシート調整圧力を強め、銀行貸出を一段と抑制してしまう可能性がある。円安政策と同様、財政刺激策にも難点がある。 このことは、「政策手段としては、どうしても銀行貸出促進策を採用せざるを得ないことを意味している」と言う。マネーサプライを持続的に増加させるには、民間部門に自律的な資金需要が生まれる状況を作り、そしてそれに応じることができる健全な金融システムを再構築する必要がある、ということである。ここで、民間部門の自律的な資金需要をもたらす政策として、インフレ・ターゲットが有効ではないか、との議論があり得る。しかし、インフレ・ターゲット政策の本源的な問題は、「同政策が、円安政策か、財政刺激策のいずれかの発動を必要とする可能性が高いこと」である。そして、それらの政策にはマイナスの副作用があることは、白川さんが既に述べている。
<民間の自律的資金需要は、経済システム破壊で生まれる> 従って、民間部門の自律的な資金需要は、「基本的には、資源の再分配による経済システムの破壊の下に生まれるべきもの」である。経済政策運営は、(1)非生産的な企業や産業から経済資源を解放すること、(2)銀行の資本を思い切って増強すること、 の2つを柱とするべきであると考える。そして、そのためには、政府と日銀がバランスシートの健全化を目指すべきではないかと言う。「政府、日銀による必要以上の民間経済介入が、日本経済の再生を遅らせている」。政府は財政の健全化を目指し、日銀は 流動性政策の中立化を目指すべきである。ハードランディング路線ではあるが、 従来の金融・財政政策によって需要を持続的に刺激することも、マネーサプライ を持続的に拡大させることもできないであろう。自律的な経済成長には、流動性が高く、価格形勢に歪みのない、労働、金融資本、固定資産(土地等)が必要で ある。「経済システムの破壊を経ずに、日本経済の持続的成長はない」。政府と日銀 が一体となって取り組むべきことが、「長期金利の低位安定と現状維持」ではないことは明らかである。