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(回答先: あっしらさんへ 質問です。 投稿者 hou 日時 2003 年 2 月 22 日 19:23:17)
houさん、こんばんわ。
現在の「デフレ不況」が短期のもので、供給力の調整が一時的な軋轢を招くにとどまり、変更された構造での供給力拡大が期待できるのなら、houさんや小泉政権が言われるように失業保険給付でしのげばいいという論が成り立ちます。
しかし、世界経済動向から見た輸出増加の限界性や製造拠点の海外移転を中心としたこの間の供給力調整状況を考えたとき、供給力削減とそれを通じた産業構造の変化が、将来の供給力増加につながるとは思えません。
このような見通しに立つと、避難策として提示されている失業保険給付や生活保護とは何ぞやという問題を考えなければなりません。これは、賦課システムの年金にも通じる問題です。
失業保険受給者・生活扶助受給者・年金受給者はそれに見合う供給活動に従事しないまま供給を受ける存在です。(ざっくばらんに言えば、働かないで財やサービスを手に入れる存在)
これは、供給活動に従事している人から彼らへの所得移転以外のなにものでありません。
失業保険や年金は受給者も積み立ててきたわけですが、その積み立て量は現状及び今後の受給者数に見合うものではありません。
政府が赤字財政支出でその部分を補う覚悟を持っているのなら別ですが、従来制度を今後も続けていくのなら、供給活動に従事しているにその増額分をさらに負担してもらうことになります。
ということは、供給力の削減で生じる需要減に加えて、就業者の公的負担増による需要減も加わることを意味します。
この需要減サイクルは、まさにデフレ・スパイラルそのものです。
>政府の失業対策から、考えるとこうなりますが、投資家からみると
>失業者は、不良企業の不良部所とともに失業保険受給者になったほうがよいと思いま
>す。
個別企業収益の確保や維持という観点から見れば、短期的にはそう言えます。
部門切捨ては、1億円の人件費を削減しても、失業保険給付で6千万円の需要はなんとか維持されます(不安から消費性向は下がるでしょうが)から、その差し引きが企業収益の改善に貢献します。
しかし、他の企業は、供給量減少の恩恵を受ける一方で、減少した4千万円の影響を受けるのみならず、その部門が購入していた原材料・中間財・資本財・消耗品などの需要減という影響を受けることになります。
不良企業を破綻させれば、このような供給量の減少(収益改善)と需要の減少(収益悪化)を秤に載せてどちらが重いかということで有効性が決まります。
しかし、需要減を補填する失業給付も半年間とか1年間のものです。その後は、平均的日本人であれば辛く苦しい生活保護を受けることになり、受給額も減らす人がおおくなります。
経済見通しが上述のようなものであれば、短期はそうかもしれない個別企業収益改善行為が、中長期的な収益低迷に導くことになります。
通常の景気状況で少数の企業がそのような行動をとる場合は、リカバリーも可能ですが、現在のような経済状況では全般的な企業がそのような行動(破綻も含む)をとるので、マクロすなわち総体的企業が、収益低迷でますます苦しむようになります。
※ 米国経済で見られている生産性上昇の鈍化は、このようなロジックで生じています。首切りが一時的な生産性上昇をもたらすとしても、マクロ経済が回復しなければ、首切りを行ったときの水準からさらに首切りをしなければならないという悪循環に陥るということです。