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(回答先: 須田慎一郎氏:4大メガバンク、株式市場は4弱体制 ヘッジファンドの売り姿勢続く [株ZAKZAK] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 21 日 23:41:19)
巨額増資で「3月危機は乗り切った」というメガバンクの一服感をよそに、株式市場は容赦なく冷水を浴びせる
2兆円以上の巨額増資で国有化と3月危機を乗り切ったかにみえるメガバンクだが、株式市場は甘くはなかった。20日には三井住友フィナンシャルグループが上場来安値を更新、みずほホールディングスとUFJホールディングスも売られ、「独り勝ち」三菱東京フィナンシャル・グループまで安値更新と総崩れ。売り浴びせたのは、優先株でボロ儲(もう)けを企(たくら)む欧米の投機筋ヘッジファンド。市場が「赤信号」の冷水を浴びせる背景に、高配当の負担増、金融庁の特別検査の不透明要因、増資後の収益回復への疑問も重なり、事態は予断を許さない。
株価をみれば、いつのまにか「振り返ればUFJ、みずほ」の状況になったのが三井住友だ。
3000億円の追加増資を発表する前の今月14日には40万円を上回っていた三井住友の株価だが、週明けの17日から下落の一途をたどる。
20日には一時、29万7000円と、ついに30万円を割り込んだ。終値も31万2000円と、前週末終値からわずか4営業日で下落率は約23%にも達した。
三井住友の急落につられるように、みずほも20日の終値が11万1000円と17日終値から21%ダウン。UFJも14万1000円まで下落して17%ダウンした。
3500億円を普通株の公募増資で集めることで、「格の違い」を見せた三菱東京さえ、20日は57万5000円と上場来安値を更新した。
ここ数日の下げを演出するのが、外資系証券を経由した売りである。
三井住友のケースでも、JPモルガンやメリルリンチなど大手外資系証券が売り、国内証券が買う構図となった。
「海外のヘッジファンドからの大量の売り注文が出ている」(市場筋)という状況で、大きな売り材料となっているのが優先株の問題である。
三井住友の1500億円の増資は、米大手証券ゴールドマンサックスが引き受けたが、配当利回りは25年固定の4.5%と高く、負担増が投資家の不安を呼んだ。
3000億円の追加増資では、さらに露骨な動きも見られる。ズバリ、「優先株買い、普通株売り」のポジションである。
三井住友は海外のヘッジファンドなど機関投資家に優先株を販売する形で増資を行うが、優先株を購入するヘッジファンド自身が三井住友株を売り叩(たた)いているという。
優先株の発行条件は、今年4月以降、普通株に転換できるというもので、その際の焦点が「転換価格」である。
三井住友は転換価格を20日の終値である31万2000円に決めたが、優先株を購入するヘッジファンドにとって、転換価格が低いほど、普通株に転換した際に儲かる仕組みになっている。
これを狙って大量売りが出たというわけだ。
20日は「大量の売り注文が出たが、安値を付けた瞬間に引っ込んだ」(兜町関係者)と、「相場操縦」とでもいえそうな不動きもみられ、三井住友株は翻弄(ほんろう)された形である。
こうした動きで災難をこうむるのは、既存株主だ。大手証券系の金融アナリストが解説する。
「本来配当に回されるはずの資金が、優先株の配当に当てられ、普通株に転換すると1株当たりの価値が希薄化する。株価も引き下げられるのではたまったものではない。外資が儲け、国内投資家が損をする図式がまたも繰り返されている」
昨年のカラ売り規制導入以降、強引な売り仕掛けは難しくなっている。それでも下げていることから、国内投資家の「見切り売り」が出ているとの見方もある。
アロー・コンサルティング事務所代表の箭内(やない)昇氏はこう分析する。
「昨年の持ち株会社化に始まり、わかしお銀行による三井住友銀の吸収合併や、あおぞら銀行(旧日債銀)の買収計画、ゴールドマンサックスの優先株引き受け、そして今回の追加増資と、自己資本の確保に追い詰められた様子が浮き彫りになった。そして、これで終わったのかと疑問に思うのが一般的な見方だ」
こんな状況は他のメガバンクも同様である。
1兆円の巨額増資を打ち出したみずほには、毎年200億円以上とみられる配当負担が重くのしかかる。
子会社がメリルリンチなどから1200億円の増資を受けるUFJも、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズはこんな理由でUFJの短期格付けを引き下げた。
「脆弱(ぜいじゃく)な財務内容を勘案すると、今後UFJに対する市場の信認低下が悪化し、流動性に影響が及ぶ可能性は否定できない」
3月危機、国有化危機回避で自己資本の充実を図る大増資策だが、こと株価に関しては完全に裏面に出て、市場から「赤信号」の冷水を浴びせられてしまったようだ。
売りの原因が外資の売り仕掛けだけならば、銀行株の下げも一時的にとどまりそうだが、市場の目は依然、厳しい。
最大の問題として、前出の箭内氏は「三菱東京を除き、増資が自己資本対策の奇策の延長線上でしかない。収益回復に向け綿密な再建計画がみられない」と指摘する。
そのうえで、米シティバンクが1990年に破綻(はたん)の危機に陥った際、ジョン・リード会長(当時)がサウジの王子に優先株は13億ドル、配当率11%で引き受けてもらったケースを例に挙げる。
「リード氏は王子を訪問して自ら再建計画を説明し、王子からシミュレーション作成を求められると、コンサルタントが徹夜をして完璧(かんぺき)な答えを出した」と、その用意周到ぶりを強調する。
ひるがえって、日本の銀行はどうか。
「平成10年の公的資金導入以来、何度も健全計画が出ているが、どれ一つ約束を果たしていないオオカミ少年だ。シティは1年後の目標を達成したことで、市場の信頼を取り戻した。日本の銀行もまずは“小さな約束”を果たすことから始めるべきだ」(箭内氏)
金融庁による「恐怖の特別検査」で、不良債権処理損失の拡大が予想されるうえ、自己資本に計上し、「資本の水増し」との批判が強い税効果会計の見直しも進められる。深刻なデフレ不況がさらに長引くと、新たな不良債権が発生する。
目先の不良債権処理や決算対策に追われるメガバンクを取り巻く環境は、当人たちの一服感をよそに、かえって厳しさを増しているようだ。