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森田実氏:2003.2.17 ニッポン亡徴の研究[52]――ピーター・タスカ氏の『フォーサイト』論文に学ぶ/日本を滅ぼす無気力と諦め   【「失われた10年」とは「エリート・バブル」だった】
http://www.asyura.com/2003/hasan22/msg/175.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 18 日 16:54:04:


「人間は従順な動物である。どんなことにも馴れてしまう存在である」(ドストエフスキー ロシアの作家 1821〜81)


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「『亡徴』とは亡国の兆しのこと(韓非子)」

 『フォーサイト』3月号(新潮社)にピーター・タスカ氏の「日本を滅ぼす『エリート・バブル』」と題する一文が載っている。このなかに次の記述がある。
 「『高齢化社会では国民の負担は避けられない』……本当だろうか。抜本的な対応策の研究を棚上げにしたまま、こうしたドグマを囁きつづけるエリートたちは、国民に『日本の生活水準とは、まあ、こんなものですよ』と、やっきになって信じ込ませようとしているようにすらみえる。気掛かりなのは、バブルのころに見た『生活者大国』という夢をすっかり忘れてしまったかのような日本人の姿である。各種の世論調査が示すように、これほど国民が将来に悲観的な国はない。それでも小泉政権が、一時より下がったとはいえまだ非常に高い支持率を維持しているということは、日本人はもうなにもかもあきらめて、現状に満足するつもりになったということなのだろうか。……エリート・バブル崩壊の渦に巻き込まれたくなければ、いまや世界一のお金持ちになった普通の人々自らが『生活者大国』にむけて動き出す必要がある。成熟国家の国づくりには、そうした『精神的な近代化』が不可欠なのだ」(『フォーサイト』3月号p.21)
 ピーター・タスカ氏は、同論文中(p.20)で次のように指摘している――「日本というシステムにとって、経済のバブルが崩壊した後の『失われた十年』とは、その言葉の響きとは裏腹に、何事も起こらなかった単なる空疎な時間ではない。官僚と大企業というエリート人たちが、それまでの作法を墨守しながら狂ったように暴走する、いわば『エリート・バブル』の時代なのである」
 要約すればこういうことだ。いま日本で起こっていることは、日本を破滅させようとするエリートたちの暴走であり(小泉首相はこれら暴走するエリートたちの利益代弁者とピーター・タスカ氏述べている)、この過ったエリートの暴走に、一般の日本国民が巻き込まれ、あきらめてしまった、というのである。この指摘は、残念なことだが、的確である。
 小泉首相・竹中金融相らを先頭とする政官と大企業の勝ち組エリートが、「古い日本を構造改革する」との美名のもとに、日本国民の生活水準を無理矢理に引き下げようとしている。その上、小泉首相、竹中金融相らは、日本の国富を米国巨大ファンドに安く投げ売りしようとしている。これが小泉改革の本質である。
 2001年4月以後、日本のマスコミは、日本の国益を害する小泉首相をあたかも「救世主」のように崇めたてつまってきた。これにより、日本国民は「破滅への道」を「再生への道」と勘違いし、亡国への道に暴走するエリートに追随してしまった。しかも、まだ幻想から醒めていないのである。いつになったら気がつくのだろうか。
 日本の現状に警鐘を鳴らすピーター・タスカ氏の『フォーサイト』論文を多くの日本国民が一読してほしいと思う。

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