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「需給悪化説」を疑う-----日経金融スクランブル
6日の東京株式市場で日経平均株価は反落。さえない相場つきのなか、市場関係者の話題は、前日臨時株主総会で承認されたみずほフィナンシャルグループの1兆円増資に集中していた。「実現へのハードルは高い」との見方が依然根強く、増資の一方でみずほグループが保有株をどう売却していくのかについても様々な観測が飛び交っていた。
みずほグループは1―3月期に7000億円の保有株売却を計画している。増資を引き受けてもらう企業に対して、その企業の株を売らせて下さいとは言えないはず。だから、引受先の決定後でないと売る銘柄を固められないとの見方がその一例だ。
保有額を中核的自己資本の範囲内におさめる保有制限を2004年9月末に控え、株売却を迫られているのは他の大手行も同様だ。UFJグループは今下期中に8400億円の売却を予定。三井住友銀行も「1兆円分の売却は企業から了承済み」といい、四大グループの売却額は1―3月に2兆円程度に膨れるとの試算がある。
こうした状況から市場では「戻り待ちの持ち合い解消売りが相場の上値を抑える」との見方が支配的。年初以降、銀行保有額が大きい国際優良株が売られるたびに銀行が「主犯」扱いされ、「流動性が低く市場で売れない銘柄を日銀に買い取ってもらい優良株を市場で売っている」との見方が「多数説」になった。本当だろうか。
実態はそう単純ではない。銀行が実際に日銀への売却を計画しているのはむしろ優良株や値がさ株、大型株といった主力銘柄が中心だからだ。理由は三つ。第一に主力銘柄は、日銀が買い取り対象銘柄の条件として定めている格付け基準や、年間売買高で見た流動性基準を満たしやすい。
加えて、買い取り枠の2兆円は各行で奪い合いになる恐れがある。一行に許される売却の上限は5000億円。全体の2兆円枠が埋まる前に、個別の5000億円枠を使い切るには保有額が大きい主力銘柄を売るのが手っ取り早い。第三に大口で優良な取引先ほど、市場で売ることで株価を下げたくないとの心理が銀行側に働く。関係を損ないたくないので日銀に売るというわけだ。
銀行の売却株式のうち、実際に市場で売るのは一部だという点も覚えておいた方がいい。大手行の売買責任者によると、売却方法としては(1)証券会社が探してきた内外の年金などに取引所外でまとめて売る(2)自社株買いに応じる――ケースが売却額全体のそれぞれ4割を占めるという。
市場で売る際にも株価を下落させたら手元に残った株に含み損が出るから下手な売り方はできない。市場での売却額を、1日の全体の売買代金のごく小さな割合までにとどめている銀行もある。
国際優良株などの上値の重さを、持ち合い解消のせいにすることには、実は疑問が多いのだ。真の原因は、銀行の売りではなく、強まるデフレ圧力、企業の成長力に対する疑念といった、さらに根深い問題である可能性がある。
「買い取り枠の件ですが、どうするおつもりですか」――。今週に入り、日銀幹部の下には、財務省から増枠要請ともとれる電話が寄せられ始めた。1月の日銀への株式売却額は昨年12月より800億円強増え、2兆円の枠を3月末までに使い切る可能性がある。株価の下支え策を日銀に押しつけたい霞ケ関や永田町の圧力は3月期末に向けさらに強まる気配だ。
仮に増枠が決まれば、持ち合い解消への懸念はさらに薄れる。その時に、主力
銘柄は上昇に転じるのだろうか。(荻原悟)