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株価下落という逆風で銀行の自己資本比率が再び、揺らいでいる。平成14年10−12月期決算によると、りそなホールディングスを除く大手銀行6グループの株式含み損は4兆円を突破した。同年9月末より1兆5000億円も増大し、自己資本比率の低下が確定的。米国流の会計手法の導入などで不良債権処理額が増える可能性も高く、国有化回避策に必死となる銀行経営の足元のグラつきは一層強まっている。
昨年12月末の平均株価は8578円。中間決算時の同9月末の9383円より8.5%も下落した結果、大手銀行の株式含み損は軒並み数千億円単位で増加した。
みずほホールディングスは9月末比46.7%増の1兆59億円。三井住友フィナンシャルグループは36.8%増の1兆2773億円。
6グループ合計では4兆371億円と、9月末より60.9%も増加している。
この結果、各グループの3月末の自己資本比率は、昨年9月末より大きく低下する見通し。
みずほ(10.4%→9%程度)、三井住友FG(10.3%→10%程度)、UFJホールディングス(11.2%→10%台前半)、三菱東京フィナンシャル・グループ(10.4%→10%程度)、住友信託銀行(11.5%→10%台前半)、三井トラスト・ホールディングス(10.2%→9%台半ば)といった具合だ。
各グループとも国際業務に必要な8%を維持するが、「こうした各銀行の見通しには、不確定要素が多い」(大手証券)という現実もある。
最も影響力が大きいとみられるのは、6日に始まった竹中平蔵金融・経済財政相が指揮をとる特別検査の行方である。
大手銀行が大口融資先向けの債権が貸し倒れになる可能性を適切に判断して、十分な引当金を積んでいるかどうかを調べることが目的だ。
金融庁が銀行の判断を「甘い」と判断すれば、銀行は不良債権処理に伴い引当金を増やさざるを得ない。そうなると、剰余金などの自己資本を取り崩して穴埋めすることになり、必然的に自己資本比率が低下する。
金融庁は銀行に対して、企業の将来の収益力を考慮して融資が貸し倒れになる可能性を判断する米国式の会計手法を導入するよう求めている。
先行してこの厳格手法を導入した三菱東京FGに続き、みずほなども経営改善策で導入を始めているものの、全く未知の領域である。
各行の心境は「金融庁がどの程度、厳しく不良債権処理を求めてくるか分からない。少しでも自己資本を厚くしておきたい」(大手銀行首脳)という状態である。
8%割れ→公的資金の注入→国有化につながる懸念があるため、各行は実際、外部からの資本調達に躍起である。
みずほは3月末までに1000社以上の企業や取引先に出資を求め、国内から8500億円、国外から1500億円の計1兆円の資本増強を図る考え。三井住友FGやUFJ、りそなも増資への準備を進めている。
ただ、金融庁の意向や3月末の株価水準が分からない以上、増資のレベルが不十分という懸念は拭(ぬぐ)えない。
7月になれば、首相の諮問機関の金融審議会が、「自己資本の水増し」との批判が多い自己資本の計算方法「繰り延べ税金資産」の見直しについて方向性を出す。
現段階では「繰り延べ税金資産を自己資本の1割までしか認めない」という案が有力で、繰り延べ税金資産が自己資本の2−3割を占める現状からみれば、銀行にとって厳しい内容になる公算が大きい。
3月決算を乗り切っても、その先には再び、高いハードルが待っていることになる。健全性を主張する大手銀の経営は、「砂上の楼閣」にすぎないともいえそうだ。