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by 増田悦左(ますだ えつすけ) さん(HSBC証券東京支店 シニアアナリスト)マルテックス・インベスター・ジャパン提供(7日)
−大型オフィスビルの竣工が相次ぐ「2003年問題」が到来しました。供給過剰で空室率も上昇しています。
世間では「2003年問題」というと、「テナントに逃げられた中小オフィスビルのオーナーの悲哀」ばかりがクローズアップされがちだが、都市再生によるプラスとマイナスを天秤にかければプラスのほうが大きいということにもっと注目してほしい。例えば丸ビル開業により、ビル自体が集客力を持つだけでなく、地域も活性化した。立地のよい場所に設備の整った大型ビルができるのは経済活性化にとってもプラスだ。
−確かに、我々サラリーマンにとってみれば、「2003年問題」の結果、よいビルに移転してオフィス環境がよくなれば、仕事もしやすくなりますね。でも、中小オフィスビルのオーナーは大変です。
大きくて設備の整ったビルがたくさん出てくれば、狭くて古いビルが商売にならないのは当たり前だ。それは困ると泣きを入れるのは経営者失格。どうするかを考えるのが経営者というものだ。新築大型ビルが安い賃料でオフィスを供給する以上、玉突き的にテナントが移動する動きがどんどん出てくる。今後、中小型ビルは3つの選択肢しかない。@7-8棟まとめて大きなビルに立て替える。A中小型ビルを住宅に転用する。Bなまじテナント営業せず、抜けた穴は埋めずにいずれ廃業する。@とAは確実にビル建材需要を刺激する。
−なるほど。都市再生によるプラス効果は他にもあるでしょうか。
「2003年問題」であまり取り上げられていないのは、2003年はオフィス引越し業者にとって当たり年になることは間違いないという点だ。さらに、引越しに伴い、事務用品の買い替えもあるだろう。加えて、新規入居のための改修、退去したビルの現状回復工事と、オフィス移転に伴う派生需要がさざ波のように拡大していく。実はオフィス用品は産業連関表のなかでもっとも影響度係数の高いサブセクターであり、オフィス用品の需要が1単位伸びると周辺に1.5単位の需要増をもたらす。
−ところで、日本経済が停滞しているなか、オフィス需要は増えるのでしょうか。
製造業の労働者数は減っているが、サービス業就労者数は90年代不況を通じて、一貫して増加している。つまり「景気が悪いからオフィス需要が縮小している」という見方に根拠はない。経済のサービス業化は、本来ならオフィスワーカーの大都市圏への集中をもたらすが、「国土の均衡ある発展」を旨に地方経済振興、大都市経済抑制を旗印に阻害されてきた。全国の斜陽産業、地盤沈下産業から東京のサービス業へと就労人口が移転すれば、日本経済全体も必ず活性化する。