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(回答先: みずほ総会、株主の厳しい指摘相次ぐ【日本経済新聞】 投稿者 ご破算に願いましては 日時 2003 年 2 月 05 日 13:29:46)
取引先に負担を強いる“強制的”な出資要請と、配当率に大批判が起きている
前田社長が議長となって、午前10時から始まった臨時株主総会。「前田社長になっていいことがない」と、株主から議長不信任動議が出されるなど、トップに対する不満が噴出し、大荒れの様相となった。
その不信任動議は否決されたが、株主の前田社長に対する怒りは増すばかり。総会では「武士の魂があるなら、責任をとって社長を辞めるべき」と詰め寄られ、前田社長は「合理化して安定配当するのが経営者としての責務」とかわした。
株主からさらに「経営改善計画が未達成になった場合、社長を辞めるのか」と詰め寄られると、「成果を温かく見守ってほしい」と述べるのがやっとだった。
総会のなかで、みずほは、「屋上屋」を架すと批判の強い新持ち株会社「みずほフィナンシャルグループ」への移行に向けた株式交換、合併分割について提案、承認を得た。
平成15年3月期に発生する見込みの約2兆円もの巨額赤字に備えるため、資本準備金のうち3兆2400億円を剰余金に振り返ることや、1兆円増資のための優先株発行枠の大幅拡大についても承認を得た。
優先株の配当利回りなど詳細については、総会後の取締役会で決めるとして、具体的な説明はなかった。出席株主から優先株の配当利回りについて質問が出ると、みずほ側は「利率は市場(2−3%)に近いところで調達する」と回答。配当負担については「優先株による資金調達額、条件が未定のため、回答を差し控える」とした。
5日の臨時株主総会で承認を受け、みずほの前田晃伸社長らは1兆円増資に本格的に乗り出す。
みずほが1兆円増資を行う最大の理由は、融資先の将来の収益も加味した米国式の厳格な資産査定「ディスカウント・キャッシュ・フロー」(DCF)を導入することにより不良債権処理の損失が増えたことがある。
「資本のカサ上げ」との批判がある自己資本の計算法「繰り延べ税金資産」では今回、約8000億円を資本計上しない。
昨年9月期決算で自己資本比率が10.4%と国際業務に必要な8%をクリアしているが、不良債権処理の加速も加わり、自己資本が大幅減少する見通しであることも影を落としている。
赤字決算で株主資本が簿価の2割程度まで減少しているみずほコーポレート銀行株の含み損を、時価会計のルールに従って処理しなければならないという事情もある。
「みずほの巨額増資は積極的な経営改善策にみえるが、それだけのテコ入れが必要なまでに追いこまれている証拠でもある」(大手銀行)と指摘されるゆえんである。
優先株は普通株と違って議決権の行使ができない代わりに、高い配当が優先される。
みずほは1兆円の優先株発行のうち、半分を取引先の一般企業に引き受けてもらい、3割を筆頭株主の第一生命保険をはじめとする生命保険会社などの機関投資家、残りをJPモルガンやシティバンクといった外資系金融機関などから調達予定ともいわれている。
生保などが優先株を引き受けられないと判断した場合、拠出ずみの劣後ローンを優先株に振り替えてもらってでも「1兆円増資達成」に突き進む思惑である。1月下旬までに8000億円分はメドがついたという。
ただ、問題なのは、2−3%と見込まれている優先株の配当水準。
かりに一般水準並みに2%としても、みずほの年間負担は200億円で、公的資金による優先株への配当負担約200億円と合わせて、年間負担は計400億円にものぼる。
一方で、三井住友フィナンシャルグループが米大手証券のゴールドマン・サックスに引き受けてもらった優先株の配当水準である4.5%よりもはるかに低いことも問題視されている。
「両社の株価水準からみても、三井住友がみずほよりも信用度が高いことは明らか。それなのに、みずほの方が配当水準が低いとは納得できない」(大手生保幹部)との不満が噴出している。
持ち合い株売却を進めるみずほが、取引先に優先株買い取りを求めるのにも大きな矛盾がある。「自分は株を売るが、あなたは株を買ってほしいでは、あまりに身勝手」との指摘も多い。
みずほにとって大問題なのは、1兆円増資を達成しても、経営に向けられる不安は拭(ぬぐ)い切れないという点である。
増資で取引先に借りを作ることになれば、収益志向の経営を貫けない可能性があるからだ。
収益力の早急な大幅改善が至上命題であるみずほは、取引先への貸出金利の引き上げや、サービス手数料のアップに取りかかろうとしている。
低い配当水準で増資に応じてくれた取引先に、こうした要求を突きつけるのは困難。「そんなことをすれば、取引先はみずほに完全に愛想をつかすことになる」(大手銀幹部)のは必至である。
本業での努力が足りない状態のまま、取引先に安易な金利引き上げや手数料アップを求めるようでは、到底理解を得ることはできない。
優先株を引き受ける取引先企業も、苦悩の選択となる。
「低い配当水準では増資は引き受けることはできない」「金利の引き上げや手数料アップには応じられない」
みずほの要求を突っぱねるばかりでは、みずほの経営悪化がさらに深刻さを増すことは確実。そうなれば、外資からの出資が大幅に増えて「新生銀行化」するか、公的資金の投入を経て国有化の道をたどる可能性が濃厚になってくる。
ドライな外資の傘下に入れば、これまでのような「なれあいの関係」を続けることは絶望的になる。取引先が経営不振に陥れば、破綻(はたん)に追いこまれてしまうことは確実だ。
国有化されたとしても、外資的な経営手法の導入に躍起となる竹中平蔵経済財政・金融担当相と『丸投げの殿』小泉純一郎首相がコンビを組んでいる以上、延命措置を求めることは難しい。
世界一の資産規模を誇るみずほがブチ上げた1兆円増資の成否は、世界有数のメガバンクと、日本の上場企業の7割を占める取引先企業のパワーゲームの結果にかかっているともいえる。
どのような結果になるとも、1兆円もの増資が必要なまでに状況に追いこまれたみずほの経営が引き起こす波紋は、広く、長く、続くことになりそうだ。