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不平等条約みたいに、ゴールドマン・サックス有利で不可解な増資要請を行った三井住友フィナンシャルグループの西川善文社長。その裏側は?
外資頼みの資本増強など、不良債権処理加速に伴う国有化回避に奔走したメガバンク。三井住友フィナンシャルグループによる米大手証券会社「ゴールドマン・サックス」への増資要請に対し、経済界では「不平等条約みたいで不可解」と改めて論議を呼んでいる。優先株方式の1500億円増資をめぐり、年4.5%もの破格の配当利回りに加え、顧客の紹介も盛り込まれ、住友に驚くほど不利」(大手銀幹部)だというのだ。そんなお土産テンコ盛りの増資の背景を探ると…。
三菱東京フィナンシャル・グループを除き、メガバンクは昨年12月以降、次々と増資など経営改善策を打ち出した。
みずほフィナンシャルグループは、最大5兆円の不良債権を新会社に分離するほか、グループ内の銀行、証券、信託銀行などを統括する新持ち株会社を設立する。
経営の重しになっていた不良債権や保有株の処理を大きく進めるため、国内企業最大の1兆円増資も行う。
不良債権処理損失は今期、当初見込みのほぼ倍の約2兆円に拡大する。下期に1兆円の保有株も売却して、約4000億円の売却損も計上する。
UFJホールディングスも、約1兆円の不良債権を新会社に分離。不良債権分離会社が発行する約1000億円の優先株を米大手証券会社のメリルリンチが引き受ける。
三井住友も事業再編策や増資を相次いで打ち出したが、あまりにも奇抜な中身だったため、ことごとくマーケットの批判にさらされている。
まず、約1兆円の保有株式の含み損を処理するため、子会社の第2地銀・わかしお銀行との合併を決定した。存続会社はわかしお銀で、銀行の名称は三井住友という「奇策」に打って出た。
「存続会社を資本規模の小さなわかしお銀行とすることで、三井住友に合併時、2兆円ほどの合併差益が発生する。これを使って株式含み損を処理し、残った部分は自己資本の剰余金に回し、過去の公的資金注入で国が保有する優先株への配当金に回す考えだろう。奇策を決断しなければならないほど、三井住友は追い込まれていた」(金融担当アナリスト)
仰天の合併策に対するマーケットのブーイングが収まりかけたと思ったら、今度はゴールドマンを引き受け先にした不可解な増資である。
その条件が「あまりにもゴールドマンに有利」(外資幹部)で、経済界に波紋を広げている。
経済誌などの格好のターゲットにもなり、「週刊ダイヤモンド」の今週号では、三井住友がいかに不利な条件を飲んだかをこう指摘している。
《三井住友の信用力を考慮に入れれば、年間配当率4.5%をはるかに下回る資本調達も不可能ではなかったはず》
《加えて、ゴールドマン・サックスの欧米顧客に対して、三井住友は最大21.25億ドル(約2500億円)の信用保証を付ける。さらに、三井住友の国内取引先がからむM&A、資産証券化といった案件の仲介業務をゴールドマンに割り振ることも契約のなかに盛り込まれている》
《西川善文頭取(持ち株会社社長を兼任)は、ゴールドマン・サックスの日本法人のアドバイザーを務めている》
三井住友と同様に、優先株方式で1兆円増資を実施するみずほの場合、配当利回りは市場レートの年約2%。三井住友はその倍である。
大手銀行幹部が首をひねりながら指摘する。
「優先株は通常、信用力が高いほど利率は低い。逆に信用力が低いと、リスクが増すため、利率は当然、高くなる。株価を比べても、三井住友はみずほの約3倍と、信用力で勝っている」
「優先株は仕組みが複雑(付属的なオマケを多く付けることが可能)なので、単純に配当利回りだけで比べることはできないが、みずほが約2%で三井住友が4.5%というのは、市場原理から通常考えられない」
市場の常識からかけ離れた利回りに加え、ゴールドマンへの信用保証や顧客紹介というオマケまで付いている。
《ゴールドマンほどの不利な条件をあえてのまなくても、1500億円をはるかに超える資本増強は、実際には可能だった》のに、三井住友はあえてゴールドマンを選んだ。なぜなのか。
金融関係者は「西川−足助ラインが、大きな原動力の1つになったはずだ」とみる。
「西川」とは、西川三井住友銀頭取(三井住友フィナンシャルグループ社長)である。
「足助(あすけ)」は、足助明郎ゴールドマンサックス日本法人会長のこと。元三井住友銀副頭取(住友銀出身)で、西川頭取の「懐刀」と呼ばれた人物だという。
金融関係者は「こうした人脈のほか、三井住友が17年前にゴールドマンの優先株を買い、投資として成功した体験がある」として解説する。
「三井住友の経営陣には、ゴールドマンに一種の親近感を持つ人が多い。今回の増資は力関係で言うと、明らかにゴールドマンが有利だが、やむを得なかったのでは」
くしくも、ゴールドマンのライバル、モルガン・スタンレーの日本法人の堀田健介会長も旧住友銀OBだ。堀田庄三元頭取の長男でもあり、西川頭取のもとで副頭取を務めた人物である。
「トップ自ら増資交渉を進めた西川頭取は、堀田会長にも接触したはず。そのなかでゴールドマンを選んだということだろう」(金融関係者)
一方、三井住友と比較されることが多いみずほの優先株。みずほから引き受けの打診を受けた金融会社の担当者がその中身をこう明かす。
「みずほから打診を受けた際の説明では、配当利回りは年約2%。すべて普通株に転換できるものや、一部を普通株に転換できるものなど3つのタイプがあった」
気になるマーケットの評判は、いまイチ。
「みずほの優先株引き受けに、三井住友のような『お土産』がなく、約2%という配当利回りだけで1兆円を集められたら、これは驚異といえる。銀行の強い立場を示して、取引先に引き受けを求めたのではと勘ぐられても仕方ないだろう」(外資系金融機関幹部)
みずほは「優先株の引き受け要請は、5日の臨時株主総会の承認を得てからでないとできない」(みずほホールディングス広報室)と説明するが、水面下では打診が始まっているという。
「取引先企業を中心に、数十社の承諾を得て1兆円の6、7割はすでにメドが付いたようだ」(大手銀幹部)という。
さて、優先株発行による増資ラッシュを、専門家はどうみているのか。BNPパリバ証券の小田切尚登審査部長は、次のように指摘する。
「公的資金に依存したり、会計のトリックを使うのとは異なり、自助努力による資本充実策なのは評価できる。でも、銀行の中長期的な戦略としてはプラスとは言いがたい。高額の配当金などの負担が将来かかってくることを考えると、中長期的にはマイナスに働くこともありえる」
将来の利益を犠牲にしてまでも、緊急避難的に目先の資本強化を図った三井住友とみずほ。この決断が将来に禍根を残さなければよいが…。