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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「円高による財政政策転換のリスクは小さい? 」を挙げる。米ドル資産市場から資金流出が生じる可能性が高いと論じる多くのエコノミスト は、米国における「双子の赤字の再来」に注目している。確かに、米国の経常赤字は景気が脆弱な下でも拡大傾向を維持しており、今年は5700−5800億ドル(昨年は5000億ドル程度)にまで拡大する見込みである。実にGDPの 6%弱にまで迫る巨大な対外赤字である。他方、2000会計年度にGDP比で 約2%あった財政黒字も今会計年度はGDP比で2%を上回る赤字に転落する可能性が高い。景気の脆弱性が高まる下で双子の赤字が拡大すれば米ドル相場の下落は避けられまい、というのが彼らの論理である。そして、実際に、年末頃から 、米国から欧州に急激な資金の移動が生じているとみられる。
<米「双子の赤字の再来」がドル離れを生じさせる必然性はない> しかし、米国における「双子の赤字の再来」がドル離れを生じさせる必然性はな いと言う。米ドル相場を論じる上で最も重要な点は、「双子の赤字の再来」そのもので はなく、「米国が国際経済社会における信認を維持し続けられるかどうかである」と語る 。米国は、すでに四半世紀もの間、ネットでみた対外債務国を続けている。昨年9月時点でみた米国のネット対外借入れは、実に日本円に換算して300兆円にも 達している。これは、米国のGDP対比でおよそ25%、日本のGDP対比で60%にも相当する規模である。米国は、対外債務がこうした規模に膨らむまで対外借入れを継続させてきた国であり、注目すべきは、「それでも米ドル相場の暴落 は未だに生じていない、という事実」である。米ドルには、基軸通貨としての信認 を背景としたプレミアムが存在していると考えざるを得ない。要するに、「基軸通貨としての信認さえ崩れなければ、米ドル相場が大きく下落することもない」。そ して、「米ドル相場は大きく崩れないだろう」という市場の期待が壊れなければ 、米ドル資産市場からの資金流出が長期間に亘って継続することもないであろう 。結果として、拡大する「双子の赤字」のファイナンスが大きく滞ることはない 。これが為替相場の動向を考える上での論理だと言う。
<基軸通貨米ドルの信認にとって最重要な要素は何か?> 今後も、こうした自己実現的なプロセスが維持されるかどうかは、日本にとって 極めて重要である。急激な円高によってデフレ圧力が強まれば、経済の脆弱性が 大きく高まるとともに、「特に、財政政策の方向転換の可能性が一気に上昇するも のとみられる」からである。基軸通貨としての米ドルの信認にとって最も重要な要素は何であろうか。米国当局による為替政策のスタンスも無視し得ない――新財務長官に就任するスノー氏は強いドル政策の維持を主張したようである――が、 やはり、「米国経済の日欧経済に対する相対的な実力が最も重要であると考えるしかない」と言う。ここで、経済の実力とは、中長期的な名目GDP成長率を以っ て測るべきものである。なぜなら、通貨の信認はその国の債務返済能力に依存し 、債務返済能力は名目所得の伸びによって規定されるからである。このように、 米ドルの信認は、「米国の中長期的な名目GDP成長率が、例えば、日本やEUの それと比べて相対的な優位性を保てるかどうか、に左右される」と考えることがで きる。