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【ワシントン竹川正記】ブッシュ大統領が28日の一般教書演説で、「経済成長加速による雇用創出」を内政の最優先課題として訴えたのは、雇用情勢の改善なしには04年の大統領再選がおぼつかないためだ。テロとの戦いで築いた高い支持率も、6%という8年ぶりの高水準となっている現在の失業率が、今後さらに上昇すれば、急低下は避けられない。演説には「湾岸戦争に圧勝しながら、雇用不安に苦しむ生活者に語りかける言葉を知らずに再選に失敗した父の歴史を繰り返さない」との大統領の執念もにじんだ。
「米国民や企業がより多く消費し、投資すれば、経済成長が加速され、新規雇用も増える」。大統領はこう強調し、10年間で6740億ドル(約80兆円)規模の総合経済対策の早期実現を繰り返し訴えた。野党・民主党の「金持ち優遇」との批判に反論するため、議場の招待席には共働きの労働世帯の夫婦や中小企業経営者、年金生活者を招待。「対策は全ての米国民に恩恵をもたらす」とアピールする演出も凝らした。
対策の狙いは、大規模減税で減速懸念が出ている個人消費の回復と中小企業の設備投資を促し、株式配当金課税の撤廃で株式市場を活性化させ、株価を上向かせることにある。経済の停滞ムードが払しょくされれば、企業の新規雇用意欲も高まり、失業率も下がるとの算段で、大統領は今後3年間で210万人の雇用創出効果があるとみる。
だが、その熱意にもかかわらず、今月7日の発表以来、総合経済対策への評価は芳しくない。民主党に加え、与党・共和党の議員にも「景気刺激の即効性に乏しい」との批判がくすぶり、対策の組み直しを求める声も浮上している。
最近の米メディアの世論調査で政権の支持率が同時多発テロ後、初めて6割を切ったのも国民の経済運営への不満が最大の要因だ。株式市場でも対策への期待から年初に上昇した分は、早くもはげ落ちている。対イラク開戦への不安が消費者・企業心理を冷え込ませる中で、減税を景気の本格回復と雇用不安の解消の突破口にできるか。外交では“攻め”の姿勢の大統領だが、経済運営では“守り”の姿勢が鮮明になっている。
[毎日新聞1月29日] ( 2003-01-29-13:13 )