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信用リスク後退?景気悪化?――日経金融新聞スクランブル
23日の東京株式市場では日経平均株価が反発、8800円乗せまであと一歩に迫り、今年の高値である大発会(8713円)の水準を上回った。相場のけん引役はこれまでの低位株から日立など主力ハイテク株に移り、物色の広がりを印象付けた。
大手銀行の自力増資計画を機に、ヘッジファンドが銀行株の買い戻しを急いだことで3月危機説が後退。「ここにきてハイテク株に米系投資信託の実需買いも入り始めた」(コメルツ証券の宮島秀直ストラテジスト)という。相場は底入れしたのか。それを探るうえで興味深い二つの指標がある。いずれも「100円」に関するものだ。
野村証券の芳賀沼千里ストラテジストは「低位株は市場全体の底打ちに先行して反発する」との考えから、底入れの証拠の一つとして100円割れ銘柄の減少に着目する。金融システム不安が強い状況では信用リスクが高いと見られがちな低位株は企業実態以上に売られやすい。その結果、100円割れ銘柄が増えるが、過度の悲観論が修正されるにつれ、その数は減少に転じて相場も底入れするとの見方だ。
日経平均が昨年2月6日の9420円を底値にいったん反発する過程でも、東京証券取引所第一部の100円割れ銘柄数は2001年12月19日の208をピー クに減少する傾向にあった。今回も100円割れ銘柄は昨年11月19日の214をピークとして減少に転じ、このところは160程度で推移している。2001年3月の相場の反転時にも100円割れ銘柄は同年1月11日の127を境 に減少、1999年初めにも同様の現象が確認できるという。芳賀沼氏は「過去の経験を踏まえると相場はすでに底入れした可能性がある」といい、日経平均の底値も昨年11月14日の8303円になるとみている。
一方、「日経平均は年後半にかけて8000円を下回るリスクがある」と予想するのがみずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストだ。実体経済の一段の悪化を見込んでいるためで、上野氏が論拠の一つとしているのが市中に出回る100円玉の流通残高の伸び率が急速に鈍ってきたことだ。
現金通貨のうち100円玉に注目するのは、景気動向との関係が深いと判断しているから。100円玉は消費の現場で頻繁に使われており、例えば商店主が「売り上げが増えそう」と思えば釣り銭として100円玉を多 く用意する。紙幣はコンピューターの2000年問題や郵便貯金の大量満期 などの特殊要因で流通量が大きく変化するため景気動向の把握には適さないという。
その100円硬貨の流通残高は前年同月比での増加率が昨年2月の1.5% をピークに低下傾向にある。70年代以降の景気循環との関連性を検証すると、伸びのピークは「景気の山」に対する先行性が認められることから、今回も「景気が後退局面に入ったことを示唆している」という。100円玉の伸びの景気の山に対する過去六回の先行期間は平均11カ月。これを当てはめると今年1月に景気は山を下り始めた計算だ。昨年10 ―12月期に景気拡大局面が終わったとする民間エコノミストの景気認識と一致する。
上野氏は「景気がこれから厳しい局面を迎えるとすれば、株価も一段安になるはず」と指摘する。株価は景気実態に半年程度先行するとされるが、いまの相場が今後の景気後退を10分織り込んでいるかどうかはやや不透明だ。信用リスクの後退を重視するか、景気の悪化観測を信じるか。正反対の方向を向く二つの材料に株価の強弱感が対立することになりそうだ。
(佐藤一之)