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(回答先: 1/24:「インフレ目標は無謀な賭け」と批判…速水日銀総裁 [読売新聞] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 27 日 18:34:53)
東京 1月24日(ブルームバーグ):日本銀行の速水優総裁は24日午後の定例記者会見で、国債市場はバブルではないかと問われ、「売られたり買われなかったりすることに比べれば、やはり買い手が多くて、値が上がり、金利が低くなってきていることは、決して悪いことではない」としながらも、「(長期金利は)少し下がり過ぎだとは思うが、今後の動向についてはよくみていきたいと思っている」と述べた。
インフレターゲットについては「いろいろな角度から議論を行っているが、今の日本の状況のもとで導入すれば、経済を著しく不安定化させるなどの副作用やリスクが大きいし、必ずデフレから脱することができるという自信も持てない。今そういうターゲットを設けることは無謀な賭けをするようなものだと思う」と言明。
そのうえで、「(無謀な賭けをすれば)国債の価格が下がるというようなことが起こったり、日銀しか国債を買わないのではしょうがないというようなことが言われるようになって、国債価格が下がり、金利が上がるというようなことが起こったりすると、これは大変なことになる」と強調した。
為替相場については「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映して安定して推移することが望ましいという考えに変わりはない。今後も為替市場の動向や為替相場がもたらす影響について十分注視したい」と述べた。
当面の金融政策運営については「金融市場に万が一不安定な動きが出る恐れがあるときには、一層潤沢な資金供給を行う万全の態勢ができている」と述べた。
主な一問一答は以下の通り。
−−インフレターゲット導入についてどう考えるか。
「いろいろな角度から議論を行っているが、今の日本の状況のもとで導入すれば、経済が著しく不安定化させるなどの副作用やリスクが大きいし、必ずデフレから脱することができるという自信も持てないので、今そういうターゲットを設けることは無謀な賭けをするようなものだと思う。こうした賭けに頼らなくても、デフレは必ず克服できると思うし、日本経済はそうした力を十分持っている」
「今の物価下落の1つの背景は、新興諸国の工業化などに伴って、世界的な物価の低下圧力があること。もう1つは、経済が長期にわたる停滞を続けて、需要不足が大きくなってきていることだ。したがって、規制の改革、税制の改革などを通じて、日本経済の本当に力を引き出していく、すなわち、インフレ予想ではなく、成長予想を高めていくことが重要だ。そういう取り組みが進められ、前向きな経済活動が高まっていけば、デフレも必ず脱却できると思う」
「もとより、そうした取り組みのなかには、民間企業による力強い取り組みが求められる分野、あるいは政府の対応が不可欠な分野がある。日銀としても、経済の本格的な回復とデフレ克服を実現するために、今後とも中央銀行として最大限の努力を行っていく方針だ」
−−国債相場は一部でバブルではないかいう見方が出ている。
「国債が買われているということは、発行元である政府もそうだが、売られたり買われなかったりすることに比べれば、やはり買い手が多くて、値が上がり、金利が低くなってきていることは、決して悪いことではないと思う。銀行も貸し出しは増えないが、預金が増えている。預金が増えた分は、貸し出しが増えればよいが、まだそこまで行っていないので、国債を買う分が多くなっているのではないかとわたしはみている」
「そういう状況で、むしろ値段がドンと下がったり、金利が上がったりするようなことにならないで−−、(長期金利は)少し下がり過ぎだとは思うが、今後の動向についてはよくみていきたいと思っている」
−−なぜインフレターゲットの導入が経済を著しく不安定化させるなど無謀な賭けなのか。
「金だけ出して物価が上がっていくかというと、決してそうは行かない。やはり需要が増えて、需要が増える前にはいろいろ政策が打たれて、構造改革が行われ(なければならないし)、改革なくして成長なし、成長なしには物価が上がっていくことはない、と常に言っている。そういう事態を作ることが筋であって、先にインフレ目標を作っても、それができるかできないかは本当に賭けであり、分からない」
「無謀な賭けというのは、そういうことをやって国債の価格が下がるというようなことが起こったり、日銀しか国債を買わないのではしょうがない、というようなことが言われるようになって、国債価格が下がり、金利が上がるというようなことが起こったりすると、これは大変なことになる」
−−政府とのアコード(政策協調に基づく合意)の可能性は。
「現在の政策運営の姿勢について言えば、デフレ克服に向けた決意は、政府と日銀でしっかり共有されていると思う。日銀は今後とも日銀法の規定を踏まえて、政府としっかり意思疎通を図りながら、物価の安定と、これを通じた経済の健全な発展という目的のために、政策運営に誤りがないことを期していきたいと思っている。竹中平蔵経済財政・金融担当相が言っていることもそういうことだと思う」
−−政府のさらなる財政政策とさらなる金融緩和という組み合せによって、デフレ克服に向けて、日銀としてもう一肌脱ぐという気持ちはあるのか。
「持続的な経済成長を実現するうえで、財政支出内容の見直しと、税制改革など適切な財政運営がもたらす効果は決して小さくないと思う。日銀としては、そのときどきの財政運営の在り方、その影響を含めて、金融経済情勢を総合的に点検しながら、今後とも機動的、弾力的に実施していくことが、わたしどもの考えだ。何も今ここで、アコード、アコードと言わなくても、実質的なアコードができていると思う」
−−大手行の増資計画の発表が相次いでいる。現在の金融システムについてどうみているか。
「ここに来てかなり大きな動きが始まった。ずっと待ちに待った動きが来てくれたという感じがする。金融システムは不良債権問題を主たる背景として、引き続き厳しい状況にあることは変わりない。こうした状況のもとで、金融機関は不良債権処理の加速や保有株式の早期売却、それとともに資本面の備えを強化して、自力増資に前向きに動き始めたことは新しい動きとして非常に注目している。私どもとしては、こうした金融機関の自助努力が確実に進められていることを強く期待している」
「たとえば、みずほは増資の話が進んでおり、UFJ、住友三井もそういう努力をしている。あとはりそなが残っているが、いくつかの銀行が一緒になっているので時間はかかるのかもしれないが、預金そのものは増えているので、いろいろ考えておられるに違いない。それぞれ道は違うが、自助努力で資本を増やしていこうとする動きは、今まで出てこなかった。そういう意味で、皆が自分の問題として考え始めたなという気がする」
「公的資本については、もちろん考え方は変わっていない。金融機関が不良債権処理を加速していく過程で、資本が毀(き)損されたとしても、財務内容の透明性や収益力の強化といった経営方針について、市場の信認が得られるならば、市場での資本調達は可能になるはずだ。しかし、何らかの事情で市場調達が困難であって、金融システムの安定確保に必要な場合は、政策的な対応を行うこともあり得ようかと思う」
「公的資本の注入は、以上の一連のプロセスの結果、政策的な対応の1つの選択肢として検討されるべきものだと思う。ただし、公的資本の注入は、金融機関の自主的、かつ責任のある収益力向上の努力を促すことが重要である。これは、あくまで強制によるものではなく、金融機関の意思に反して資本注入するのは困難だ」
東京 日高 正裕 Masahiro Hidaka