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小泉純一郎首相は次期日銀総裁にも踏み絵をさせ、調整インフレという『禁断の政策』に手を染めようとしている。日本経済には劇薬が毒となる!?
経済オンチの小泉純一郎首相が口先だけは慎重な姿勢を見せながらも、調整インフレという『禁断の政策』に手を染めそうだ。物価安定を目指すインフレ・ターゲティング(目標論)よりも劇薬である。決定的なデフレ不況の処方箋(せん)がないためで、プッツン状態の小泉首相は日銀を道連れに、強引にインフレを引き起こし、デフレ脱却に躍起となる。だが、長患いの日本経済には劇薬が毒となり、空中分解の危険性をはらんでいる。
小泉首相は年明け早々の6日、年頭会見で、一向に収束する気配のないデフレについて「政府は日銀と一体となって、あらゆる政策手段を動員していく」と発言した。
特に、「日銀の役割が重要になる」との認識を示し、3月で任期満了となる速水優日銀総裁(77)の後継人事について「デフレ退治に積極的な人が望ましい」と語った。
一見、年頭にあたっての経済活性化への意気込みを示しただけにもみえるが、実はこれが「小泉首相の政策転換を意味する爆弾発言」(日銀幹部)だったのである。
その辺のカラクリを日銀幹部が解説する。
「これまで、政府はデフレについて『対応する』とか『克服する』という言葉を使ってきた。この時点では、デフレをやむを得ないものとして、いかに弊害を小さくするかというロジック(論理)だった」
「でも、小泉首相は年頭会見で『退治する』との表現を使った。これは、デフレそのものを解消するため、インフレを強引に起こすということにほかならない。明らかな政策転換で、おそらく日銀に株や土地(の投資信託)を買わせ、それでも飽き足らない時には、国債の日銀直接引き受けをもやらせる魂胆(こんたん)だろう」
その後も、小泉発言はやたらと日銀の役割を強調し、ポスト速水についても「デフレ退治に積極的な人=政府の言う通りに何でもやる人」と、調整インフレの導入を新総裁選びでの「踏み絵」にしている。
盟友の山崎拓・自民党幹事長も「調整インフレを目指すべき」と明言。政府・与党幹部、財界を中心に、『禁断の政策』の調整インフレ導入に前向きな発言が相次ぐ。
ところが、経済同友会の小林陽太郎代表幹事が21日、インフレ目標について、「(次期総裁に)踏み絵的にやらせるのは望ましくない」と小泉首相を批判した。
宮沢喜一元首相も同日、小泉首相と官邸で会談し、慎重論を進言したこともあってか、当の小泉首相は毎度毎度の変節ぶりで、「インフレになれば、このインフレをどうしてくれるんだとマイナスの声ばかり出る。よく考えない」と口先では慎重な考えを示した。
調整インフレとは、高めのインフレ率(消費者物価上昇率など)を目標に掲げ、あらゆる手段を使ってそれを実現しようとするものである。
端的に言うと、日銀が株や土地などを買いあさり、物価上昇=インフレを演出することだ。
一定のインフレ率を目標に誘導するという点では、インフレ・ターゲティングと似ているが、こちらは、高いインフレ率に悩む国が「物価安定」のため導入する。
強引にインフレを引き起こさせる調整インフレとは、まったく意味合いが異なるのである。
「物価の番人」日銀は、物価の急上昇を抑えるインフレ・ファイターで知られ、自らインフレを引き起こすことには強烈な抵抗感がある。
浮かんでは消え、消えては浮かんできた調整インフレ導入論議に、ことごとく反対してきた。
だからこそ、小泉首相は「デフレ退治に積極的な人」と発言し、日銀のインフレ・アレルギーを押さえ込み、調整インフレ導入を飲んでくれる人を次期総裁の第1条件に掲げている。
このような劇薬を扱うことになる次期日銀総裁レースは目下、元日銀副総裁の福井俊彦・富士通総研理事長(67)と、元東燃社長で前日銀審議委員の中原伸之氏(67)の一騎打ちの様相である。
福井氏がインフレ目標論に消極的なのに対し、中原氏は積極派とされるが、「結局、財界3団体が推す福井氏で決まるのではないか」(永田町有力筋)との見方が広がりつつある。
経済オンチの小泉首相はなぜ、調整インフレにご執心なのか。日銀関係者が事情を説明する。
「財務省あたりの入れ知恵でしょう。非常に高いインフレ(物価上昇)を引き起こせば、企業の業績などが回復して税収が増える。税収が増えれば、国債=借金がほぼ半分を占める国の財政にもプラスになる」
「さらに物価上昇により、450兆円に達する国の借金(国債発行残高)の負担も相対的に軽くなる。企業の借金負担も軽くなり、不良債権問題にもプラスに働くと、単純に考えている」
だが、調整インフレという劇薬は、経済オンチの小泉首相が考えているほど甘くはない。野党政調関係者が言う。
「インフレを引き起こすことは容易だが、それをコントロールすることは不可能に近い。歯止めの効かなくなった物価上昇を強引に止めようとすれば、強力な金融引き締めが必要になる」
「反動で景気はとめどなく悪化し、失業率も一気に上昇する。バブル崩壊の時とまではいかないものの、似たような状況に陥りかねない」
外資系証券のエコノミストも「最悪の場合、調整インフレのメリットが表れる前に、日本経済が空中分解する危険性をはらむ」としたうえで、次のように解説する。
「調整インフレ導入が決まった途端、金融市場が反応し、インフレになる前に金利が上昇する可能性がある。企業にとっては、業績回復前に金利上昇で首が締まることになる。物価が上昇したのはいいが、賃金のアップがそれに追いつけなかった場合、消費も一層冷え込むことになる」
たださえコントロールが難しい調整インフレ。物価、金利、賃金などの上昇のタイミングがズレた場合、青息吐息の日本経済には大きなダメージとなってハネ返ってくる危険性がある。
だれが次期日銀総裁になるにしろ、小泉首相から調整インフレというとんでもないものを押し付けられ、「イバラの道」を歩むことになる。