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「地域金融機関に対して、不良債権の処理策に関して大手行に適用しているものと異なった基準を設定するとなると、“金融再生プログラム”の矛盾が明らかになってしまう。かと言って大手行並みの基準を導入・適用したのでは、相当数の地域金融機関を結果的に破たんに追い込むことになってしまいかねない。まさに頭の痛いところだ」
金融庁幹部がこう言ってみせる。
今月に入って、首相の諮問機関である金融審議会(会長・貝塚啓明中央大学法学部教授)が、政府の“金融再生プログラム”を踏まえる形で、リレーションシップバンク(地域金融機関)のあり方や、新しい公的資金制度等に関する議論をスタートさせた。この議論は、先に発表された「作業工程表(アクションプログラム)」のスケジュールに沿う形で、個別の議論ごとに3カ月から1年程度で報告書を取りまとめる予定となっている。
「個別、具体的な議論は、金融審議会の下に設置された金融分科会第二部会で行われることになりますが、個別のテーマごとに4つのワーキンググループ(WG)が設けられています」(金融庁幹部)
この4つのワーキンググループとは、“自己資本比率規制に関するWG(座長・池尾和人慶大教授)”、“公的資金制度に関するWG(同・片岡哲也コマツ取締役相談役)”、“リレーションシップバンキングのあり方に関するWG(同・堀内昭義東大教授)”“信託に関するWG(同・神田秀樹東大教授)”。そしてそのいずれのWGの議論についても金融業界サイドから、注目を集めているといえるだろう。
そして当コラムとして注目したいのは、4つのWGの中でも特に“リレーションシップバンキングのあり方に関するWG”だ。
このWGでは、1月15日から、地域金融機関における不良債権処理の加速策に関する議論がスタートしており、とりあえずは今年3月末までに結論を出す方針だ。
「そもそも“リレーションシップバンキング”なるネーミングは、竹中平蔵経財・金融相の発案によるもの。金融業界ではこれまでほとんどなじみがなかった用語だ。それだけに竹中大臣の意向が強く反映したWGと言っていいだろう。そしてそのことは、あの木村剛氏がメンバーとして加わっていることからも明らかだ」(金融庁幹部)
そしてこう続ける。
「だからといって竹中大臣としては地域金融機関に対して大手行並みの厳しい基準を適用するつもりは毛頭ないようだ。つまり、不良債権処理の基準に関して、大手行と地域金融機関との差別化を図り、ダブルスタンダード化を進めようということのようだ。『大手行並みの基準を適用すると、貸し渋り、貸しはがしが発生し、地域経済は混乱する』と主張してきた地銀、第二地銀業界などの地域金融機関としては大歓迎だろうが、金融庁としては簡単にこれを容認するわけにはいかない。この議論を簡単に認めてしまうと、大手行が貸し渋り、貸しはがしに走るのも当然、という理屈が成り立つことになってしまう。かといって大手行並みの基準を導入したならば、経営破たんに追い込まれる地域金融機関が相当数、出てくるだろう。全く頭の痛い問題だ」(金融庁幹部)
どうやら“竹中プラン”の自己矛盾が露呈し始めたようだ。そうした意味で、このWGの議論の行方には要注目だ。
2003/1/20