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米株高にもつれ高できず――日経金融新聞スクランブル
東京株式市場の日経平均株価は、前週末10日も力なく4日続落となった。一時はバブル経済崩壊後の最安値(8303円)にあと75円の水準まで下げた。9日の米国株相場が大幅高になったにもかかわらず、ハイテク株には下げ銘柄が少なくなかった。米株高を目の当たりにしても株価が浮上しない状況に、市場のムードは次第に重苦しさを増している。
「米国株の上昇をけん引役に年末に向けて相場は上昇する」――。昨年暮れに市場関係者の多くが描いた相場シナリオだ。日経金融新聞が市場関係者48人を対象に実施したアンケート調査では、「日経平均の安値は2月に8000円、高値は12月に1万2000円」という予想が最も多かった。 ダウ工業株30種平均やナスダック総合株価指数についても高値と安値の予想時期はほぼ重なる。年初はイラク情勢などで不透明だが、次第に米政府の景気対策によって米国株相場は上昇に転じ、日本株もつれ高するという期待感が強かった。
その米国株相場は好調な経済指標や、ブッシュ政権による株式配当課税撤廃などの方針を受けて年初来、上昇基調にある。2003年は大統領選挙の前年にあたることもあって、もともと市場には米国株の上昇期待が高かった。
日本アジア証券の黒川達夫投資情報部長の調べによれば、戦後14回の大統領選で選挙前年のダウ平均は、すべて年間の騰落率がプラスになっているという。選挙に備えて政府が景気対策に力を入れるためで、安値の時期は1月、高値は12月が最も多いという結果が出た。14回の平均上昇率を当てはめて2003年のダウ平均を占うと、年間高値は1万211ドル、年末は9749ドルとなる。
一方で、日経平均は大発会の6日こそ上昇したがその後はずるずると下げ歩調。一週間だけの動きで即断はもちろんできないが、米株高がそれほど効果を発揮していない。こうした結果が出ている理由を分析すると、まずは3月決算期末を控えて持ち合い株式の売却など需給悪化要因がある。さらに金融システム懸念が常に頭から離れないという日本の抱える問題も浮かび上がる。
しかし、これだけ株価が下がっても投資家が買いに動かない背景には、「自動車などを除いて、国際競争力のある業種が見当たらない」(国内系投信)という、より本質的な課題がのしかかっているようだ。エスジー山一アセットマネジメントの白石茂治常務は「外国人は金融システム問題よりも、日本経済が活性化に向けたシナリオをいつまでたっても打ち出せないことを失望している」と話す。
1990年代の初めに、米国経済は「雇用なき回復」と呼ばれた。今期の日本企業の業績回復もリストラ頼みで、一見すると似ている面もあるが、10年前の米国には職を離れた人材を受け入れる情報技術(IT)産業の成長があった。日本にそうした産業の受け皿があるだろうか。
日本個人投資家協会理事の木村喜由氏(元ソシエテ・ジェネラル証券調査部長)は「92年ごろまでは実質的に完全雇用の状態で、結果的に新たな成長産業を生み出すような優秀な離職者が出てこなかった」という。公共事業を中心とした当時の経済対策が新規の産業育成を後押ししなかったとがめが出ているという。
東証マザーズ市場に昨年9月上場した遺伝子医薬品開発のアンジェスエムジー。大学発のベンチャー企業として初の上場企業と注目されたが、10日の終値でみた株価は49万9000円と公開価格(22万円)の2.3倍の水準。株式売買代金では年明け以降、マザーズ市場全体の約4割を占めている。
こうした先端企業に人気が集まることは、次の世代を担うような産業の出現を望む投資家が株式市場から消えてはいないことを映している。「ナノテクやエネルギー利用など日本が世界でも競争できる分野はあるが、それを事業化するためには国の支援が不可欠だ」と前出の木村氏は強調する。小泉政権が景気対策の力点をこうした事業の創出に役立つように考えを改めない限り、「株価の値上がりではなく、配当を目的とした投資家ばかりが増えている」というベテラン証券マンの嘆き節はさらに高まりそうだ。(森安圭一郎)