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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「円の信認は趨勢的に低下」を挙げる。
<為替相場を見ていく上での重要なファクターは?> 為替相場の話を続けよう。この間のアドバイザーにもちらっと書いたが、為替相場をみていく上での重要なファクターは、特に「短期」(半年から1年程度の為 替の循環的な変動)という観点からは、経常収支不均衡の動きではなく、日米間の実質成長率の格差や実質長期金利の格差である。従って、円高論を展開する際の論理は、「米国経済の成長速度が今後目立って減速し、米国の長期金利水準が 一段と低下すること」を背景としたもの、である必要がある。同社は、この点について、「日米成長率格差、および実質長期金利格差は、本年1−3月期をボトムに 再び拡大傾向となる」ものと予想しており、その意味から、円高に持続性はないと考えている。
<米ネット対外債務は、今や300兆円超の規模だが・・・> それでも、市場には、米国の対外収支悪化をドル安の根拠として指摘する向きが根強い。確かに、そもそも、教科書的な言い方をすれば、対外赤字、あるいは対外債務の拡大は、その国の通貨を下落させるはずである。なぜなら、債務の膨張はその国が債務をきちんと履行できる可能性を低下させ、リスク・プレミアムの拡大をもたらすからである。FRBの資金循環統計によれば、米国のネット対外債務は、今や日本円に換算して300兆円を上回る規模(GDPの約3割)に達しており、このことだけを捉えれば、「米ドルはいつかきっと暴落する」との見方も成り立つと言う。ドル安論者からすれば、「ファンダメンタルズからして起こるべきこと」(ドル相場の調整)が、「ITバブルの崩壊による負債デフレ経済の到来や、イスラムとのいわば宗教戦争をきっかけに起こるだけのこと」ということになる。
<日本は最悪の場合、今後4−5年で対外債務国に転落へ> しかし、「ここで考えなくてはならないこと」として、こう指摘する。「これまでずっと対外債権国を誇ってきた日本がいつまでもそうした状態を継続できる保証はなく、かつ、経済再生の道筋が見えない中で――安易な消費税増税論ぐらいしか展開できないというお 粗末な状況――、最悪の場合、今後4−5年のうちに対外債務国に転換するリス クがある、という事実である」。現在の日本の趨勢的な名目成長率はマイナス1.5 〜2%といったところである。「この国が、今後も当面、経済の再生に失敗するとすれば、最終的には、自国の貯蓄ではなく、国外からネットでみて資金を借り入れなくてはならない」のである。仮に、そうしたリスクを市場参加者が予想していたとしたら、米ドルを売り、円を買うという行動は合理的ではない。 米国は大きな対外債務を抱えてはいるが、「長期的な成長力、国力という点では依然として日本を凌いでいる」として、米ドルに対する信認が大きく崩れることはないと言う。他方で、日本円の信認は趨勢的に崩れて行くと見る。米国の経常収支赤字が懸念材料であることは認めるが、「日本が対外債務国に転落するリスクの方が より大きな心配材料」なのである。
<財政破綻リスクとベースマネー持続的拡大を両睨み> 日銀の国債PKOによって、国の債務コストが大きく上昇する事態は当面は避けられるだろう。だが、市場は絶えず、日本における財政破綻のリスクと、それを低下させる措置としてのベースマネーの持続的拡大、を両睨みで予想していかなくてはならない。円相場が継続的に上昇できる可能性は低いと言う。